第246話 見惚れてしまった。的なお話

欲望とかそういうのを発散したおかげで凄くスッキリと目覚める事ができた。

というわけで外に出て例によって素振りをする。


「997、998、999、1000」


ふぅ。

そろそろ、素振りも第二段階に行くべきかな?

今までは剣を握った事なかったという事で剣を振るという事に慣れるため、咄嗟の時でもちゃんと攻撃できるよう体に馴染ませるためにひたすらに振ってきた。

しかし、何万と振ってきて手にマメが出来たりとかなりの回数をしてきた。

だから第二段階。

漫画とかで読んだんだけど、ただ振るんじゃなくて1回1回丁寧に、真剣に全力で振る事で無駄をそぎ落とす。

そうする事で最速の一太刀になるって。

取り敢えず今日は30回くらいやってみるか。


「17! 18!」


「おふぁよ〜、レン……ト……」


「19! 20!」


〜セフィア視点〜


朝になって目を覚ますとやっぱりというか、いつも通りというか、レントの姿がなかった。

だからレントを探して庭に向かうと素振りをしていた。

だからいつものように声をかけようとしたんだけど、いつもとは様子が凄く違っていた。

いつも真面目だけど、今日はそれとも違っていて、凄く真剣な顔をしていて、なんていうか、見惚れてしまった。


そうしてポーっと見ているとレントがゆっくりと素振りを終えた。


〜レントに戻ります〜


「……29! 30! ふぅ〜。結構疲れるな。」


自分の身体の動きや剣筋なんかを見ながら振るっていうのは精神的に疲れる。

もちろん、全て全力だから肉体的にも少し疲れた。


「あれ? セフィア? いつからそこに?」

「えっ……あ、うん。少し前にね。それでどうしたの? なんかいつもと雰囲気が違ってたんだけど、何かあった?」

「いや、そういう事じゃなくてな。」


セフィアにさっきの素振りの意味を伝えるとはぁ〜って感心していた。

なんか、照れくさいな。


「でも、そっか。今度僕もやってみようかな。」

「いいんじゃないか。俺も今日始めたばっかりだし。」

「それじゃあ、明日からよろしくね。」

「おう。」


うん。

かわいい。

満面の笑みが凄くグッとくる。


「そんじゃ、朝食の準備をするか。」

「うん。」


と言っても俺にできるのはちょっとしたお手伝い程度なんだけど。

早く一緒に料理出来るようになりたい。

………なんか、妖怪人間みたいだ。


途中で起きてきたリリンとルリエも一緒になって朝食の準備をし、全員が食卓に揃ったのでみんなで食べる。


「セフィア達が来てから毎朝助かっているわ。このまま居てくれないかしら?」

「ごめんなさい。借家だけど、家があるんで。」

「あら、そうなの。それなら仕方ないわね。そういう事なら、いつまでいるのかしら? 出来る限りいて欲しいのだけど。」

「どうしよっか?」

「うーん。後一週間くらいでどうかな? キリがいいし。」

「そうだね。じゃあ、お母さん。取り敢えずそういう事で。まあ、ゲートを設置しておけば何時でも帰れるし。」

「でも、まだゲートは二つしか作れないんじゃないんですか?」

「あ、そういえばそうだった。」

「がんばる。」

「それはまあ、一週間後に考えればいいんじゃないか? 一応リリンにはそれまでは出来る限り転移魔法を使ってもらってさ。」

「そうだね。お願いできる?」

「ん。」


今後の大まかな予定も決まったし、お仕事頑張るか。

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