第39話 盗賊退治的なお話

「見つけたぜぇ〜、狸耳の嬢ちゃん。」


「この人たちは!?」

「知ってるのか?セフィア。」

「レントに会う前に襲って来た盗賊だよ。」


セフィアが襲われたという盗賊を改めて見回してみると見知った顔が四つ程あった。

モテないおっさん's、略してモッさん'sと昨日の試験官だ。


「なんで冒険者のあんた等が盗賊と一緒にいる。」

「なぁーに、簡単な事さ。利害の一致ってやつだよ。」

「なるほどな。お前等はセフィア達を狙ってる。そして恥をかかした俺を殺したいってことか。」

「そーゆーこと。」

「…下種が。」

「大人しく嬢ちゃん達を渡すなら、楽に死なせてやるぜ。」

「まあ、嬢ちゃん達はたっぷり楽しませて貰ったら奴隷として売払っちまうけどな。ギャハハハハ。」


よし、殺そう。


セフィア達はアリシアさんのお呪いでそういうことはされないが暴力を受けないとも限らないし、奴隷なんて以ての外だ。


先ずは身体を捻ってその反動と指で弾く事で剣を飛ばす飛天御○流の飛龍○擬きで正面の敵の顔面や一撃をかます。

不意打ちだった為もろに喰らってた。

そしてその捻りで隠した右手でストレージからダガーを取り出し右側に居た盗賊に投げつける。

そして上空に跳ね返った黒鉄の剣をキャッチしてそのまま正面の敵を斬りつけて殺す。

そして左側の敵を草結びで拘束して時間を稼ぐと共に右側の敵に剣を投げつけて殺す。

左側の敵に向けてファイヤーボムを放って殺す。


「…くっ。」

「離して。」


次の敵を探そうとした時に二人の声が聞こえる。

そちらの方を向くと二人がモッさん'sに捕まってしまっていた。

二人の足下に盗賊の死体が四つ転がっていることから盗賊の相手をしている時に不意をつかれてしまったようだ。


マズイ、マズイ、マズイ、マズイ!

二人を人質にされたら打つ手がなくなる。


ドグジュッ!!

「「「ゲフォフャ!?」」」


打開策を考えようとしてたら変な音とともにモッさん'sが突然、奇妙な声を上げてその場で気絶してしまった。

倒れる時に背中がありえない曲がり方をしていた。

どうやらアリシアさんのお呪いが作動したようだ。

今後は背骨がこんにゃくだから這って移動するしか無いだろうし、男としても人としてもまともな生活は出来ないだろう。


ざまぁ!


「さてと、残りはあんた一人だが嫁に手を出そうとしたんだ。容赦はしない。」


俺はヒノキの棒を構えて最後の一人である昨日の試験官に向かって言い放つ。


「小僧。昨日のあれが俺の実力だと思ったら大間違いだぜ。こいつは重撃の剣つってな衝撃を倍にする力がある。つまり、お前みたいなちっせぇ形した奴じゃ受け止めれねぇって訳だ。今なら楽に死なせてやるが、どうする?」

「容赦しねぇって言った筈だが、もう忘れたのか?てめぇの頭に詰まってんのは脳みそじゃなくてスライムか?」

「どうやら、惨たらしく死にたいらしいな。」

「御託はいい。さっさとかかって来いよ。」

「上等だ、コラァ!!」


片手剣スキルも衝撃耐性のある黒鉄の剣も今は手元にない。

頼れるのは杖術と棒術のスキルだけだ。

普通に防いだら斬られるか折られるだろう。

威力が上がっても遅いから普通に躱せる。

敵の攻撃の合間を縫って反撃するが、大ダメージにならないよう“あえて”弱く攻撃する。


「どうした?いくら避けるのが上手くても効かなきゃなんの意味もねーぞ。」

「そっちこそ攻撃を当ててみたらどうだ。」

「ぬかせ。」


針は用意した。

後は釣るだけだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る