第480話 心配は見事的中。的なお話
「これは一体どういう状況なんだ? そこのストーカーは置いといて。」
状況がよく分からなかったのでとりあえずセフィアに聞いてみる。
ストーカーとレヴィとイリスさんはなんとなくわかるのでそっちは置いておく。
「あ、おかえりレント。えっと、アデラードさんは仕事が終わったからレントに会いに来て、リナさんもアデラードさんに負けじとって感じで、アイリスさんは、ユーリちゃん達と一緒に来て。それで、3人に……というかシアちゃん達も含めてだけど、みんなに対してユーリちゃんが敵愾心を燃やしちゃって……。」
「あー、うん。なるほど。」
ようはあれね。
前の時もあった、セフィアがいながらなんで増やしてんのよ! って事ね。
でも、こっちも前と同じでシア達の背中を押したのがセフィア達なんだよな。
アデラードさんは勢いで、アイリスさんとリナさんはまだだけど。
「なんでそれでお前がムキになるんだよ……。」
「そんなの、セフィアちゃんに失礼だからに決まってるでしょ!」
「僕達は別に嫌じゃないけど?」
「ん。」
「はい。」
「まあ、私も後から加わったわけだし、文句は言えないわよね。」
「う、うん。ちょっと、びっくり、したけどね。」
「……………………………………え、あ! わ、私にはとやかく言う権利はありませんから。」
そういう関係になって日が浅いため、反応が遅れたレイダさんがセフィア達に視線で促されて慌てて答える。
「え、ちょっと待って……れ、レイダさんも? 前の時は全然そんなそぶりなかったよね?」
「はい、まあ、その時はそんな感情はありませんでしたし。」
「だよね? じゃあ、なんでよ? やっぱり、こいつが無理やり……」
「いえ、それは無いです。寧ろ、拒まれていたくらいですから。最初は奴隷らしく無い生活ができる事にひたすら感謝でした。ですが、共に過ごすうちに自然とそういう対象として見るようになっていったんだと思います。」
「ぐぬぅ……で、でも、やっぱり、セフィアちゃんが……」
「いい加減にしてくれないかな?」
「え?」
「さっきから聞いてれば何? 言いがかりばっかりだよね。君がどんな人間かなんて知らないけど、少なくともレンとのことを好きってわけじゃないよね? そんな君が口を出すことじゃないよ。」
「そ、そういう君はなんなのよ?」
「私? 私はここリステルの冒険者ギルドのギルドマスターでそこにいるアレクシアのはとこよ。レントは私と親戚関係になるわけだから口を出す権利、あるよね?」
「なっ!? ぎ、ギルドマスター!?」
おお〜。
なんだかまともに見える。
それに将来私を貰ってくれるとかは言わないし、すごく頼りになる人に見える。
いや、やっぱ見えないや。
ちっさいし。
とはいえ、そろそろこの場を収めないとダメだな。
レイランの人達の迷惑になる。
「はいはい、そこまで。これ以上はこの宿の迷惑になるから。」
「ぐっ!」
「それで、ユーリは泊まるところは決まってるのか? どうせ敢えて宿を探さずに来てもう空いてないだろうしここに泊まる……みたいなことを考えてたんだろうけど。」
「そ、その通りよ!」
「やっぱり……なら、なおのことここで揉め事を起こすべきじゃないのはわかるな?」
「………うん。」
「なら、みんなに謝って。それでおしまいにしよう。アデラードさんもそれでいいですよね?」
「レントがいいなら私は構わないよ。」
「余計なこと言って、すみませんでした。」
うん。
丸く収まってよかった。
実は周りのお客さんが迷惑そうに、だけどギルマスがいるから文句を言っていいものかって顔をしてたからね。
それに、レイランちゃんも声をかけるべきどうかでオロオロ、うろうろしてたから。
「さて。それじゃ夕食にしよう。」
ようやくご飯が食べられるよ。
で、その際にお互いが自己紹介したんだけどアイリスさんとリナさんが俺にアプローチしてて俺が2人のことを好きになったらそういう関係になるって言っちゃって、そのせいでユーリにチクチクと攻撃されることになってしまった。
そして夕食が終わって部屋で休もうとしたんだが……そこにまで押しかけて来た。
やっぱりこうなったか。
アデラードさんとリナさん、アイリスさんもちゃっかり便乗してるし。
そのまま酒宴へと突入。
………明日が大変そうだ。
「俺は明日も仕事があるんだからな! だからあんまり遅くまでいるんじゃないぞ!」
「分かってるって。」
心配は見事的中。
12時過ぎてもまだ居る。
「はぁ……俺はもう寝るから静かにしてくれよ……。」
明日に響かないといいな。
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