第13話 爆散しました。的なお話
「それじゃ魔法の練習に入るんだけど、ちょっと待っててね。」
そういうとセフィアはギルドの方に走って行った。
それから三分くらいするとセフィアが戻って来た。
その手には先端の部分に赤くてゴツイ石の付いた杖を持っていた。
「これは魔杖といって、魔力を込めると魔法が使える杖なんだ。この杖はファイアーボールっていう魔法が使える物で魔法の練習用にギルドで貸出してるんだ。といっても高価な物だから一日一時間しか借りれないんだよね。で、これを使って魔力を使う感覚を掴んでもらおうと思うんだ。」
上手い教え方だと思う。
実際に見せた後いっぺんに教えるんじゃなくて段階を踏む事で理解しやすくし、無理なく行う事が出来、尚且つ段階ごとに達成感を得てモチベーションを保つ事が出来る。
「風のは無いのか?」
「そっちはメンテナンス中だって。」
「そうなのか。」
「だから今回はこれで練習するよ。先ず、魔力を感じて、それを肩、肘、手、杖の順に流すようにイメージして。」
「わかった。やってみる。」
セフィアの言う通りにイメージしてみるが、思うように動かせない。
何回か失敗を繰り返していると背後に回ったセフィアが肩を触ってきた。
「リラックスして。まずはここに魔力を持ってきて。」
セフィアが触れているおかげか上手く動かす事が出来た。
その後も肘、手と同じように触ってそこに魔力を流していく。
《魔力操作を取得しました。》
魔力操作スキルを取得したおかげでスムーズにとは言い難いがちゃんと魔杖を発動させることに成功する。
そして、ドオッーーーン!!!という爆音と共に藁人形が爆散し塵となった。
……………………。
《火属性を取得しました。》
《ファイアーボールを覚えました。》
《ファイアーボムを覚えました。》
杖を使っただけでなんか増えた。
っていうか、ファイアーボールしか使えない筈なのになんで別のも覚えてんだよ。
「えっと、魔力を多く込めちゃったみたいだね。今日はこれで終わりにして、次は魔力量の調節をやろうか。」
そう言って後ろから抱きつく形で手に触れていたセフィアは俺から離れる。
……別に、胸の感触が名残惜しいなんて思ってないし。
「それじゃこれ返してお昼にしようか。」
「うん。」
昼食の提案をしたんだけど。
その笑顔は反則だろ〜!!
可愛い過ぎる。
アリシアさん。この世界に連れて来てくれてありがとうございます。
今度アリシアさんの教会を見つけたら寄付させてもらいます。
「それでお昼なんだけど、どっかのお店に入るか、露店で食べ歩きのどっちがいい?」
「ボクとしてはこの町に来たばかりで美味しいお店とか知らないから食べ歩きの方がいいかな。町も観てまわれるし。」
「それもそうだな。じゃ、そうするか。」
「うん。」
セフィアと露店巡りを始める。
まずは異世界転移等で良くある定番、串焼き各種。
それにラビットサンド。
名前から分かるようにチャージラビットの肉を使ったサンドイッチだ。
なんでもチャージラビットは何処にでも生息しているらしく、新米冒険者が小遣い稼ぎ感覚で狩る為安く手に入るそうだ。
次にアポーの実を使った果実水。というかぶっちゃけリンゴジュースだ。
最後にデリーの花の花蜜を生地に混ぜて焼いたほんのりとした優しい甘さが癖になる焼き菓子。
食事が終わったので今度はアクセサリーや雑貨を売ってるお店を回ることにした。
驚いたことに全てのアクセサリーがステータスに影響を及ぼすみたいだ。ゲームではよくあるけど指輪ひとつでも防御力が上がるとか不思議だ。
とはいえステータスに補正が掛かる為、とりあえず買っとこうと思う。
ちょっとした余興も思いついたしね。
「セフィア、どうせならさ二手に分かれてお互いにアクセサリーを買って交換し合うってのはどうかな。せっかくパーティーを組んだんだし。」
「面白そうだね。じゃあ、500リム以内で1時間後にギルド前でどうかな?」
「じゃあそれで。」
そういうわけでお互いにアクセサリーを選びに店を回ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます