第293話 頭領が……的なお話

そよ風亭に帰ってクリストファーから聞いた情報をみんなに伝える。

頭領はハゲ頭に鼻のところに傷がある大男で、武器はメイスを使うこと。

アジトはここから西に1時間くらい歩いたところにある洞窟を利用してること。

頭領は実は…………男好きだということ。


身の危険を感じるよ。


「と、盗賊のくせに男色とか……ドンマイ。」

「………もう少し表情を隠してから言えよ。」


蒼井が楽しそうな表情を浮かべながら言ってきたから力なくツッコんだ。

それに身の危険を感じるものの嫁が狙われる可能性が低いんだ。

そう考えたら少しは気が楽になるから、だから、大丈夫。

きっと大丈夫なはずだ。

大丈夫……だよね?


「そ、それでいつ攻めるの? 出来るだけ早いほうが良いよね。」

「え、ああ。早朝くらいが良いかなと思ってるんだけど。」

「早朝?」

「うん。今からじゃ暗くなるだろうし、それに早朝なら油断してそうだしね。」

「確かに早朝なら見張りも少ないだろうし、寝てる人もいるかも。でも、人質はどうするの?」

「そう簡単に殺すとは思えないし、こう言っちゃあれだけど、見た目も平凡だから酷い目にはあってないと思う。」

「頭領は男色。」

「うっ。まあ、そういう理由もあるから暫くは大丈夫だと思う。早いに越したことはないだろうけどね。」

「だから早朝なのね。」

「そう。明日は4時くらいにここを出たいから早く寝てね。」


みんなが頷いたのを確認した後、馬鹿に聞いたアジトの造りをもとに攻め方を話し合ったり、陣形を決めたりした。

そして食堂の夕食の営業の開始したのと同時に夕食を済ませ、夜のアレも早めに始めて早めに終わらせてから就寝した。

やらないという選択肢はない。



「みんな、それじゃあ行くよ。」


その翌日、話した通り早朝にアジトへと赴いた俺達はまずは船を漕いでいる見張りを無力化する。

そして話し合って決めていた陣形を組んでアジトへと突入した。

陣形はリリンを先頭にセフィア、レイダさんの二列目、ルリエの三列目、俺とアカネの四列目、殿に蒼井という布陣。

リリンは敵の察知と罠の感知が出来るから先頭にし、同じく敵を察知できる蒼井が殿を務める。

敵を見つけたらセフィアとレイダさんが出来るだけ倒すということになっている。

戦闘になったらリリンの次に速いセフィアと、戦うのが好きなレイダさんが基本的に対処し、後ろからの襲撃は俺とアカネが対処し、ルリエはそのどちらかで敵が多くきた場合の予備戦力だ。

まあ、ルリエが戦うことはないと思うけど。


前に潰した盗賊のアジトと同様にここもまずは鳴子で敵の存在を知ろうとしていたが、リリンがあっさりと見破り、鳴らすことなく通過する。

アジトは一本道の洞窟にそこから掘り進めて部屋を用意した感じの造りになっている。

数は知ることができたのは、牢屋と頭領の部屋、そして下っ端の部屋だったそうで、場所は順に奥、最奥、手前とのこと。

他にも部屋はあるだろうし、隠し部屋とかもあるかも知れないが、リリンの気配察知の前では全くの無意味だった。


今も、セフィアとレイダさんが盗賊を捕縛しているところだし。

これで12人目。

あ、13人目も捕まえた。

情報通りなら全体の3分の2をすでに捕まえたことになる。

ここまででまだ30分しか経ってないし、順調かな。


更に奥へと進んでいくと右側の横道から人の気配が2つ、奥の方から4つだそうだ。

恐らく右側の方は馬鹿の片割れとその見張りだろう。

奥の4つは頭領と側近かな。

見張りが1人ならどうとでもなるし、人質の方は後回しにして先に頭領を倒しとこう。


そして、頭領がいるであろう最奥へと行くと…………頭領がお楽しみ中でした。


「てめぇ、嫁達に何つーもん見せてくれてんだ!!」


全裸で隙だらけの敵を俺は蹴散らした。

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