第198話 華麗な模擬戦的なお話

「あー、負けちゃったか〜。」

「勝ててよかった。」


二連続で負けるのは流石に勘弁なので勝てて良かったよ。

それよりも、負けたと言ってその場に座り込んだセフィアがかわいいです。


「じゃあ、次は私とリリンがやるわね。」

「ん。」


アカネがリリンとやると言うので俺とセフィアは離れた位置で見ることにする。


そして始まる二人の模擬戦。

先ずアカネが突進しての鋭い突きを放つがそれを躱して懐に入り込んだリリンが短刀による一撃を入れようとするもアカネが突きから即座に斬撃へとシフトしたのでそれに合わせるようにしてリリンが迎撃する。

ガァン! という音が響く。

そこから互いに距離を取るもすぐに接近して繰り広げられる攻撃、回避、防御からの攻撃といった応酬はかなり見応えがあったが、二分ほど打ち合っていたもののステータスの差が出たのか最後はリリンがアカネの攻撃を弾きそのままの勢いで蹴りを入れ、倒れたところに武器を突きつける事で模擬戦が終了した。

リリンの勝ちだ。


「次、セフィア。」

「僕? 分かった。」


リリンがセフィアを次の相手に指名する。

二分も打ち合っていたんだし少しくらい休んでもいいと思うのにとは考えるものの、二連戦した俺が言える事では無いので黙っている。


始まった二人の模擬戦はやっぱり速い。

双剣という手数の優位を活かすように息もつかせぬ連撃を放つセフィアに対してリリンはそれを舞うように躱して隙間を縫うように攻撃する。

それをセフィアは片手で防ぎもう一方の方で攻撃するも躱される。

そのような攻防をかれこれ五分ほど続ける。


本当にすごいな。

こんなの少しでも気を抜けばどちらかが攻撃を食らって終わってしまうだろう。

多分俺だと防ぎきれずに一分くらいで負けていることだろう。


スピードを武器にしてるわけじゃないからそれは別にいいんだけど、こうなってくるとやっぱり一撃を重視したほうがいいのかなと思えてくる。

でも、大剣なんかは上手く扱える気がまるでしないんだよな。

ハンマーや斧は趣味じゃないので却下。

うーむ。

まあ、今更変えても大変なだけだし今のままでいいか。


そんなことを考えている間に模擬戦が終盤に差し掛かったようだ。


「はあ、はあ、はあ、はあ。」

「はあ、はあ、……フー。やるね。」

「頑張ってるからね。でも、そろそろ……」

「ん。次で決める。」


距離とタイミングを計る二人。

先に仕掛けたのはセフィアの方だった。


「はあぁぁぁ!」


双剣を上体の捻りを加えての同時攻撃をするが、リリンに受け流される。

しかしそれだけで終わらずに右手の斬りあげ、左の突き、右の袈裟、返しての右の薙とほぼ同時に左の薙、そのままの流れで逆袈裟二連からの追撃で斬りあげでの十字斬り。


「桜花連刃。」


技名を宣言するセフィアだったが、そのセフィアの前には武器を構えたままのリリンが立っていた。

それを見たセフィアが残念そうな声を出す。


「ダメだったか〜。」

「ううん。セフィアの勝ち。」


それに対してそう告げたリリンの手の中の木剣が砕けた。

流石に武器をなくしては戦いようがない。

リリンが次で決めると言っていたから何をするつもりだっのか気になるが、セフィアが押し切って勝った。


「二人ともお疲れ様。凄かったよ。」

「えへへ。ありがと。」

「ん。ありがと。」


本当に凄かった。

二人の戦いには華があり見てて飽きない感じだった。

それにひきかえ俺の戦いのショボさときたら、なんだか恥ずかしくなってくるよ。

流派とかそういうのを習ってないから泥くさいのは仕方ないんだろうけど、もう少しかっこよく戦いものだな。

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