第478話 断れないよ。的なお話
助けた……のか?
うーん。
分からん。
助けるような場面っていうとやっぱりモンスターパレードん時かな。
でも、この子と一緒に行動してたわけじゃないし、やっぱり気のせいじゃないかな?
「ごめん。全く記憶にないんだけど、それっていつの時かな?」
「えっと、モンスターパレードの時です。私、その時は他の冒険者の人と一緒に戦ってたんですけど、いつの間にか突出しちゃってて、でも体勢を崩して魔物にやられるって時にレントさんが魔物を倒してそのまま颯爽と駆け抜けて行ったんです。そのおかげで私は死なずに済みました。だからありがとうございますなんです。」
「あ、そうだったんだ……。」
全く記憶にないや。
えーと、オーガロード異常種(イビルナイトオーガロードとは言いたくない。)を倒した時にはそんな人はいなかったと思う。
まあ、途中で飛閃で一気に駆け抜けて行ったからその辺は覚えてないけど、でも俺達はオーガロード異常種へ真っ先に向かって行ったからいたとは思えない。
だから反転して街に向かっている時かな。
その時に倒した魔物の事とか覚えてないけど。
「その時のレントさんがすごくカッコよくて、ちょっと、ファンになっちゃいました。」
「あ、うん。そうなんだ……。えっと、それで君はどんな武器を使うのかな?」
「あ、えっと、槍です。私は槍を使っています。」
「だ、そうです。なので彼女達に武器を見繕ってあげてくれませんか?」
「おう、分かった。槍に片手斧が2本そして棍棒だな。それで二刀流では得物の長さはどんな感じなんだ? 人によっては右の方が長かったり左が長かったりするからな。」
「確か、長さに差は無かったと思います。だよな?」
「そうよ。」
「あの、私はレントさんに選んでほしいです……みたいな。」
「悪い。俺は槍の事とかあんまり詳しくないんだ。それに鍛治にしてもまだまだ経験が浅いからどの人にはどれが合ってるとか分からないんだ。だからそれは俺じゃなくてもっと経験がある人に選んでもらった方がいい。命を預ける武器だから妥協なんてしない方がいいから。」
「分かりました。確かにその通りですね。」
そしてグラハムさんが武器を選んで………ん?
なんでこっち見てるんですか?
「お前のいう通りだと思うが、そういう経験を積むいい機会だから先にお前が選べ。問題があるならその都度教えるからよ。」
「え、あ、分かりました。」
俺、ただのバイトだよね?
なんでそんなことする事になってるんだろう?
でも、雇われてる身なので文句は言いにくいし、イリスさんがこっちをきらきらした目で見てる。
あんな目をされちゃ断れないよ。
えーと、二刀流だけど確かセフィアの双剣みたいに二刀一対である必要はなく、それこそ剣と斧という種類が違っても効力が発揮するんだったよな。
ユーリの聞き手は右だから右手は攻撃寄りで左手は防御寄りになるのかな?
となると右は少し重めので左は軽めの方がいいかな。
いや、ちょっと待て。
そんなどっちで攻撃するか分かりやすい形にしては魔物相手ならよくても盗賊相手だとまずい気がする。
やっぱり左右に差をつけるべきじゃないな。
だからこれとこれがいいかな。
アイテム鑑定がもっとレベルが高ければ追加効果とかあるのが分かるんだけど……。
続いてはレヴィの棍棒と斧の二刀流。
棍棒だが流石に木製じゃ強度が心許ないんだろうしここに来たって事かな?
なら金属製で、でも片手で持つわけだからあまり重すぎては取り回しがむずくなる。
レヴィはDランクだったけどパワータイプだから力はCランク相当と考えて…………大体これくらいかな。
次は斧。
こっちはエルカの時はやってなかったらまだ始めたばっかりって事だろう。
なら、出来るだけ頑丈なのがいいかな。
それでいて形が独特じゃないので………うん。
決めた。
最後はイリスさん。
ご注文の品は槍。
槍といえばレイダさんだな。
レイダさんの戦い方をイメージして、でもあそこまで攻撃的じゃないだろうからそれを差し引いて。
装飾過多なのってあんまり好きじゃないんだよね。
実用性に欠けるというか。
だから、シンプルでなので、イリスさんはそこまでガタイがいいわけじゃないし加護があるわけじゃないからあまり長いのや穂先が大きいと振るのに不便だろうからそれを考えて………これにしよう。
属性は無さそうだけど、そういうのは高いからね。
あ、そういえば予算とか聞くの忘れてた。
まあ、見せてから考えればいいか。
さて、どんな評価が下るのかな。
そう考えながらグラハムさんに見せにいった。
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