第511話 うん。それがいい。的なお話

「さて、それじゃ話を続けるけど、今回の依頼内容はジュノー森林の危険度調査。依頼主は当ギルド及びリステル太守。探索範囲はとりあえず深部と中部で期間は5日間。」

「5日……。」

「ん? どうしたの?」

「いえ、ただ、5日もルリエ達と会えなくなるんだな〜って思って。」

「あー、はいはい。ま、そういうわけなんだけど、この事はまだ誰にも言わないでくれるかな? あまり周囲に知らせるべきじゃないからね。騒動になっちゃうよ。」

「ルリエ達には教えてもいいですか? 暫く出かけるわけですし、無関係とは言えないですし。」

「ん〜。まあ、それくらいなら、いいかな。でも、それ以外には言っちゃダメだよ。」

「大丈夫ですよ。冒険者の知り合い自体あんまりいませんから。精々、クルト達とレミナさん達、黒狼さんと天装さんくらいですし。あ、後、えと、えーと、確かカルロとかカルラさんがいる……「堅牢の斧?」 そうそれ! その堅牢の斧くらいです。」


セフィアの助け舟で思い出せたよ。

あれっきり全然会ってないからね。


「………もう少し交流持った方がいいよ。情報交換とかできるし。」

「それは分かってるんだけど、セフィア達をどこぞの男どもの前に出したくないし。」

「……奥さんのこと好きすぎるでしょ。そんなに束縛するといつか捨てられるよ。」

「それは嫌だ!!」

「僕達はどこにも行かないから。心配しないで。」

「ん。レントだけ。」

「セフィア……リリン……。」

「んっ、んん。そういう事は宿でやってくれないかしら?」

「あ、ごめん。」

「アカネも混ざる?」

「え? いや、混ざらないから!」


リリンがぶっ込んできたよ。

そもそもそんなので混ざるという人なんているのか?


「あ、私は混ざっていいかな?」


いたよ。


「まだダメ。レントを待ってて。」


そっちは断るんだね。


「くっ! ま、まあ、それはいいや。とりあえず依頼に関してはそんな感じかな。次はこっち。はいこれ。」

「なんです、それ?」

「レックスの売却金。その全て。」

「全て!? 何言ってんですか!? アレを倒したのはアデラードさんじゃないですか!」

「でも半分以上やったのはレント達だし。それにいずれは結婚するんだし別にいいじゃん。」

「うっ!」

「というわけではい。全部で1786万6000リムね。」

「多っ!? え、なんすかその値段!?」


1000万越えなんて初めてだよ。

というか、そんなの貰えないんですけど!?


「亜竜とはいえ、立派な竜種だからね。皮に骨に肉に爪に牙。それに各種内臓も薬の材料とかに使えて無駄なところがないからね。これくらいはするんだよ。それにあれは成体だったから尚のことね。」

「そんなの、受け取れませんよ!」

「まあまあ。これくらいはいずれ受け取るようになるって。それに、10人で割るわけだから一人頭だとそこまでの額にはならないって。」

「いや、それでも1人176万なんですけど。」


でも実際は半分をパーティ用資金に加えるから1人88万だけど、それでも結構な額だ。

ん?

なんか、エルカでもそれくらいなら手に入れてたような気がする。

いやいや、それは1人の成果なだけで実際にその値段が手元に入ったわけじゃない。

だけど、なんか、大したことないように思えてきた。


「はぁ。分かりました。受け取ります。」

「うん。じゃ、はい。」


手渡された皮袋は意外と軽かった。

中を見てみれば、なんか白っぽい金貨とかある。

これが噂の白金貨か。

ま、ストレージに入れたら関係ないんだけどね。

大き過ぎる額は崩して出てくるから。

超便利。


「それじゃあ、最後に……。」

「まだ何かあるんですか?」

「じゃーん。今日はこれでパーティーしよう!」

「え、なんですか、この肉塊。」

「レックスのお肉。213万4000リム分だよ。」

「中途半端な額の理由はこれ!?」

「うん。」


そんななんでもないような顔で頷かれても……というか、またあの大部屋を借りないと。

はぁ。

なんだか申し訳ないな。

罪滅ぼしとはちょっと違うけど、レイちゃん達にもお裾分けしよう……うん。それがいい。

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