第330話 裏切らないで。的なお話
なんか、やる気が無駄になってしまったな。
いや、まだ夜営が残ってる。
気を抜いちゃだめだ。
それに2人が完治したかも分からないんだから。
「あ、レント。今日はセフィアとやらせて。ちょっと話したい事もあるから。」
「あ、うん。」
あれ〜?
「だからレントはリリンとルリエちゃんとやって、私達が最初で次がレント達、最後にアカネ達で。」
「あ、はい。分かりました。」
このやる気、どうしよう。
その後、セフィア達が作った夕食を食べて、シアの言った通りの順番で見張りをする為に俺は先に寝る事に。
俺、今日は本当に何もしてなかったな〜。
〜アレクシア視点〜
正直に言って、昨夜のあれには少し怒ってる。
なんで普通に寝るのかな。
そりゃ、私はまだそういう関係にはなれてないけどさ、だからって意識する事なく寝るなんて酷くない?
そんな思いを一緒に見張りをしているセフィアについ愚痴ってしまう。
「………あはは。まあ、レントは疲れてたんだと思うよ。レントは2人の事を気にかけてたし、2人が恐怖と向き合えるように、冒険者を続けられるようにって気にかけてたから。」
「そう、なの?」
「うん。シアちゃんさ、レントにホットミルクもらったでしょ?」
「う、うん。」
「それね、僕が寝る前に2人のどっちか、もしくは両方が起きてくるかもしれないからって言って僕に作ってくれって頼んできたんだよ。」
「そう、だったんだ……」
「でもさ、それを気にするって事は、やっぱりレントの事……」
「う、うん。やっぱり、私はレントの事好きみたい。」
「そっか。それでいつ告白するの?」
「えっと、その、地上に、出てからしようかなって。」
「そうなんだ。応援するよ。」
「………やっぱりセフィアが応援するのって変じゃないかな?」
「そう? でもリリンもルリエちゃんも同じ意見だよ。」
「……………はぁ。やっぱりちょっと変わってるわね。でも、今はそれがありがたいわ。それで、エルナはどうするの?」
「………………………………………………え?」
「え? じゃないでしょ。エルナも好きなんでしょ、レントの事。」
「え? なんで、え? どうして? なんで、分かっ……」
「まあ、レントだけは特別な感じがあったからね。未だに他の男の人は無理なのにレントだけは別だったからさ。」
「う、うん。本当は、セフィアちゃん達の、旦那さん、だから、諦めないと、いけないって思ってた。だけど、ひっく、やっぱり諦められなくて、ぐすっ、本当に、ごめんね。」
「ちょっ! なんで泣くのよ!?」
悪いと思ってるのかエルナは泣き出してしまった。
というかあんたはサキュバスの血を引くのに真面目すぎるよ。
「泣かないで。僕達は本当に気にしてないから。」
「でも、でも……」
そう言うセフィアはエルナをぎゅっと抱きしめた後、肩を掴んで顔を合わせる。
「それに、本当にレントの事、好きなんだよね?」
「う、うん。」
「だったら、その想いから逃げちゃだめ。せめてその想いだけは相手に伝えないと。」
「うん。」
「まあ、僕達が逃がさないけどね。」
「……え?」
「あははは。まあ、レントならちゃんと向き合って伝えれば受け入れてくれるよ。だから、これだけは言わせて。………レントを、絶対に裏切らないで。」
「…………う、うん。」
最後の言葉を言うときのセフィアの顔は凄く真剣なもので、エルナはもちろん、横で見ていた私までその雰囲気に呑まれる。
でも…………さりげなく告白する事を確定させてない?
その後はなんでもないような事を話したりしながら見張りを行い、レント達と交代して私達は眠った。
◇
翌朝、私が起きた時には既にレントは起きていて今日も素振りをしていた。
その表情が凄く真剣でつい引き込まれてしまう。
かっこいいなぁ……
朝食を済ませて地上を目指して出発する。
今日中にダンジョンを出る予定だ。
そう思っていると、階段から騒々しい音が響いてくる。
冒険者かな? と思っていると、その先頭にいたのはユキノで、後ろからたくさんの冒険者が降りてきた。
「アレクシア、エルナ!」
ユキノが私達のもとに飛び込んできた。
どうやら捜索隊を編成して探しに来てくれたみたいだ。
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