第119話 魔法の練習します。的なお話
俺たちは街の外に出て魔法の練習に適してそうなところを求めて彷徨う。
そうして五分くらいすると魔法の練習に適した開けた場所に出た。
「ここら辺でやるか。」
「そうだね。」
「じゃあ、私は本読んでるから。」
そういうとリリンは少し離れて手頃なところにあった木の下の木陰で本を読み始めた。
「なあ、あれやってみない? 前にアレクシアさんとエルナさんがやっていたやつ。」
「あの、火と風でぶわぁ〜ってやつ?」
「そう。」
「面白そうだね。じゃあ、やってみようか。」
前にやってみようと思っていたし、セフィアもいるのでいっその事やってみようと思った。
そんでやるとなるとおれの魔法の中で適してるのはファイヤーボールかな?
ドルヒやランスは無詠唱出来ないし……というかそもそも形状が向いてないし。
ファイヤーボムの方も爆ぜるから風が散っちゃうし。
というわけでファイヤーボールを使おう。
「俺はファイヤーボールを使おうと思うけどセフィアはどうする?」
「僕はつむじ風を使おうかなって。」
「あれかー。最初に会った時の狸だった時の。」
「うん。そうだよ。」
「それじゃちょっとあそこを狙ってやってみようか。あ、でもやり過ぎるとここが燃えちゃうから控えめでね。」
「当たり前だよ。」
「だな。じゃあ、1、2の、3でいくぞ。」
「うん。」
胸の奥の熱を手の先に集める。
それを魔法に変換する。
「1、2の、」
「「3!!」」
俺の手の先から火の玉が飛び出し、セフィアが狙ったところにつむじ風を発生させる。
そして俺のファイヤーボールがセフィアのつむじ風に接触すると火と風が混ざり合い、小規模ながら火の竜巻になる。
おお!なんかそれっぽいのが出来たな。
俺じゃここまで器用に炎を操れないからな。
〈合成魔法 ファイヤーストーム(使用者 蓮斗 セフィア)を習得しました。〉
今回は前みたいに(笑)ってつかないんだな。
〈お望みとあらば付けますが?〉
望んでない望んでない。
〈そうですか……〉
あからさまに落ち込むな!
「どうしたの、レント?」
「えっ!? いや、なんでもない。それよりも、結構上手くいったね。」
「そうだね。後はもっと上手く連携出来るようにしないとね。」
「そうだな。それじゃもう一回やってみるか。」
「うん。」
◇
それから俺とセフィアは三時間かけて練習しかなりの魔力を消費してしまったが、そのお陰でやるぞ! と声をかけるだけで息を合わせて行えるようになった。
「ふぅ〜。結構いい感じになったな。」
「そうだね。」
「レント、お腹すいた。」
「リリン。そういえばもうそんな時間か。」
「本当だ。じゃあ、ここで食べようか。レント。」
「おう。」
セフィアに声をかけられた俺はまず食器と食材を適当に取り出すと、近くの森へ薪を探しに入っていく。
そしてセフィアとリリンは早速調理に入っていた。
なんかこういう阿吽の呼吸って感じで嬉しくなってくるな。
本当に繋がってる感じがして。
そうして薪を探しているとチャージラビットを発見する。
丁度いいのであれも昼飯にするか。
後ろからこっそり近づいて、さっくりと倒す。
それをストレージに仕舞うと再び薪を集める。
薪とラビットを持って戻ると既に粗方終わっていた。
だから俺は薪とラビットを渡して、薪に火をつけると即座に離れて調理の様子を眺める。
混ざれないのがちょっと寂しいな。
ちょっとした寂しさがあったものの、料理上手な美少女の嫁を持てた事の喜びを噛み締めながら午後の練習のためにも、この愛妻の手料理を食べるとしよう。
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