第285話 怪しむような目的なお話

村に入って今夜の宿を探す。

門番さんに聞けば良かったと入ってから思ったよ。

でもま、幸いこの村はカインやラングエルト程広くないし、適当に見て回りながら探すのも悪くないか。


なんか、道が狭いな。

通行人とすれ違うだけでも横によけてもらわないといけないから申し訳ない気分になるよ。

早く宿を探さないとな。

こういうのはわかりやすいところにあると思うんだけど………って、あれかな?

だって看板にロムス村の宿って書いてあるし。


問題は馬車を置けるか? ということだな。

最悪馬だけでも置きたい。

馬車ならストレージに入れられるから。


「馬車ですか? それなら裏手に回ってもらえればそこに置く場所と厩舎がありますから。」


あるようだ。

なので馬車はレイダさんにお願いしてそこに置いて来てもらい、その間に部屋を借りる。

宿帳に名前を書きながらちょっとした情報収集をする。

こういうのって日本じゃできないしちょっとやってみたかったんだよね。


「エルフと魔族の女の子の二人組っていつ頃ここを通りました?」

「エルフと魔族ですか……失礼ですが、その人達との関係はどういったもので?」

「友達です。馬車のスペースにまだ少し余裕がありますから、もしも途中で追いつけそうなら少し急ごうかなって思いまして。」

「そうですか……」


どうしよう。

何となくシアとルナのことを聞いてみたら怪しむような目で見られてる。


「あー、えっと、守秘義務とかあるなら無理にとは言いませんので、その、出来ればその目を止めてもらえませんか?」

「ふぅ、そうですね。それで、部屋割りはどうしますか?」

「そうですね、3人部屋と4人部屋でお願いします。」

「3、4?」

「え、ええ。その、この子達と結婚してるんで。」


また怪しむような目で見られた。

俺、そんなに怪しい格好してますかね?


「では、202号室と206号室ですね。202号室が3人部屋で206号室が4人部屋となっています。」

「分かりました。」


物語とかであるような情報収集をしてみたらめっちゃ怪しまれて失敗に終わってしまった。

女将怖い。

その後は食事の話や身体を洗う為のお湯とかの話を受ける。

そして、馬車を置いて来ていたレイダさんを待ってから部屋へと向かった。


「さ、災難だったね。」

「ちょっと友達の事を聞いただけなのに、なんであんな目で見られないといけないんだ……」

「不愉快。」

「えっと、宿の人間として言わせて貰えば、その、発言自体はあながち間違っていると言えないんですよ、ね。お二人とも可愛いですから、ストーカー的な人を警戒するのは仕方ないんですよ。」

「でも、だからってあんな目で見ることはないと思うよ。それにストーカーならこんな大人数で来ないよ。」

「親衛隊。」

「………あの目も仕方ないかもしれないね。」


前例があるからセフィアが前言を撤回したよ。

というか、リリンはそれを言う必要は無かったんじゃないかな?

セフィアが複雑そうな顔してるよ。


「まあ、気にしてもきりがないし、忘れることにするよ。シアとルナの事は運良く追いつけたら、その時に考えるよ。」

「そうだね。また同じ目にあうかも知れないし。」

「ん。」

「そうですね。それで、気分転換にちょっと村を見て回りませんか?」

「そうだな。まだ夕飯まで少し時間があるし、アカネ達も誘って回ってみるか。」

「そうだね。」

「ん。」


ルリエの提案に乗っかってアカネ達と一緒に宿を出る。

面白いものがあると良いな。

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