第336話 多分嫁になると思う。的なお話
朝帰りをして宿レイランの借りている部屋へと入るとそこにはのんびりとお茶をすするアリシアさんとレイカーさんがいた。
本当に、どうやって知ってるんだろうね?
「あれ? この人達って確かレントの知り合いの……」
「うん。貴族の、人だよね。」
そういえば、俺が3人にプロポーズした時に会ってたんだっけ。
「昨夜はお楽しみでしたね。」
「なっ!? だ、だからそういうのはやめてくださいってば!」
「うふふ。ごめんなさいね。でも、つい言いたくなってしまいまして。」
「………全く。」
「あの………」
「あ、以前に一度会っていますよね。」
「あ、はい。」
「それでは、改めて自己紹介させていただきますね。私の名はアリシア。女神をしております。」
「………………………………はい?」
「そしてこちらが私の部下で女神のレイカー。」
「レイカーです。よろしくお願いします。」
「「………………………。」」
唖然って感じで2人が惚けてる。
ギギギって擬音が聞こえてきそうな動きをした後俺に詰め寄ってきた。
「めめめ、女神ってどういう事よ!? それにア、アアア、アリシアって、そそ、創造神じゃないの!!」
「ちょっ、落ち着けって!」
「落ち着けるわけないでしょ! だって創造神よ、創造神。この世界を作った一番偉い神様がなんでいるのよ! 好きな人と結ばれた翌日に創造神降臨ってどういう事よ!」
あ、好きな人って言ってくれた。
凄く嬉しい。
◇
「レントが転移者で別の世界出身で、創造神の加護持ち?」
「はい。」
取り乱すシアとルナを宥めること10数分。
ようやく落ち着いたところで、いざ説明をと思ったら全部アリシアさんに説明されてしまった。
別にいいんだけどね。
誰が説明しようとも結果は変わらないんだから。
でも、俺が説明した事って今まであったっけ?
全部アリシアさんに説明されてる気がするんだけど。
「つまりレントが強いのは加護のおかげって事ですか?」
「いいえ。それは違います。確かに他の人たちよりも強くなりやすいのは事実ですが、彼が強いのはきちんと努力した結果です。依頼を受け、仲間と模擬戦を行い、格上の人に師事し、疲労困憊になりながらも努力してきた結果です。加護は言ってみれば才能を与える能力です。争いのない世界に生まれ戦いというものをろくに知らない人が、理の違う世界にある日突然やってきてそこで一生を生きなければならなくなった。私の加護はこの世界で生まれた人とのその差を埋めるだけに過ぎません。それに、たとえどれだけのアドバンテージがあろうとも、努力しなければ何も得られませんよ。あなたの目から見て、レントさんはどう映りましたか?」
「私にとってレントは……生き残る為、私たちを助ける為に無茶をして、依頼に失敗したり、悩んたり、笑ったり、怒ったりする……どこにでもいるごく普通の男の子です。転移者とか、加護があるとか関係ない、大好きで大切な普通の男の子です。」
「そうですか。」
どうしよう。
凄く恥ずかしいんだけど。
俺今絶対顔真っ赤になってるよ。
「あ、あの、きょ、今日はどうしてここに?」
「ああ、それはですね、お二人がレントさんとそういう関係になったので、加護とお呪いをしようかと思って。」
「あ、やっぱりするんですね、加護。」
「はい。」
「あの、お呪いってなんですか?」
「お呪いというのはですね、簡単に言えばレントさん以外の方からいやらしい事をされそうになると天罰が下るというもので、あれが爆ぜて背骨がこんにゃくになります。」
「こ、こんにゃくって……」
「それでどうしますか? 私としては余程の事がない限りお呪いを解呪するつもりはありませんからよく考えた上で答えてくださいね。」
「考えるまでもありません。ぜひお願いします。」
「お願いします。」
「本当によろしいんですね?」
「はい。既にセフィアからも言われてましたから。告白するならレントを裏切らないでって。だから告白する事を決めた時には既に心は決まってました。レントと添い遂げようって。」
「そうですか。では……」
セフィアがそんな事を。
それに、添い遂げようって……。
凄く嬉しい。
「終わりました。加護とお呪い。それと異世界言語適応と超隠蔽と自己鑑定の付与は無事に済みました。では、私たちはこれで。」
「え? もう帰っちゃうんですか?」
「ええ。今ちょっと仕事が立て込んでいまして。」
「そうなんですよ。それなのにアリシア様ったらレントさんと会うからって服を凄く気に…ふがもぐ!」
「で、では私たちはこれで帰りますね。また、会いましょう。」
そうしてアリシアさんとレイカーさんは帰って行った。
「何あれ?」
「えーと……いつもの事?」
「何それ?」
恋人が増えました。
でも、お呪いを受け入れてたから多分嫁になると思う。
これで5人。
色々と大変な事もあるだろうが、それ以上にきっと楽しい毎日になるだろう。
だから、これからも嫁達を愛して笑って生きよう!
改めて俺はそう思った。
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