第294話 盗賊団が実は……的なお話

頭領とお楽しみしてた連中はそこらへんに転がっていたボロ布を巻きつけてから縛る。

嫁達にはさせられないから俺がやるんだけど……なんか、妙な悪寒がする。

俺はノーマルだから!

だからそんな目で見てんじゃねぇよ。


盗賊達の視線に辟易しつつなんとか捕縛し終わったので、このまま帰りたいところだが、まだ捕まってるエカテリーナだっけ? の救助が残ってる。

はぁ。

めんどくさいな。

でもやらないと、と思って入り口の方を向いたがそこにはセフィアとリリンが居なかった。

あれ?


「セフィアとリリンは?」

「え? あれ、いつの間に?」

「誰かどこいったか知ってる?」


ルリエが周りを見ていない事に驚いていたから他のみんなに聞いてみたが誰も知らないみたい。

え?

もしかして他にも盗賊がいて2人がつかまった?

いや、2人に限ってそれはないはずだ。

でも、もしかして……


「ただいま。」

「人質の救出と見張りの捕縛してきたよ。」

「セフィア、リリン! よかった。2人がいなかったから生き残りに襲われたのかと思って心配したよ。」

「心配かけてごめん。誰かに伝えとけばそんなに心配させなかったのに、本当にごめんね。」

「いや、無事だったならそれでいいよ。あと、人質の救出お疲れ様。」


盗賊に襲われたのかと心配したけど、蓋を開けてみればすでに仕事を終えているというできる嫁だった。

流石だ。


盗賊は全て捕まえたが、こいつらを全員連れて村まで帰るのは流石にキツイ。

魔物に遭遇してこいつらを守りながら全部倒せるか分からないし、途中で逃げられるかもしれない。

いや、リリンと蒼井がいるから出来るかもしれないけど危険は犯すべきではない。

転移魔法もどこで情報が漏れるかわからないからナシの方向で。

というわけで、誰かに村の方から輸送するための馬車を呼んでもらうことに。

まあ、一番速いのはリリンだから必然的にリリンになるんだけども。

なんか、リリンにばっかり働いてもらってる感じがするな。

今度何か埋め合わせとかしよう。


そして待つ事1時間半。

洞窟の前で待っているとリリンと昨日も見た村の若い衆がやって来た。

その人達と共に盗賊達を連れて行き護送車へ。

護送車といっても裕福ではない村だから小さめの馬車が3台だけど。

ウチの馬車の方が大きい。


盗賊を村まで連れて行き、盗賊全てを村の収容所にご案内。

収容中に盗賊全てから妙な視線を送られて分かったが、実はこの盗賊団、盗賊全てが男色のホモ盗賊団だった。

こいつらが弱くて、本っ当に! 良かった。


ちょっとした騒動があったり、最後に爆弾が控えてたりしたが、ようやくこれで、ミッションコンプリートだ。


村長宅に呼ばれて報酬をもらった。

あ、これで本当にミッションコンプリートだったわ。

家に帰るまでが遠足、報酬をもらうまでが依頼だったよ。


この後の予定を聞かれ、もし良ければ盗賊退治のお礼に宴会をしたいと言われたので断る理由もないので受ける事にする。

もちろん、ウチの連中へのお酒は遠慮したけど。


宴を楽しみ、宿へと帰還した俺はリリンにいっぱい働いてくれたお礼に何かしてほしい事はと聞いたら、一杯可愛がって欲しいと言われた。

そんな事で良ければ存分にいたしましょうとも。


丁寧にたっぷりとした翌日、村を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る