第485話 それは本当に残念だ! 的なお話
今日中に終わらせたいと考えた結果、普段よりも少しだけオーバーして6時48分まで作業をしていた。
でも、その甲斐あって遂に終わった。
「やっと終わった〜。」
「お疲れ〜。」
あれ?
なんか、デジャブるんですけど。
前にもなかった、こんな事。
「よう、レント。助かったぜ。それで……」
まさか!?
それは無いよね!?
「こいつがこれまでの報酬だ。」
「うわぁー………あれ? 報酬?」
「ん? どうしたんだ?」
「い、いえ。前もそんな感じで仕事が増えたので、つい……。」
「流石にそれはな。だが、お前のおかげでなんとか捌けた。ありがとな。」
よ、良かった……。
本当に終わって良かった。
また仕事なんて言われたらアデラードさんが爆発してしまう。
もう2週間も訓練できてないから。
「全部で78万入ってるはずだ。内訳は1日2万が2週間で28万。で、50万はお前のおかげで得た収入の一部だな。」
「ありがとうございます。」
冒険者としてなら2週間でこれは少ないだろうが、命をかけずに得た収入としては高い方だろう。
ぶっちゃけ一月の収入が100万超える。
まあ、今回は状況が特殊だからこんな額になったんだと思うが、それでも十分すぎる収入だろう。
老後は鍛治師でもして過ごすのもありだな。
宿に帰ってやっと鍛治のバイトが終わったことをみんなに伝えた。
「そっか。お疲れ様、レント。」
「本当は最初のが終わった後にユキノ用に刀でも打とうと思ってたんだけどな、この1週間ずっと剣を打ってたから流石に暫くは槌を持ちたくないんだ。悪いな。」
「いや、頼んだわけではないし気にするな。まあ、善意でしてくれるというのだから無理強いするつもりはないが……その………いずれでいいので、くれると、嬉しい……。」
なんか、かわいいな。
でも頼んでいるのは刀と物騒だからプラマイゼロな気がしないでもないが、まあ、かわいいものはかわいい。
「それで、みんなは今日は何をしてたんだ?」
「ん〜、今日は、というより今日もなんだけど、僕はこれを作ってたんだ。レイダさんに習いながらね。」
そう言ってセフィアが見せてきたのはぬいぐるみだった。
それもセフィアの狸形態。
「かわいいけど、そういうのって作りづらくないか? 精神的にさ。」
自分の人形を作るってなんかハードルが高い気がする。
好きな人を作るのもハードルが高いと思うけど。
でも普通はもっとこう、犬とか猫のような動物とかじゃないかな。
あ、狸は動物だ。
「これはレントに貰ってもらおうと思ったんだよ。だから、はい。」
「ありがとう。大切にするよ。」
俺にくれるためか……でも、なんだろう、このもにゃもにゃした感覚。
会えない時はこれを自分だと思ってみたいなノリで作ったのかもだけど、それを貰ってもセフィアは基本いつもそばにいるし、そうでない時もぬいぐるみを抱えるのはちょっと恥ずかしい。
でも嬉しいからなんか表現できない感覚が。
「みんなは?」
「私もセフィアと一緒。これ作った。」
「これ、俺か?」
「ん。自信作。」
「かなり特徴を捉えてるな……」
「ん。夜寝る時に抱いて寝る。」
「いや、本物がいるだろ……。」
「そうだった。」
ちょっとぬけてるのが珍しい。
まあ、最近はあんまり近くにいなかったし寂しかったのかな。
それはちょっと申し訳ないことしちゃったかな。
「私はレイランちゃんとおしゃべりしてました。」
「へー。宿の娘同士話しが合うのかな。」
「はい。宿の問題点とか困った客の対応の仕方とか……楽しかったです!」
ちょっと違くね?
「私はのんびりしてたわ。明日から忙しくなりそうだし。」
「私とエルナは図書館に行ってたわ。」
「私はユキノと一緒にその辺ぶらぶらしてた。」
「珍しい組み合わせだな。」
蒼井とユキノとは珍しい。
「確かにそうだね。ヤマトの物とかないか探してたんだ。まあ、たいしたものは見つからなかったんだけど。」
「そうか。それはちょっと残念だな。」
「本当に。お米とかあればよかったんだけど。」
それは本当に残念だ!
ま、みんな楽しんでたようでなによりだな。
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