第425話 仲は良いんだよね。的なお話

ギルドの酒場にてぐでーっとしてます。

肉体的な疲労はそれほどではない。

リィナさんの特訓の方が辛かったくらいだ。

でも、今回のは精神的な疲労がハンパない。

魔力操作という集中力を使う訓練だった上に、エリーナさんによる指導とお叱りが厳しくて余計に、ね。

そういえば、リィナさんにリナさんにエリーナさんってなんか似てるなぁ。

見た目も種族も違うからただの偶然なんだろうけど。

……リィナさん達、元気かな……?

最近全然会ってないな。

まあ、それは仕方ないけどさ。


「私がやったとはいえ、その、大丈夫ですか?」

「あーいえーだいじょーぶでーす。ちょっと精神的に疲れただけなんで。」


訓練が終われば鬼教官から普段の真面目なエリーナさんに早変わり。

だから俺も普段通りな感じで、でも精神的な疲れがあるから机に突っ伏しながら返事をする。

この机、ちょっとザラザラしてるな〜。

ヤスリがけちゃんとしろよ。


「その様子だとビシバシしごかれたみたいだね。」

「ちゃんと仕事はしていたんでしょうね?」

「ち、ちゃんとやったよ!」

「そうですか。では、後で他の職員に確認しますね。」

「ちょっ!? なんでそうなるの!?」

「念の為です。私が見てないからといってサボっている可能性がありますから。」

「そこまではしないよ!?」


2人の関係はそう簡単には変わらないか〜。


「お待たせしましたー!」


と、ここでお昼ご飯の到着だ。


「まあ、仕事の話は置いといて、今は食べましょう。」

「私まだ頼んでないんだけど……」

「では先に食べてますから後で1人寂しく食べればいいのでは?」

「酷いっ!?」

「ふふ。冗談です。食べ終わるまでは待ってあげますから。」

「全くぅ……。」


なんだかんだで、仲は良いんだよね。


「それでレントさん。」

「なんですか?」

「午後のことなのですが、精神的疲労が溜まっているでしょうしお休みにしましょう。無理してもかえって悪影響を及ぼしますから。軽く遊んだりしてリフレッシュしてください。」

「ありがとうございます。」


訓練後のケアもしっかりしてるし、本当にいい人だな。

何処ぞの人だと、終わったんだし飲もう! とか言うだろうし。


食べ終わって一旦宿に帰る。

着替えとかしたいしね。


「それでみんなはどうする?」

「私は疲れたから寝る〜。」


蒼井は寝るそうだ。

まあ、疲れたし理解出来るな。


「私は依ら……「休もうね?」……分かりました。では私は部屋で本でも読んでいます。」


レイダさんは相変わらずだな。


「僕はレントと一緒がいいな。」

「私も。」

「私はここでのんびりしたいです。ちょっとキツかったので。」


セフィアとリリンは俺と一緒でルリエはのんびりしたいと。


「私はどうしようかな。」

「わ、私は、絵を、描きたいです。」

「私は特にないな。誰かと一緒でいい。」

「私は……私も部屋で休んでるわ。」


シアとユキノは未定。

ルナは絵を描きたい。

アカネは休む。

アカネはまだ調子は良くなさそうだな。


「じゃあ、シアは俺と一緒にアイリスさんのところに来てくれ。ほら。前にアルバ達の馬具を用意するって言ってたろ。」

「そういえばそうね。分かったわ。」

「馬具?」

「ああ。シアが馬に乗れるって言うから俺も教わろうと思ってな。」

「へー。ねぇシアちゃん。僕にも教えてくれない?」

「いいわよ。といっても、まずは色々と揃えてからだけどね。」

「うん!」

「リリンはどうする?」

「私はいい。水狼がある。」


なるほど。

確かにあれに乗れるなら馬も大丈夫だろう。

俺は人にしがみつかないと無理だったけど。


「じゃ、そういうわけなんで俺達は出掛けるな。あ、ユキノはルナに付いてってくれ。余計な奴らが寄ってこないとも限らないからな。」

「それもそうだな。分かった。私に任せてくれ。」


全員の予定が決まったところで早速アイリスさんのところに向かう。

今度こそ、正常に戻っているといいんだけど……不安だ。

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