第261話 めっちゃ嫌われた的なお話
何が出るかな? 何があるかな?
あ、でもここの盗賊は親衛隊に捕まるくらいだしそんなには無いのかも。
とはいえ、何かあるかもだし探すぞ。
こういうのは頭の私室とかが怪しいよね。
だからそれっぽい部屋とかを探してみると武器庫のような所に出た。
どれもこれも鈍ばっかり。
盗賊なんてやってるからまともなメンテなんて出来るとは思えないけど、これは酷いな。
これなんて折れる寸前じゃないか。
鍛治スキル持ちとしては許容しかねるな。
そんな中、一つ変わった物を見つけた。
一見すると唯の鎖だが、材質が普通とは違い通常の物よりもズッシリとくる上に何やら妙な威圧感を感じる。
アイテム鑑定のスキルが無いから詳細は分からないがきっと価値があるはずだ。
ひょっとしたら呪われた◯◯みたいな感じかもしれないけどそれはどこかで鑑定してもらってから考えよう。
この鎖以外にも何か良いものがあるかもしれないし物色を続けていくが、あの鎖ほど目を引くものはなかった。
そこそこ良さそうな槍とか盾とかあったけどレイダさんが使っている奴の方が高性能だし盾を使う人なんていないし……売りだな。
まあ、鈍でも二束三文にはなるだろうし全部回収すればいいか。
全部ストレージに突っ込んだら探索の続きだ。
お宝無いかな〜。
そうして見つかった宝物庫なんだけどやっぱりショボくて銀のインゴットが数本と小さな袋に入った金貨。
そして一握りほどの宝石。
少ないな…………って、なんかこっちが盗賊してるような気分になってきたよ。
そう思ったらテンションがだだ下がりした。
だから黙々と回収してさっさと捕まってる人の所に行こう。
「アカネ、レイダさん。そっちは大丈夫?」
「………大丈夫じゃない。」
「へ?」
「………めっちゃ嫌われた。」
「え?」
奥の方を見てみると、ガタブルと震えている狸人の子供がいた。
なんで震えてるんだろう?
何かしたのか。
そんな目を向けてしまったらアカネがむっとして怒る。
「別に何もしてないわよ! というか、そんな目を向けるな!」
「すまん。つい本音が滲みでてしまって。」
「……歯に絹着せてよ。」
そんなことしてるとその怯えている子がセフィアに抱きついた。
あのヤロー!!
「見境いなさすぎ!」
「子供だろうが男はみんな狼だ。」
「あの子は狸だけど。」
「……揚げ足取らないで。」
怒りが霧散した。
それにアレが発動してないから多分まだ大丈夫。
とはいえ、アカネに怯えてるしここはセフィアに事情を聞いてもらおう。
その結果、あの子はセフィアと同じで種族固有能力を二つとも持っていて、その事を知られて奴隷として売るために攫われたんだそうだ。
セフィアがこれまで攫われなくて心の底から良かったと思うよ。
あの子には悪いけど。
「おい坊主。これからエルカまで送ってやる。盗賊は多分全員捕まえたから安心していいぞ。」
「た、多分……」
「外に出てたら分からないし。でも、俺ら強いから大丈夫だ。安全無事にエルカまで送ってやるからな。」
「う、うん。」
ちょっとだけカッコつけてしまった。
でも、こう言う方が安心できると思うし。
そして盗賊のアジトを後にすると宣言通り子供と盗賊を連れてエルカまで戻った。
ユーリと会いませんようにと願いながら門番さんに話しかける。
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