第259話 骨折るぞのくたびれもうけ的なお話
朝食も食休みも終わったので移動を再開する。
念の為来た道を振り返って見てみるがそこからユーリが来るなんて事は無いようで少しホッとした。
彼女にはエルカで頑張ってもらいたい。
というか頑張れ。
朝食を食べたところから1時間ほど歩いた所で森の中から悪意を感知する。
なんだろう?
こっちの方を向いている感じがしないのでおそらく気づかれていないのだろう。
とはいえ、このまま放置するのもまずい気がするのでこっそりと近づいて様子の確認とあわよくば盗み聴きとかできればいいな。
「本当に魔物の襲撃があったのか?」
「ああ。間違いない。それに見たことも無い四本腕の化け物が居たからな。かなりの損害になってる筈だ。そうでなくても防衛戦力がかなりダウンしてるのは間違いない。」
「そうか。それじゃ先ずは街の様子を確認して夜に奇襲をかけるぞ。」
「「「おお。」」」
うわぁ〜。
火事場泥棒的な盗賊だったよ。
それに人数も五人と少ないし盗賊の頭という風格がある奴もいないし多分偵察部隊的な奴らだろう。
自分は関係無いけど知り合いが襲われるかもしれないのに無視なんて出来るわけない。
ボコって尋問してアジトと本体を吐かせて更に頭もボコらないと。
はぁ。
折角ユーリから逃げたのにこんな所で足止め食うなんて。
もしも追いつかれたら全部こいつらのせいだ。
セフィアとリリンのスピードの前では唯の盗賊程度じゃ太刀打ち出来ずあっさりと捕まえてくれた。
俺の出番なかったけど………
「アジトの場所はどこだ?」
「そんなの言うわけがないだろ!」
「全身の骨を粉々に砕かれた後魔物の餌にされるのと仲間を売って犯罪奴隷になるのとどっちが良い?」
尋問に必要なのは恐怖と本当にやると思わせることだ。
本気だと思わせられないと情報を聞き出すことが出来ないからな。
だからニコッと笑うのを忘れない。
「や、や、やれるもんならやってみろ!」
「そう? もしもどうしてもアジトの場所を聞いて欲しいと言うなら早めに言うこと。じゃないと余計な骨がご臨終しちゃうから、ね!」
ね! の所で取り敢えず縛ってある盗賊の足の骨を折る。
「ギャアァァぁぁぁ!!!」
「どう? 聞いて欲しくなった?」
「はあ……はあ……だ、誰が。」
「そう。じゃあ、次はこっち。」
「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」
反対側の骨もボキッと折った。
骨を折る感触が生々しくて結構辛い。
でも、これも必要なことだしやらなければならない。
おっさんの悲鳴も聞きたくないんだけどな。
「魔物があんたの悲鳴を聞いてやってくるのも時間の問題だけど、まだ折って欲しい?」
「はあ……はあ……わ、わかった。言う。言うからもう勘弁してくれ。」
それから盗賊はペラペラとアジトの場所や罠の場所、捕まえてある人間の事を吐いてくれた。
というか、さっさと吐いてくれよ。
骨折り損のくたびれもうけって程損では無いが骨を折るのには精神的にくたびれたよ。
骨折るぞのくたびれもうけ……なんつって。
………こほん。
それにまだ盗賊のアジトを壊滅させないといけない上に罠に人が捕まってるからそれを助けて、敵地での戦闘。
これはエルカに一旦戻らないといけなくなりそうだ。
はぁ。
早起きの意味がなくなったよ。
早起きは三度の労働ってか。
上手くねぇか。
まあ、いいや。
とにかく次はアジトの襲撃だ。
さっさと終わらそう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます