第40話 無罪です。的なお話

敵の攻撃を躱しながら地味にダメージを与えていく。

すると敵から感じる悪意が大きくなった。

警戒して後退すると左手を掲げておりその手から水の弾が射出された。

警戒していた為に普通に躱せた。

盗賊のような思考する敵限定だが結構使えるな、悪意探知。


「ちっ、これも躱すか。だけど、これならどうだ。」


そう言って敵…ってなんか傍観者みたいだ。えーい、ヒゲでいいや。ヒゲは水魔法を連射してきた。

それを俺は火魔法で迎撃したり、躱す。

そうしてヒゲの攻撃が30回くらい続いた頃、急にヒゲの弾幕が止んだ。

魔力切れか?だが、少し残してる可能性は十分にある。

警戒しつつヒゲに突っ込む。


下手に打ち付けると逆に武器を切られかねないから突きを連続で放つ。

ヒゲは反撃の機会を狙っているのか防戦一方だ。

だが、これこそが俺の望んでいた展開だ。

ここで決める為に俺から見て右下に強めの攻撃をわざと外す。


「貰った!」


この釣り針に食いついたヒゲは上段から振り下ろす。

狙い通り。

俺はその一撃を左に廻りながら躱しヒノキの棒を両手に握り直す。

そしてその流れのまま杖術のアーツ 廻し薙ぎをヒゲの背中に叩き込む。

倒れかけたヒゲにトドメの一撃として棒術のアーツ 槍撃を放つ。


「セフィア、こいつの手足を土魔法で拘束してくれ。」

「分かった。」

「リリン。こいつらはどうしたらいいと思う?一応冒険者らしいからな。」

「魔物の餌。」

「いや、怖いから。別にこいつ等が死のうが生きようがどっちでも構わないけど、なんか後味悪そうだから却下。」

「終わったよ〜。」

「ありがとう、セフィア。ってそうだ、盗賊を殺したけどその辺ってどうなってる?こいつ等は冒険者らしいから一応いかしといたけど。」

「盗賊を殺しても罪には問われない。依頼になってたり有名どころなら報奨金が出たりする。」

「じゃあ、問題ないんだな。」

「そう。」

「問題なのはこいつ等の扱いか。モッさん'sは背骨ぐにゃぐにゃだし。」

「やっぱり、衛兵さんを連れてきた方がいいんじゃないかな?流石に連れて歩くのは無理そうだし。」

「それしかないか。この中で一番速いのはリリンだし、頼めるか?」

「分かった。」

「あと、こいつ等を運べる物も頼む。」

「了解。行って来る。」

「頼んだよ〜。」

「…ん。」


そう言ってリリンは街に向かって走り出した。


「さてと、とりあえずこいつら縛っとくか。セフィア、悪いんだけど俺の武器を回収してきてくれない?」

「うん、いいよ。」

「助かる。」


セフィアにはこの下種野郎どもにはあんまり触れて欲しくない。

ストレージから取り出した縄でモッさん'sとヒゲを縛った所でセフィアが黒鉄の剣とダガーを回収してきてくれた。

ステータスで賞罰をみて、殺人や暴行などの犯罪が無いことを確認してホッとする。

問題無いって言われてもやっぱり気になるよね。

それにしても、俺は遂に人を殺してしまったんだよな。

なのに何も感じないのは悪党だったからか、それともセフィア達と自分を守る為と正当化しているのか、はたまたアリシアさんが身体を作った時に何かしたのか。

どれにせよ、これからもこういう事はあるだろう。

あまり引きずらないようにしよう。


そして周囲を警戒しつつ、リリンを待つ。

そうして暫く待っているとがらがらという馬車のような音が聞こえ、その音が止まった少し後にリリンが三人程衛兵さんを連れて来た。

リリンが説明してくれてたようで二、三質問を受けた後、ヒゲ達を連れて行く。

盗賊の始末は所持品を取った後にアンデット化しないよう燃やすそうだ。

盗賊の所持品は倒した者が貰っていいそうでお金だけ貰っといた。

媚薬とかあったけど、使うつもりないし他は碌な物がない。


衛兵さんの所に行くと馬車だと思った物は唯の荷車だった。

荷車に乗せて貰うわけにもいかず、歩いて街まで戻る。

詰所のような所で真偽の水晶で事実確認を行った後、ギルドに向かう。

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