第550話 第2ラウンドと行こうか! 的なお話

右腕の振り下ろしをバックステップで躱す。

恐竜の動きは素早いが、大きい為に初動が分かりやすく余裕を持って躱す事ができる。

続け様に振るわれる左腕も躱し………とっ!

危ない危ない。

回転による尻尾攻撃を食らうところだったよ。

屈んで躱す事ができて良かった。


「って、げっ! それは洒落にならん!」


鎌首もたげて思い切り息を吸うようなポーズ。

どう見てもブレスです。


「させるかーーー!」


タイミングを見計らい、首を下ろす瞬間を狙ってバーストバレットで首の下を狙い撃つ。

炸裂した魔法の力によって首を跳ね上げ……………れはしなかったが、それでも射線を上にずらす事ができ、なんとかブレスを後ろの方にやらずに済んだ。


「GURURURURU……。」

「なんだ? 不服そうだな? オラ。掛かって来いよ。お前の相手は俺なんだからよ。」

「GOAAAAAAAAAAAAAAA!!」


爪での斬り裂きを懐に入るようにして躱すと同時に恐竜のぶっとい脚に向かって一閃。


「硬っ! だが、傷がつかないわけじゃない!」


想定の3分の1程しか傷が付いていない。

多分、この剣の性能を俺が引き出し切れていないのだろう。

それが出来ていればもっと戦えるのだろうが無い物ねだりしてもしょうがない。

もっと火力を上げて、もっと薄く鋭く……


「GAAAAAAAAAAAAA!!!」

「どわっ! 痛っ!」


斬れ味を上げる為に煌炎剣の制度を上げようとしてたら振り払った恐竜の腕の突起物が掠る。

ちょっと痛かったが、防具の上からだったので怪我をする事がなかった。

ただ、その防具は掠った所が裂けていた。


「あーあ。これ結構高かったんだぞ。全く……まあ、次の防具はお前を使うから別にいいけどな!」


一旦距離を取るが、即座に駆け出して攻勢に出る。

恐竜は大きな口を開いて待ち構えるがその噛み付きを躱して左腕に斬りつける。


「らあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


本当は斬りとばすつもりだったんだが、やはり技量不足でそこまではいかなかった。

だが、なかなかの深手だ。


「GYAAAAAAAAAAAAA!!!」

「うわっ!」


痛みで暴れる恐竜の尻尾が襲い掛かってきて、吹き飛ばされる。

地面を転がって衝撃を殺す。

そのまま堪えるよりかは吹き飛ばされた方がダメージは少ない。


「やるじゃないか!」


アドレナリンがドバドバ出てるのか、テンションが上がる。


「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


上段からの斬りつけを突起物で防がれる。

右腕の爪の斬り裂きを屈んで躱す。

ちょっと髪の毛が切れた気がする。

左斬り上げを放つ。

噛み付きを躱す。

右薙。

回転による尻尾攻撃を小手で防ぎつつバックステップで勢いを殺す。

それでも殺し切れなかったので更に後転してダメージを殺す。


まだまだ恐竜は元気だ。

だが、俺もダメージ自体は少ない。


駆け出して上段………と見せかけて高く高くジャンプ。

多分5メートルはゆうに超えている。

その上空からブレンネンドルヒを叩き込む。

目的はダメージを与える事じゃなく、弱点を探る為だ。

何処か庇ったり、嫌がるような素ぶりは無いか上から見る。


「って、やば……」


落下地点で口を開く恐竜。

このままだと俺は丸呑みされてしまう。


「……いわけあるかー!!」


煌炎剣の火力を最大にする事でブースターの代わりにする。

噴き出す炎によって空中で加速して恐竜から離れ、離れ…………


「と、止まらなーい!!!」


勢いがつき過ぎですっ飛んでしまう。

このままでは木に激突する……という所でセフィアが跳んできて受け止めてくれた。


「大丈夫?」

「あ、ああ。大丈夫だ。助かった。ありがとう。」

「どういたしまして。」


アニメなんかだと上手に飛んでいたんだけどな。

イメージはな◯はのラケーテンハ◯マーだったんだけど、そうそう上手くいかない。

要練習だな、こりゃ。


地面に着地した俺とセフィアの元にリリンとアカネがやってくる。


「そっちは終わったのか?」

「ん。」

「ええ。レントが引きつけてくれたお陰で安心して戦えたわ。」

「そうか。じゃあ、後はこいつだけか。」


3人が戦っていた場所を見れば横たわっている2つの塊。

黒い牛と紫のトカゲの死体。


「さて。じゃあ、第2ラウンドと行こうか!」

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