第468話 覚悟してくださいっす! 的なお話

「ところで、この飾り、取っていいですか?」

「やめて! まだ試作段階だけど、それはやめて!」


酷いこと言うな〜もう。


「試作? それはなんの試作というのですか?」

「構想で言えばそのアクセサリーを交換する事で色々な効果を付与出来るようにしたいんだけど、その辺がまだ上手くいかないんだよね。今度師匠に会ったら相談しようと思ってるから、作成の目処がつくのはまだ先だけど一応付けといてくれない?」

「そういう事なら、まあ、分かったわ。」


ふぅ。

よかった。

時間が無かったから無理だったけど、素材とか魔石とかその辺も試してみたい。

出来ればそれだけでなんとかしたいけど、最悪、誰かに魔道具化してもらうつもり。

鍛治師スキルを育てれば効果付与を自由に出来るようになったりしないかな。


「それでは、私はこれで。」


シルヴィアが帰ったので俺も片付けをして、グラハムさんに挨拶をしてからグラハム武具店を後にする。


そして宿に帰らずアイリスさんの元へ向かう。

や、祝勝会はするよ。

でも、その前にまずはここに行くべきだと思う。

これは1つのけじめだと思うから。


「おや、レントさんじゃないっすか。こんな時間にどうしたんっすか?」

「単刀直入に聞きます。」

「なんすか?」

「アイリスさんは俺の事好きですか?」

「ふふぇぇぇーーー!? な、にゃにを急にー!?」

「どうなんですか?」

「そ、そそそ、それはぁ………す、好き、っすけど……でも、どうして急に……?」

「いや、まあ、色々あって、ちょっと考えを変えてね。それで、今まで有耶無耶にしてきたけど向き合おうっていうか、その、ケジメをつけようと思って。既にお嫁さんが居ますしこれから増えるかもですけど、それでも俺がいいですか?」

「なんっすか、それ………随分と酷いセリフっすね。」

「分かってます。実はさっきギルドの受付のリナさんが押しかけてきて、それで言った事があります。同じようなセリフで申し訳ないんですけど、これはずっと前から決めてたので言わせてもらいます。」

「はい。」

「俺は既婚者で既にそういう人がいます。なので、もしも俺の事が好きでそういう関係になりたいというなら、アイリスさんが、俺をアイリスさんの事を好きにさせてください。」

「はは………なんっすか、それ……。でも、それってつまり、私にも可能性があるって事っすよね?」

「はい。アイリスさんはもう知ってるかもですけど、ウチの嫁達は増やす事に抵抗はない……どころか率先して増やそうとしてます。なので後は俺を惚れさせる事ができれば俺はアイリスさんを受け入れます。」

「…………………。」

「アイリスさん?」


ふらっとこっちの方に歩いてきたアイリスさんは、突然抱きついてきてキスをしてきた。


「っ!?」


「今のは、私のファーストキスっす。絶対に、好きにさせてみせるっすから、覚悟してくださいっす!」

「期待してます。」


これで全員にケジメをつける事ができたよな?

他に告白されたりした事は無いよな?

…………………うん。

無いな。

妹の唯に度々好きだと言われてきたけど、妹だしノーカンだ。

それにこっちに居ないしな。

いや、告白はされてないけどもう1人ケジメをつけないといけない人がいたか。

その人に告白されたわけじゃないけど、既に俺が好きだからな。

でも、今の立場だと絶対にそれを認めないと思うから、まずはそれをどうにかする事が先か。

そうと決まれば早速、宿に帰るぞ!

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