第118話 六人での朝食的なお話
「う、うぅ。んぅ〜、はっ!」
なんか寝苦しくて起きてしまった。
原因は何だろうと思い自分の身体を見てみるとセフィアとリリンが両サイドから抱きつき、ルリエが覆い被さり首に手を回していた。
これは……流石に寝苦しいわな。
というか動けない。
まあ、寝顔がかわいいからそれほど苦では無いんだけどね。
それから三人が起きるまで待つ……前にアカネが来た。
とはいえ、流石にそう何度も全裸を晒したりはしない。
今回はちゃんと服を着ている。
そう思っていたのは俺だけだった。
「ねぇ、食材ってどこに……ってなんて格好してんのよ!」
「はい?」
「はい? じゃないわよ!…下、脱げてんだけど……。」
「え?」
アカネが指の間からこちらを見ながらそう言ってくる。
そして俺は下を見ようとするが、見えるのはルリエのかわいい寝顔だった。
「すまん。見えない。というか動けない。それと食材だがちょっと待っててくれる? 三人が起きるまで。」
「分かったわよ。でも、できるだけ早く起こしてよね。」
「ああ。」
そう言うとアカネは部屋から出て行く。
三人が起きたのはそれから十分後だった。
三人が起きて、ようやく自由になれた俺は改めて下半身を見るが、見事にズボンが脱げていた。
それを履き直してからリビングに向かう。
◇
「アカネちゃん。これ持って行って。」
「はい。」
「レイダ。下ごしらえ済んだ?」
「大丈夫です。」
「セフィアさん、お玉とって。」
「はいこれ。」
俺が動けなかった為に朝食の準備ができなかったということで料理できる人(一応アカネも含む)が揃って朝食を準備している。
ちなみに俺は着火だけした。
そうして待つこと十分。
食卓には朝食が並んだ。
さすがに五人だとやっぱり早いね。
でもちょっと窮屈そうだったな。
やっぱり早く作れるように食材を出しとくべきだとは思うんだけど、冷蔵庫とかは無いんだよね。
魔道具であるんだけど、あれってめっちゃ高いんだよね。
やっぱり俺が早起きすべきなのかな。
そんなことを考えてしまったが、それは置いといて冷めないうちに食べよう。
五人も席に着いたしね。
うん。それじゃ。
「「「「「「いただきます。」」」」」」
そうみんなで宣言して食べ始める。
うん。美味しい。
「それで、今日のことなんだけどみんなはどうするの?」
「う〜ん。どうしようかな? レントはどうしようと思ってるの?」
「俺はみんな次第だけど、魔法の練習がしたいかなって。リリンは?」
「私は本が読みたい。だから後でお願い。」
「分かった。ルリエは?」
「私はお母さんの所に行こうかなと思っています。今後の仕事について話したいから。」
「私はレイダとシフトについて相談とか、仕事のマニュアルとか作ろうかな。」
「しふと? まにゅある?」
「あー、レイダさん。シフトっていうのはいつ仕事して、いつ休むかっていう役割分担みたいなので、マニュアルは手順なんかを説明した手引書のことなんだ。……ところで、なんでマニュアルなんか作ろうと思ったの、アカネ?」
「ほら、私って貴族出身でしょ。だから分からないこともあると思ってね。」
「なるほど。それじゃレイダさんはアカネと一緒にルリエについて行ってくれないかな? そうすればルリエに色々聞けると思うから。彼女、宿屋の娘だからそういうのは詳しいだろうし。」
「そうですね。そうすれば護衛もできますし一石二鳥ですね。」
「いや、そこまでかしこまらなくても。直ぐそこだし。まあ、そういうことで。」
「了解。でも、ルリエちゃんって宿屋の娘だったんだね。」
「はい。そこで知り合って、お兄さんにアプローチかけたんですよ。」
「へ、へぇ〜。そうなんだ。」
「これなら俺は魔法の練習でいいかな。」
「そうだね。じゃあ、僕も一緒に魔法の練習しようかな。」
「頑張ろうな。」
「うん!」
朝食を食べながらみんなの今日の予定を確認する。
その結果俺は魔法の練習が出来ることになった。
今までは強敵が出る度に新しく考えてたから、そんなんじゃ今後が不安なんでちゃんと練習して出来ることを増やしたいし、考えた魔法の熟練度上げたいしね。
そして朝食を終えて、片付けをして各々の目的地に向かった。
ちなみにリリンは着いてきた。
一人でいるよりも俺といたいから外で読むんだって。
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