第481話 ちょっと、すっきりした。的なお話
朝になって目を覚ます。
目の前にはロリエルフの顔があった。
アデラードさん…………いつの間に。
セフィア達はと寝ぼけ眼で辺りを見回してみるとセフィアとリリンは俺の後ろに。
ルリエはアデラードさんの後ろに、シアとルナは足元に、そしてその他のみんなは椅子に座ったまま寝てたり、ベッドに半分乗った状態で寝てたり、寄りかかってたり、床で寝てたりしてた。
なかなかの惨状だな。
えーと、今の時間は……7時36分か。
朝食を食べてもいいが、まずは少し片付けるか。
とりあえず酒瓶をストレージにぽいっと。
つまみもぽいっと。
半裸のレイダさんと蒼井には毛布をかけて。
そしてこれが重要。
以前もアデラードさんがやって来た時は二日酔いになる人が続出してたから、またあった時用にと用意しておいた二日酔いの薬。
これは部屋備え付の机に置いて、それと一緒に書き置きを書いておこう。
朝食を食べたらグラハムさんのところだからな。
行く時にまだ寝てる可能性があるからね。
そうして1人寂しく食堂で食べているとアカネが降りてきた。
今回も世話する人が必要だろうと考えて飲まなかったらしい。
こういう人が1人いるだけでだいぶ楽になる。
「任せっきりになっちゃって悪いな。」
「気にしないで。それにアデラードさんには逆らえないというか、あの人が来たら酒盛りは避けられないし。」
「そうだな。それで、お前は飲んでみたいとか思わないのか? もしも飲みたいと思ってんのなら止めはしないぞ。」
「ちょっと興味はあるけど今はいいかな。酔っ払って何言うか分からないのが怖いしね。」
「それは分かるな。ま、無理強いする気は無いから飲みたくなったら言ってくれ。みんなの面倒くらいはなんとかするからさ。」
「ま、気が向いたらね。それにしても、あんた増やし過ぎじゃない?」
「何が?」
「何ってそりゃ〜ね〜? 6人プラス3人でしょ? どこの貴族よって話。」
「うぐっ! べ、別に増やそうと思って接してるわけじゃなくて、いつの間にかそうなっていたってだけで……」
「でもアデラードさんには普通にプロポーズしてたよね?」
「あれも勢いだよ。まあ、一度言ったからには違えるわけにはいかないし、その時になったらちゃんと迎えに行くつもり。」
「ふ〜ん。ちゃんとするなら別にいいんだけど、前に言っていたカインに帰ったら結婚式をするって話はどうするの? あの時から6人増えてるわけだけど。」
「そうだな〜。当時は若かった。」
「何言ってんのよ。」
「冗談は置いといて……とりあえず、基本方針は変えないよ。結婚式をするっていうのはね。住んでる場所とかそういうので後々問題が出てくるかもだけど、式は絶対にやる。」
「9人か……神父役の人、捕まるかしら……。」
「な、なんとかなる……はず。」
「宗教的に問題視されないかね?」
「だ、大丈夫だ。アリシアさんが、なんとかしてくれる。」
「神に頼るって……。」
「う、うるさい。そういうアカネはどうすんだよ。実家の事。もう結構時間経つじゃないか。そろそろ連絡してもいいんじゃないか?」
「話題逸らした。」
「うるさい。」
「……実際、何度か連絡しようかとも思ったのよ。手紙ならギルド経由で渡せるだろうし、なんだったら依頼を出せばいいわけだからね。でも、どうしても躊躇っちゃうのよ。私は一度貴族としての地位を失った。そんな私が今更連絡していいものか………支援する対価として、妾になれとか階級が上の貴族から言われたりしないか、とかね。私はこの世界に転生して、今度こそ、輝かしい人生を歩んでやるって思ってて、でもふたを開けてみれば父親が冤罪を着せられて、奴隷にされて。やっと解放されたのに家に連絡とったらまた面倒ごとに巻き込まれないか。そう考えると……ちょっと怖いのよ。」
………重い。
「ごめん。気軽に聞いていいことじゃなかったな。」
「別にいいわよ。いつかはしなきゃいけないことだから。もしもその関係で面倒ごとが起きたらごめんね。」
「仲間だし、同郷だ。助けるのが普通だし、お前を助けるためなら大抵のことはなんとかするさ。最悪、アリシアさんに頼るし。」
「あははは。それは心強いわね。うん。ちょっと、すっきりした。今度手紙を書くわ。」
「そっか。」
「うん。それより、時間いいの?」
「へ?」
「もう9時になるけど。」
「マジで!? うわっ! 本当だ! ゴメン! これ片付けといてくれる?」
「それくらいいいわよ。」
「悪いな。それじゃ行ってくる。」
うぅ。
怒られる〜。
〜アカネ視点〜
さて。
それじゃ実家に手紙でも書こうかな。
今の状況を。
私が今の生活を楽しんでいることを。
そして、好きな人の事を。
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