第395話 ドクドク出てるし的なお話

料理を仕舞い、武器を構えたところで魔物の群れが現れた。

間に合ってよかった〜。

武器は何が来るかわからないし警戒していつものウルなんとかの剣だ。


そして現れたのはオーガだ。

ウルなんとかの剣なら一撃で倒せるだろうが、それはあくまで相手が少数の時だ。

今回の様に囲まれている状態だと、ちょっと不利だ。


「オーガの群れだと!?」


あ、ユキノが驚いている。

確かにオーガは単体でCランク、群れだとBランク相当になることもあるというし、驚くのも無理はないか。

それに、シア、ルナ、蒼井を庇いながらという形になるため苦戦すると思っているのだろう。

だがそれも囲まれたままの場合だ。

突破さえすればそれは解消される。

囲まれた状態で1人2体を相手しながら後衛を守るというのは大変だからな。

わざわざそんな苦労をする必要なんかない。

というわけで、さっさと突破……


「水狼咬牙。」

「グラップルロック。」

「アイスケージ。」

「シャドウオブデスピアーズ。」

「エアロカノン。」


ウチの連中が次々と魔法を放つ。

その結果、4体が倒され6体が動きを封じられた。

全然物怖じしないのな。

全く……、警戒していた俺が恥ずかしくなるじゃないか。


「じゃあ、俺も!」


自由に動けるオーガは残り4体。

これなら突破をせずに普通に倒せばいい。

だからルナの魔法で動きを封じられている奴の首をすれ違いざまにスポーンしてから、自由なオーガに剣を振り下ろす。

しかし、手に持っている金棒で防がれる。

…………どこで手に入れたんだろう、その金棒。


「グルゥアッ!」

「どわっ!」


嘘だろ!?

俺これでもBランクだぞ。

それに恩恵の関係で攻撃力だってかなりの物の筈なのになんで弾かれてんだ!?


「レント! 指! 指輪つけっぱなしだよ!」

「へっ? って、ああ! 忘れてた!」


指輪のせいで弾かれました。

恥ずかしい……

でも、すでにロックオンされているし指輪を外す隙なんてないだろうな。

となれば、このままやるしかない。

目を鍛えるいい機会だ。


「来いよ。ぶっ倒してやるからよ。」

「グラァァァ!」


挑発してるのが分かったのか、激昂しながら突っ込んで来る。

やたらめったら振り回す金棒を躱しながらオーガの動きをじっくりと観察する。


振り下ろし、薙ぎ払い、振り上げ、また振り下ろしと次々に繰り出してくる。

それらをひたすらに躱していく。

うん。

分からん。

漫画だと手の動きだと回避が間に合わないから肩とかの筋肉の動きで察知しろみたいのがあるけど……全然わからん!

せいぜい、こいつの癖くらいだな。

薙ぎ払いの後はほぼ確実に振り上げが入る。

もう少し見ていたい気もするが、こいつ1体にあまり時間をかけるのもな。

みんながすでに終わらせているかもだけど、早く終わらすに越したことはない。

それにまだご飯残ってるし。


袈裟斬りの様に振り下ろしてくるのを躱し、薙ぎ払いがくる。

きた!

薙ぎ払いをギリギリで躱し振り上げ攻撃を奴の左側に躱しながら接近して首を一突きにする。

心臓の位置なんて知らないから他の急所を狙う。

流石に急所ならば低下した攻撃力でも一撃で倒せるだろう。


血がドバドバと流れながら膝をつき、顔を歪め、そのまま前のめりに倒れた。


…………ちょっと、夢に見そうだ。


「お疲れ、レント。どうだった? 何か分かった?」

「いや、全然だ。せいぜい敵の癖があるな〜ってくらいだ。」


どうやら訓練をしているということを察してくれていたようで、他のオーガ達は既に全部処理されていた。


「そっか。まあ、まだ始めたばっかりだし仕方ないよ。それよりもお昼の続きをしよ。ここはちょっとアレだから場所を移そ。」

「そうだな。」


俺が倒したオーガ、血、ドクドク出てるしね。


その後場所を移してお昼を食べ直す。

血を見たがそれで気分が悪くなって食欲がなくなるなんてことはないが、そういうのに慣れてしまった自分に困惑してしまった。

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