第260話 手応えなさすぎ。的なお話

骨折った盗賊の情報を頼りにアジトを探してみるとちゃんと情報通り盗賊のアジトっぽい洞窟があり、その入り口の前には見張りがいる。

ガセではないみたいだな。

ガセじゃ無くてよかった。

腕の骨を折らなくて済んでよかった。

精神衛生上あんまり良くないしルリエの情操教育上も良くない。


「あの、何やら変なこと考えてません?」

「いや、何も。」


ルリエに感づかれてしまった。

やっぱり女の子の勘は鋭い。

まあ、それは横に置いといて今はアジト攻めに集中だ。


先ずは見張りを無力化する。

俺が茂みをガサガサと音を鳴らしながらいかにも冒険者ですという顔をしながら出てみる。

当然見張りはこっちを見るがそれが狙い。

うちの俊足二人が速やかに静かに忍び寄り瞬く間に無力化した。

二人のうちのどちらかにくノ一スキルでも付きそうだ。


くノ一衣装の二人………いいな。

でもこっちでそんなのは見たことないし、諦めるしかないか。


二人が倒した見張りも骨折盗賊と一緒に縛って木にくくりつけとく。

そして、アジトの中に踏み込んでいく。

ただ盗賊をあぶり出すだけなら火魔法で煙出してそれをセフィアの風魔法で送り込めばいいんだけど、それだと捕まっているという人が一酸化炭素中毒で死んでしまうかもしれない。

だから玄関(?)から堂々と入っていく。


先頭は罠感知と気配察知の二つのスキルを持つリリン。

その後ろに闘争本能を持つレイダさん。

そこからぞろぞろと続いていき、殿にリリンと同じく気配察知持ちの蒼井を配置する。


入って早速リリンが罠を発見する。

それは紐に木の板を繋げた所謂鳴子という奴だ。

実物は初めて見た。

手に持つよさこいで使うような奴は前に百均で見かけたけど……


初っ端から罠があったので次の罠を警戒して慎重に進んでいくも罠が全然見当たらないそうだ。

確かに罠感知のレベルは低いがかといって何一つ感知できないとは思えないし、ひょっとして罠自体が殆どない?

盗賊なんてやるくらいだから頭悪そうだし暗闇の中で移動するのに自分達がかかるかも知れないから作ってないのかな。

そんな気がしないでもないがそれでも警戒するに越したことはないので、さっきと同じように慎重に進んでいく。


「止まって。」

「どうした? 誰かいた?」

「右の方に小さな気配が一つ。」

「捕まってる人か……」

「多分そう。」

「どうする? 先に助けるか、それとも先に盗賊を倒すか。」

「両方。レイダ、アカネ。あっちはよろしく。」

「分かったわ。」

「了解しました。」


お手伝いコンビが捕まってる方に向かう。

レイダさんの闘争本能は敵の攻撃をなんとなくわかるというスキルだから敵が襲ってきても対処できるはずだ。

それにアカネもいるからただの盗賊に遅れをとるとは思えない。

ここは二人に任せて先に行くとしよう。


さらに奥の方へと進んでいくと六人が屯してるような気配がするそうだ。

その中に他より少しだけ強い気配が混じってるというし恐らく頭だろう。

しかし、外のも合わせてもわずか十三人の盗賊団ってなんか少ない気がするな。

疑問に思っているとその答えを奥の方にいる人達が教えてくれた。


要約するとカインにいた時に襲ってきたのも、エルカでゲスタールに依頼されたのもこいつらであっちこっちで捕まった結果人数が激減したそうだ。


そうか。

こいつらが犯人か。

良し。殺そう。


「御用改めである!」

「な、誰だ!?」

「唯の復讐者だ! ………あいた!」

「落ち着いて。」

「すまん。えっと、冒険者だ。お前達を捕まえに来た。外に出ていた奴らはすでに捕まえた。無駄な抵抗は止めて投降しろ。」

「誰がするか! それに女子供ばかりのくせに調子に乗ってんじゃねぇ!」


そう言って盗賊達は一斉に襲ってきたけど、正直に言って相手にならない。

白刃煌めき、あっという間に捕縛した。

というか手応えなさすぎ。

折角、少し強かったからという事で加減を誤って大怪我してもらおうと思ってたのに。


全員捕まえてそこらへんに転がしたらお宝探しだ。

こういうのの定番だし何か良いのが見つかると良いな。

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