第396話 味方のようだ。的なお話

蛇料理も堪能したし、くまさん探しに入りますか。

くまさんとはよく会うしすぐに見つかる……なんて考えは良くないな。

いつも大体そういうことを考えると全く逆の結果になったりするからな。

だからそういう安易な考えはやめよう。

早めに遭遇出来たらいいな、くら……


「グルゥ?」


あ、こんにちは。

……じゃない!

早速遭遇かよ!

しかし、それはそれで好都合。

さっさと倒して帰ろう。


「レント、頑張って!」

「はい?」

「1匹だけだし、訓練にちょうどいい。」

「あ、あ〜、そういうこと。」


どうやら俺1人でやるようです。


「周りの警戒はしておくから存分にやっちゃって。」

「あ、はい。頑張ります。」


どうもくまさんを狩り過ぎたようで雑魚認定のようだ。

一応こいつはCランク扱いなんですけど……


「いやいや、相手はCランクだぞ! いくらBランクでも攻撃を下げた状態で1人では流石に危険ではないか!?」


おお……

どうやらユキノは味方のようだ。

でも、弱く見られるのは今後のことも考えれば、あまり良くはないな。


「大丈夫だよ。まあ、そこで見ててくれ。」


武器を鉄の剣に変えてくまさんに向かって駆け出す。

確かに攻撃力は下がっているだろう。

しかし、くまさんならば何度も倒しているし今更その程度のハンデで負けるはずがない。

まずは上段からの一撃。

しかし腕で防がれる。

攻撃力が低く武器の斬れ味もあまり良くないからか、腕を飛ばすことはできず傷をつけるにとどまった。

まあ、それでもそれなりに深手ではある。

追撃を受けないように少し離れる。


「グルアァァァァァァ!」


それでキレたのか叫びながら駆け寄ってくる。

ふむ、右腕での薙ぎ払いか。

俺はそれを攻撃して来るタイミングに合わせて跳び越えながら肩に一撃。

振り向きながら腕を振り回して来るのをかがんで躱してから首に一撃。

斬れ味が悪いから倒す程ではないがかなりのダメージだろう。

血を多く失ったからか、ふらつくくまさん。

そんな隙を見逃す理由なんてない。

再度接近してもう一度首に一撃入れて倒す。


「ふぅ。」

「お疲れさま、レント。なんか攻撃のタイミングが分かってたようだし、訓練の効果あったみたいだね。」

「へ?」

「違うの? なんか飛び跳ねてた時タイミングがぴったりだったんだけど。」

「言われてみれば………確かに何故か攻撃の仕方が分かったんだよな。あれかな? たくさん倒してきたからそれでなんとなく癖とかそういうのが分かるのかな? 少なくとも目を鍛えたとかじゃないな。」

「そっか。まあ、まだ始めたばっかりだしこれからだよ。僕もやるから一緒に頑張ろう。」

「おう。」


若干傷が多いくまさんをストレージに仕舞いギルドへと向かう。


「お疲れ様です、レントさん。今日のは少し傷が多いんですね。」

「はい。ちょっとアデラードさんからの指示で武器と攻撃力にハンデを付けるように言われてて、それで少し。」

「そうなんですか。」

「それで、品質の方は?」

「あ、はい。これくらいなら問題ないですよ。」

「そうですか。良かった。それと、これらの買取もお願いします。」

「お、オーガですか。それも14体も……」

「ええ。お昼を食べてる時に襲われまして。」

「そんなに奥まで行ったんですか?」

「いえ、いつもとそう変わらないと思いますけど………ひょっとして、何か問題が? あそこにはいない、とか。」

「いえ、いるにはいるんですけど、問題はそこではなくて、他の冒険者が襲われないかな、と。とりあえずは報告待ちですかね。他にも報告例があった場合は警告文の作成をするという形になると思います。」

「問題ないのならいいんですけど……大規模な集落があるとかないですよね?」

「さすがにそれはないですよ。ゴブリンやオークと比べてそこまで繁殖力が強いわけじゃないですし、少し前にエルカという街でモンスターパレードがあったそうですし、同じ国でそうそうそんな騒動があるわけないじゃないですか。」

「それならいいんですけど…」


これがフラグになったりしないよね?

まあ、大丈夫って言ってるんだし、信用するか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る