第199話 置いてきぼり的なお話

「ところでさ、さっきの桜花連刃っていつ習得したの? 後、リリンが決めるって言ってたのって何をやるつもりだったの?」


二人の戦いは凄かった。

それは素直に思ったんだけどやっぱり気になったので聞いてみた。


「桜花連刃はね、双剣のスキルのレベルが4になった時に覚えたの。」

「そういえば俺も片手剣を覚えたら勝手に覚えてたな。」

「うん。それでいつの間にか覚えてたの。」

「なるほど。リリンの方は?」

「何も考えてなかった。」

「へ?」

「嘘。冗談。」


ちょっとだけ頬を染めるリリンがかわいい。


「実演する。見てて。」


そう言ってリリンは新しい木剣を手にしてから訓練場の設備である巻藁の方に向かう。

というかあれって巻藁でいいんだよね。

漫画とかで見たことある丸太に藁を巻きつけてあるやつ。

とか思っているとリリンの実演が始まった。


少し離れた位置に立っていたリリンが木剣を上空に放り投げると一気に巻藁に接近して右のローキック、左のハイキック、右回し蹴り、返しての蹴り下ろしをした後バク転の要領で蹴り上げると落ちてきた木剣をキャッチして巻藁の脇をすり抜けざまに一閃を入れた。


というかあれってエクストリームキャッチ? とか言うやつか?


「烈蹴撃一閃。」


「ひょっとして、それもスキルレベルが上がったら覚えたやつ?」

「ん。」

「それで二人の今のスキルレベルはいくつ?」


恐る恐る聞いてみる。

なんか最近俺のスキルのレベルの上昇率が低い気がするんだよ。(精力旺盛を除く)

だからこれで二人のスキルレベルが高いとちょっと辛いというか。


「僕の双剣は4だよ。」

「私の短刀は5。」

「俺、まだ2。」

「「…………………。」」


なんか、変な空気になった。


「ほ、ほら、レントはスキル覚えるのが遅かったから。」

「しょうがない。」


嫁二人に慰められてる。

なんかアカネが空気な気がするけど、しばらくは許してほしい。

恩恵やロードオブスキルマスターがあまり仕事してないし、二人に置いてかれる感じがして凄く寂しい。


「それに、こうして模擬戦をしてればきっとすぐに上がるよ。」

「一緒に頑張ろ。」

「うん。頑張る。」


二人に励まされたし、そもそもその為に模擬戦をしようと思ってたんだと考えを改める。

別に今スキルレベルが低くてもいいじゃないか。

なんだかんだで今までやってこれたしこれからスキルレベルと俺個人の技術力を上げていけばいいんだ。

そうと決まれば早速模擬戦をしようと思って顔を上げると………すでにアカネとセフィアがやっていました。

どうやらアカネがセフィアを誘ったようです。


決意して数秒で出鼻を挫かれたがこの程度いつものことだ。

俺は物語の主人公じゃないからなかなか決まらないし、こういう運命なんだろう。

だから精神的ダメージは少ない。


そしてこの後、アカネと俺が模擬戦をしたり、他の人とも戦ったり途中で昼食を挟み、午後からも模擬戦をして一日中模擬戦三昧だった。

かなり疲れたが、そのお陰で片手剣のスキルレベルが3になった。

棒術と杖術がレベル5になるというおまけがあるが、まあ、この調子で頑張ろう。

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