第551話 焼き切った。的なお話

第2ラウンド。

セフィア達が来てくれたお陰でかなり余裕がある。

俺に攻撃が集中すれば、みんなが攻撃する。

みんなの内の誰かに的を絞れば即座に攻撃に転じる。

まあ、さっきまでガンガンやりあってた俺に対するヘイトが高いので、みんなに対してはあまり攻撃していないけど。

今の所、俺が1番攻撃力が高いというのも関係していると思う。


「せいやぁぁぁっ!」


恐竜さんの視線がふいっと横にいった隙に袈裟斬りに一撃。

今の一撃はこれまでで炎の鋭さが1番いい感じだった。

その一撃で遂に突起物を斬りとばす事に成功する。


「GYOAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


あの突起物にも神経通ってたんだね。

しかし、これはまずいな。

このままチクチクやってたら時間がかかりすぎるし、何より、素材の価値が落ちてしまう!

防具が裂けてしまったから新調したいけど、その素材候補がズタボロじゃ意味がない。


「硬いわね〜。どうする? 魔法で一気にやっちゃう? このまま削っていったらまたアレになる。そうなったらどうなるかわかんないわよ。」


アカネが俺の側にやって来てそう言う。

確かに、凶化されるのは厄介だ。

俺はあの時、たまたま恐慌状態から脱する事が出来たが次も抜けられるとは限らない。

それに、1度体験してしまってるせいで精神が及び腰というか、凶化に対してヤワになっているかもしれない。

そうなってしまっては壊滅してしまう。


「魔法で一気にっていうのは最終手段だ。確実に倒せるとも限らない、しっ! それに素材が台無しになるかもしれない。だから、その前に1つ試してみたいことがあるんだ。」

「試したい、ことっ? それって、なんなの?」


ゆっくり相談したいところだが、現在進行形で恐竜さんと交戦中。

会話途中で攻撃を躱したり、攻撃したりしてる。


「あんまり、時間はかけられないわよ。セフィアとリリンにっ! 負担はかけられないん、だからっ!」

「分かってる! 全力攻撃で首を斬り落とす! だからちょっと時間稼ぎ頼む。」

「了解。2人にも伝えるわね。」

「頼む。」


炎の鋭さも大事だが、火力を忘れてはいけない。

巨大な炎剣にて敵を断つのが断罪炎覇。

単純だな。

だからこそ、極めた時に大きな力を発揮するのだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


叫ぶ事に意味はないが、それでも、力が漲る気がする。

これまで使っていた煌炎剣は断罪炎覇の簡易縮小版だ。

そして今、その本来の断罪炎覇を使う。

肥大化した炎剣を見て恐竜は俺が脅威だと判断したのか狙いを俺1人に絞り襲いかかってくる。


「させないよ! タイガーバイト!」

「ん。水狼咬牙。」


リリンの水狼が脚に噛みつき、しがみつく。

そして、セフィアの出した岩で出来た虎もリリンの水狼と同じようにして恐竜の動きを止める。

何あれ!?

いつの間にあんなのを……ま、まあ、いい。

2人のおかげで仕留める事が出来る。

俺は駆け出し、跳び上が……

俺が本当に倒していいのか?

こいつはジェイル家の野望に使われる予定だった。

そしてアカネはそのジェイル家によって大変な思いをした。

さっきはあいつをぶん殴ればいいかと考えたけど、やっぱりここは俺じゃない気がする。


跳び上がるのを辞めて、恐竜の左腕を斬り飛ばし、炎を消して恐竜の脚に剣を突き刺して地面に縫い付ける。


「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

「アカネ! やっぱりお前がトドメをさせ! そして、見せつけてやるんだ! あそこで呆けてる阿呆に、お前が、お前達が喧嘩を売った相手が誰なのかを! お前の、ユースティアの強さを見せつけて後悔させてやれ!」

「いらない気を回してんじゃないわよ! ……でも、ありがと。噴刃炎斬!」


アカネが剣を地面に突き刺すと地面に亀裂が走っていき、恐竜の下から鋭い炎が噴き出して首を焼き切った。

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