第292話 すり替わってたよ的なお話

「ふーん。そんな事になったのね。」


アカネ達を呼んで村長さんの話を伝えた。


ア「で、どうするの?」

蓮「俺としては別に受けても良いと思ってるけど、みんなが嫌なら断ろうかなって。」

ア「あのクリストファーだっけ? 彼が言うには盗賊は18人なのよね。」

蓮「そう言ってたけど、それが本当かはわからないし余剰戦力があると考えたほうが良いと思う。」

ア「そうね。でも、言っちゃなんだけど、こんな何もない村の近くに住み着くような盗賊だしそんなに強くないんじゃない?」

蓮「かも知れないけど、油断は出来ないよ。それにみんなが傷つくのやだし。」

セ「でも、人質がいるんだよね。それはなんとかしたほうが良いんじゃないかな?」

ア「そういえばそうね。でも、それだとなおのこと難しいんじゃない? 利用されたりしたら手を出せないし。」

セ「向こうは面識があるとは思わないし大丈夫じゃないかな?」

ア「うーん、なんとか全員おびき出せれば良いんだけど……」

リ「受ける前提で話進んでない?」

「「「あ……」」」


受けるかどうかの話し合いのはずがどうやって倒すかに話がすり替わってたよ。

なので、改めて受けるかどうか、みんなに聞いてみた。

その結果、18人+αならなんとかなるだろうという事で全員受けても良いという事になった。


「それじゃ、俺は村長さんに受けると伝えて来るよ。後、ついでにあの馬鹿からもう少し盗賊について聞いてくるわ。アジトの場所とかも。」

「ん。」

「いってらっしゃい。」


食堂でのんびりとお茶を飲んでいた村長さんに依頼を受ける事を伝えると、大層喜んでいた。

そういえば報酬の話をしてなかったな。

別に今は金に困ってないが、無償で働く便利な奴だと周りに思われたくないし、その辺の事を交渉する。


「そういえば、その辺の話はしてませんでしたな。こちらが出せる物は30万リムとこの村特産の燻製肉を出そう。」

「燻製肉?」

「恥ずかしい話、この村はあまり裕福ではなくてな。それで報酬が少ない分のその補填にそんなものしか出せないんだよ。」

「まあ、それでも別に良いですよ。」

「そうか。ありがとうな。」

「それで、クリストファーは今どこに?」

「ん? ああ、アジトの話か。」

「それと、盗賊の詳しい情報も知っとかないとですから。」

「なるほどな。奴なら今は村の収容所に一時的に入れられているはずだ。案内しよう。」


村長さんの案内のもと、収容所へと向かう。


収容所に着いて、落ち着いたクリストファーから盗賊の詳しい構成、アジトの造り、頭領の人相やその人柄なんかを聞く。

まあ、使いっ走りだからそれ程情報があるわけではないが、頭領についてを聞けたのは良かったよ。


たいした量ではないが、俺は得た情報をみんなのもとに持ち帰った。


〜セフィア視点〜


「そういえば、蓮斗と彼は面識があるみたいだったけど、どういう関係か知ってる?」


レントが行ってからアカネちゃんがそんな事を聞いてきた。

そして、それはみんなも気になるようで僕とリリンの方を見る。

まあ、リリンはその時には居なか くて知らないから見ても意味はないんだけどね。


「彼とは、その、昇格試験の時にちょっとあってね。」


うぅ。

そういえば、あの時は公衆の面前でき、キスをしたんだっけ。

思い出したら、なんだか顔が熱くなってきたよ。

あの時はレントが自分のものだって周りに教えるためだったんだけど、凄く恥ずかしかったよ。


その時の事を思い出して、顔を赤くしてるのを不審に思ったみんなに見られて、余計に顔が熱くなるのを感じる。


「ちょっとって?」

「えとね……」


その時にあった事を伝えるとみんな呆れたような、なんとも言えない表情をする。

キスしながらわけのわからない事を言ってきたんだからそうなるよね。

でも、それで顔を赤くしてる理由にはならないと、更に事情を聞かれて全部話す羽目に。


「うぅ。もうお嫁に行けない。」

「もう行ってるよ。」


リリンにツッコまれた。

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