第484話 のんびりしよ。的なお話

〜アカネ視点〜


宿に帰ってセフィア達の様子を見る。

ギルドにはお昼食べてから行こうかね。


「調子はどう?」

「あ、アカネちゃん……うん。大分良くなったよ……。」

「全く……そんなになるまで飲むからよ。」

「でも、アデラードさんに勧められたら……断れないよ……。」

「あー、まあ、ね。」


あの人ガンガン勧めてるんだよね。

しかもレントがプロポーズしてから遠慮がなくなってるのがまた、対処に困るのよ。

私は何故か勧められないけど。


「それで、お昼は食べたの?」

「ううん。ちょっと、食欲が湧かなくて……。」


こういう時どうすればいいんだろう。

軽めの物がいいらしいけどおかゆとか作ろうにも米が無い。

んー。

まあ、果物でいいか。


「じゃあ適当に果物でも切ってくるわね。」

「あ、それなんだけど……今ルリエちゃんとルナちゃんが買いに行ってるから……。」

「そうなんだ。じゃあ帰ってくるのを待ってるか。あ、水とかいる?」

「じゃあ、もらおうかな。」

「分かったわ。今もらってくるわね。」


やってることがお母さんというか、家政婦のようだけど、元々そういう契約だったわね。

最近は宿住まいだからすることはないしお互いにそうだった事を忘れてたしね。

そう考えると懐かしい気がしてくるから不思議ね。

所で、もう1人の被雇用者は何してるのやら。

ま、一足先にレントと結ばれたばっかりだし大目に見ましょうか。

水をもらっているとちょうどいいタイミングでルリエとルナが帰ってきた。


「あ、アカネさん。おかえりなさい。」

「うん。ただいま。そしておかえり。」

「あ、ただいま……。」


意趣返しというつもりはないけどそんな感じになったからか、やられたみたいな顔でちょっと照れてる。

もう、かわいいわね。


「2人はもうお昼は食べたの?」

「まだですよ。そういうアカネさんは……流石にもう食べましたよね。」

「あはは……恥ずかしながら、自分の文を作るのを忘れちゃっててね、まだ食べてないのよ。宿に帰ってきたのもさっきだしね。」

「あ、そうなんですか。それじゃ一緒に食べましょう。」

「そのつもりよ。ま、それを食べてもらってからだけどね。」

「そうですね。」


私の指差したそれ、みんなのために買ってきたであろう果物を見てクスッと笑ってから返事をした。

それを手頃の大きさにカットしてみんなに渡す。


「そういえば……レントのお弁当を作ってくれたんだってね。ありがとね。」

「ま、家政婦としては当然のことですから。」

「あ……そういえばそうだったね。」

「私もさっき思い出したのよ。ふふっ。相変わらずレントはその辺緩いよね。レイダも全然奴隷らしいことしてなかったし。」

「そうだね。でも、そこもレントのいい所だよ。」

「そこも、ね。本当にレントの事が好きなんだ?」

「う、うん。」


ふふっ。

照れてる。

かわいい。


「二日酔いの人にあんまり負担をかけるのもなんだし、私達は下でご飯でも食べましょ。」


お昼を食べ終わった私はギルドに向かう。

手紙を届けてもらうためだ。

商隊でもいいんだけど残念ながらそっちの方のツテはないのよね。

だからギルド。

ここなら多少色をつければ確実に届けてくれるだろう。

まあ、場所が場所だからランクがちょっと高めになってしまうけどそれも仕方ないよね。

それに、親への手紙を渡すのにそれくらいケチるなんていう親不孝者のつもりはない。


ギルドに手紙を預け、みんなの介抱をしながら本を読んで時間を潰しているとレントが帰ってきた。

聞いた所、明日には終わりそうとの事。

それが終わったらまた訓練漬けかな。

明日はのんびりしよ。

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