第419話 穴に落とす。的なお話
2日酔いの薬を買って帰ったけど、流石にみんなは今日は訓練できないかな。
「はい。2日酔いの薬。訓練に関してだけど、みんなは休んでて。俺らは浅い所で訓練して来るから。何か困ったことがあったらレイちゃんに言ってね。すでにお願いはしてあるからさ。」
本当は看病とかしてたいんだけど、無事な連中くらいは訓練しとかないと、また面倒なことになりかねない。
原因はアデラードさんだけど。
うぅ。
心配だなぁ〜。
ルリエ、アカネ、ルナを連れてギルドに向かう。
バランスは一応いいよな。
前衛が2人、中衛が1人、後衛が1人。
でもま、今回は関係ないけどな。
魔法だけで倒せとの事だからな。
とりあえず手頃な依頼は………これかな。
本当は森のくまさんとかゴリさんとかを相手にしたい所なんだけど、今はCランクの依頼は少ないし、なにより企画の立案者なもんで、流石に気を使う。
だから今回もDランクだ。
Cランクのは遭遇したらという事で。
「こんにちは、リナさん。これとこれお願いします。」
「はい。分かりました。あの、ところで、みなさんはどうしたんですか? いつもよりも人数が少ないのですが……。」
「あなたの所のギルドマスターが酔い潰して今は2日酔い中です。」
「はぅっ! そ、それは申し訳ないことを……」
「まあ、そのアデラードさんも既にエリーナさんに叱ってもらってお仕事中のはずだから、リナさんが気にすることじゃないですよ。」
「うぅ〜。じゃあ、なんであんなこと言ったんですか?」
「ちょっとした八つ当たりです。ごめんなさい。」
「レントさんのいじわる……。はぁ。そんなに素直に謝られたら怒るに怒れないじゃないですか。でも、そういうのはこれっきりにして下さいね。」
「善処します。」
「そこは断言して下さい!」
「あははは。それじゃ、仕事に行って来まーす。」
「あっ!」
ギルドを後にして街道から外れて林の中へと入っていく。
相変わらず同業者はいないな〜。
カサカサと現れたのは蜘蛛……
「焼滅しろ。」
蜘蛛だと認識した時には燃やしていた。
未だに蜘蛛に対するトラウマが……
なんとかしなければとは思うけど、こればっかりはどうしようもない。
別に何か問題があるわけじゃないし、ただ単に見つけ次第滅殺するだけだからむしろ時間をかけずに倒しているぶん時間の節約になっていい気もする。
でも、冷静さを失っているし、やっぱり治した方がいいかも。
ま、これはおいおいかな。
「って! ちょっと、これ持ってかないの!?」
「いらんだろ。だって蜘蛛だし、触りたくないし。」
……………完治するのはだいぶ先だな。
蜘蛛の後に見つけたのはアリさん。
6匹ほどでたむろしてる。
無視した。
だってこっちの数より多いし。
げっ!
ターゲットの魔物を探していたらブラックローラーが現れた。
こいつは回転して襲って来るときはかなり危険で、生半な魔法じゃ簡単に弾かれてしまうし、物理的に止めることも現在は無理。
逃げようにも流石にルリエとルナでは逃げれるかわからない。
………武器を使うべきか?
いや、まだ策はある。
「俺があいつを引きつけるからみんなはあいつが入るくらいの落とし穴を作ってくれ! 出来たらそこにあいつを落とす。」
「分かったわ。」
「う、うん。」
「分かりました。」
「ブレンネンドルヒ!」
火の短剣を飛ばす魔法で気を引き、みんなから引き離す。
そういえばこいつはどうやって方向転換、というかどうやって転がり続けているんだろう?
不思議だ。
「ファイヤーボール!」
適度に魔法を放っているがその全てが弾かれて終わってる。
別にあれを倒してしまっても構わんのだろう? なんて言わなくてよかった。
倒すどころかダメージすらまともに与えられていない。
ただ倒すだけならステータスと武器に物を言わして止めてから焼けばいいが、それが出来ないとすごくめんどくさい。
「まだか?」
「もうちょっと。」
それに今のメンツに土魔法が使える奴が居ない。
セフィアがいればすぐに出来たんだろうが、今はゴリゴリと削るしか出来ない。
というか、4人とも火魔法使いって……
「準備できたわよ!」
「よし来た!」
みんなの元に向かい穴の前に陣取る。
そしてタイミングを計って横に躱してダンゴムシを穴に落とす。
「ギィィィィィィィィィ!!!」
炎で穴を開けたのか、地面が少し溶けていて煙を上げていた。
だからだろうなぁ。
穴に落ちた瞬間にダンゴムシが悲鳴を上げていた。
あ、開いた。
と思った時には3方向から炎が飛び込んでいきダンゴムシを焼いた。
ふぅ。
なんとかなったか。
魔法だけってのは結構大変だな。
それに奇襲も禁止だから尚のこと。
でもまだターゲットの魔物を倒してないし、気を引き締めていかないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます