第532話 別に用意してあった。的なお話
見た目は大きな福引の回すやつ。
しかし、これは間違いなくガチャだ。
だって、デカデカと看板に『ガチャ』って書いてあるから。
「ガチャって書いてあるね。」
「これは……スキルがもらえるのでしょうか?」
ルリエが何やらトンチンカンな事を言ってる。
って、そうか。
そういえば、俺のロードオブスキルマスターのもガチャだったな。
それでガチャって聞いてそれを思い浮かべたのか。
「いや、流石にただのカジノでスキルはもらえないでしょ。多分なんらかの道具とかだと思うよ。ま、大半は大したものじゃないだろうけど。」
ガチャで出てくるのなんて大抵レアで10連+1やってスーパーレア一枚確定みたいな、ね。
そしてスーパーレア一枚確定をやる奴って大抵レア度が更に上のカードとかあるんだよね。
だから、レアなんて要らないんだよ!
レアなんてコストが足りないとか、カードがまだ少ない初心者が使うくらいで要らないんだよ!
高校生でバイトしてないから微課金だし、なけなしの金と石を使ってんのにレア塗れでSSR無しとか、もう、何度繰り返したことか……。
ガチャ報告とかで欲しいのを当てた奴に対して何度となく呪詛を吐いたよ。
「お兄さん?」
「………はっ! ごめん。ちょっと嫌な事を思い出しちゃって。……あれ? アデラードさんは?」
「それなら、あんたがぼーっとしてる間に行列に並びに行ったわよ。」
いつの間に………あ、俺がぼーっとしてる間か。
「アデラードさんも並んでるし、俺たちも並ぶか。」
「そうですね!」
あ、ルリエが一目散に駆け出して行った。
そんなにやりたかったのか。
まあ、ワクワクはするよね。
その後の後悔とか絶望感とかが半端ないけど。
「こんなものもあるんだね〜。えーと、3つほどあるね。どれも同じなのかな?」
「どれどれ………あ、なんか書いてある。えーと、武具、魔道具、装飾品? 武具と魔道具と一緒に装飾品をラインナップするってどうなんだ?」
「装飾品でもステータスに補正がかかるからじゃない? ここは迷宮都市なんだし。」
「あ、そっか。」
アデラードさんに言われて納得する。
確かに装飾品……腕輪やネックレスは勿論の事、ヘアピンやバレッタなんかの髪留めでも補正が掛かったりするからな。
ちなみに、疑問に答えてくれたアデラードさんは、低身長のせいでガチャの内容を見ることができなかった。
「いらっしゃいませ。当ガチャのルールはご存知でしょうか?」
「知らないので教えてもらえますか?」
「分かりました。では説明させてもらいますね。当ガチャでは武具、魔道具、装飾品の3つのガチャがあります。それぞれ1回回すのにチップを5枚頂きます。それとは他に一度に10回回す場合はオマケとしてもう1回回せるようになっています。各ガチャのラインナップに関しては時期によって内容が変わりますので欲しい物がない場合もございますので、詳しくはこちらのラインナップ表をご覧ください。」
10連+1ガチャだったよ。
もう、これはアレだ。
絶対奴らが………勇者・転移者が関わってる。
こんな所にも日本人の魔の手が。
「あ、これって確か300万くらいするよね?」
「はい。そのイヤリングはかつて名匠として名を馳せた職人の作品の1つと言われており、大体それくらいになるかと。」
「へー。じゃあ、私はこっちの装飾品ガチャをチップ100枚分ね。」
「ありがとうございます。チップ100枚なので全部で22回回せます。」
1万リム使って11連ガチャ2回っていうのは高いのか安いのか……まあ、的中率次第か。
他には何が…………………花冠?
え、そんな物も入ってるの?
確かに装飾品と言えないこともない……のか?
でも数日で枯れるよね?
どう考えてもハズレだ。
「じゃ、回すよー。それっ!」
ラインナップを確認していたらアデラードさんが早速ガチャを回し始めた。
全部で22回、ガラガラと回していくと次々と小さな玉が転がり出てくる。
大抵はハズレの白だが、偶に色の付いた物が出てきた。
結果は赤が1、緑が3、黒が2だった。
「出ました! 3等でーす! 3等はこちら。市場価格で30万リムはする指輪で、なんと、装備者に麻痺耐性を付与する効果があります!」
「………私、状態異常無効のスキルを持ってるんだけど。」
「あ、そう、ですか……。えと、それで、これ、どうします?」
「一応、貰っておこう、かな。見た目も割とかわいいし。」
「分かりました。では、こちらのケースと共にどうぞ。それと、残りの6等と7等ですが、それぞれこちらのケースの中からお選びください。6等が3つ、7等が2つですね。」
「分かった。」
アデラードさんは運良くなのか、3等を見事に当てた。
しかし、残念な事にその3等の指輪の付与効果はアデラードさんが持つスキルの下位互換でしかなかった。
運が良いんだか悪いんだか。
ちなみに、花冠は7等の1つで、かさばるからなのか、花冠のケースは別に用意してあった。
いや、分けるくらいなら用意しなけりゃいいじゃん。
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