第533話 お叱りタイム。的なお話
アデラードさんの次は俺がいく。
個人的には50枚で11連がいいけど、アデラードさんが22連でやっちゃったから仕方ない………本当は嫌だけど。
でも、回さないと不公平な気がする。
だから回す。
俺が回すのは武具ガチャ。
魔道具ガチャとかもちょっと興味あったけど、目を引いたのがあった。
それは…………………魔剣。
属性金属を使ったただ単に属性を持つ剣とはわけが違い、魔剣には魔剣たらしめる要因がある。
それは、魔剣には全て、なんらかの特殊能力が備わっているからだ。
1番多いタイプだと魔法を使えるというもの。
ゴリッゴリの前衛で魔法の練習なんかした事ない人間でも、このタイプの魔剣を持てば魔法が使えるようになる。
勿論、なんでもという事はなく魔剣が持つ魔法のみだが、それでも1つ手札が増えるのだ。
と、アデラードさんが教えてくれた。
俺はまだこっち来て一年半くらいになるかな? って程度なので知識量はそこまで多くはない。
だから知らなくてもおかしくないんだ。
まあ、これは火属性の魔剣のようであっても大して変わらないんだが……それでも、ちょっと欲しい。
だって、魔剣だし。
カッコいいじゃん。
「せーの!」
ガラガラと、勢いよく回していく。
そして出るわ出るわ。
真っ白い玉。
ぐっふぅ!
なんとなく、こうなると分かってたけど、ここまで何も出ないと心が痛いよ。
「はい、そこまで。」
とにかく回していて回数とか数えていなかったけど、従業員の人の制止の声で回すのをやめた。
結果は白塗れ。
しかし、最後の一個だけは色が付いていた。
色は茶色。
微妙だ。
「あー、これは5等ですね。武具ガチャの5等はこのアイテムバッグに入っていますので一本持っていって下さい。」
適当に捌くって取り出したのは特徴のない一振りの片手剣。
刀身は剥き出しではなく鞘に入っている。
抜き身の剣とか危険すぎるから鞘くらいあるだろう。
それはいい。
問題なのは、この剣に見覚えがあるという事だ。
「あの、この剣って、グラハム武具店で買いました?」
「え、さあ? 私は仕入れ担当ではないので分かりかねます。ですが、バラエティーに富むように複数の店で購入していると聞いたことがあるので、そのグラハム武具店製の物があってもおかしくはないかと思います。」
「そう、ですか。」
断言してもらったわけじゃないが、多分間違いないだろう。
というか、これは違って欲しいという意味で聞いたのであって、俺自身は確信していたんだけど。
「どうしたの? その剣がどうかした?」
「いやこれ、俺が作った剣なんだよ。」
「マジ?」
「マジマジ。狩猟大会の後に俺グラハムさんに雇われたじゃん。あん時。」
「ああ。なるほど。……っていうか、プフッ、つまりあんたは1万使って自分が作った、剣を、クフッ! 買ったって事よね?」
「笑わないでくれますか、アカネさん。」
「ご、ごめん。でも、ガチャ回して、自分が作った剣ってのが、可笑しくって、フフッ……運悪すぎでしょ。」
俺もそう思うよ。
何が悲しくて自分の剣をガチャで手に入れなきゃならんのだ。
「じゃあ次は私ね。私も武具ガチャで100枚ね。」
「では、22回回して下さい。」
ガラガラと、アカネは回していき出て来たのは白ばっかりだが、偶に黒が混じってる。
結果は白17の黒5だ。
「7等が5つですね。ではこちらのアイテムバッグからどうぞ。」
アカネが取り出したのは石、石、石、木の棒、石だった。
「プッ!」
「………何よ?」
「……い、いや、随分と、ブフッ……面白い物が………ハハハ……出たなと。」
「うっさい、馬鹿!」
「うわっ! 危ないだろ!」
「うるさいうるさい! あんたが笑うからでしょ!」
「お前だって笑ったろ!」
木の棒に殴られると痛い。
そんなのは誰でも知ってる。
だからアカネから逃げる。
ま、ふざけているだけだろうが。
じゃなきゃ、こんな追いかけっこしてるだけで済むはずがないからな。
一通りふざけた後は従業員からのお叱りタイム。
他のお客様の迷惑だって。
「「ごめんなさい。」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます