第14話 ボロ雑巾と中国の暗器的なお話

セフィアと別れた俺は幾つか候補を考える。

短めの片手剣や双剣を買ってたから戦闘スタイルは速度重視だと思う。

それに魔法も使えるからMATかAGIもしくはDEFかな。

それで邪魔にならないよう指輪型がいいかな?

無きゃブレスレットかネックレスかな?


一応何を買うか決まったので露店を中心に店を回ることにした。


幾つかの店を回ってみたけど、イマイチというかなんかしっくり来ない。

性能がいいのは高いから除外するとしてもATK補正やDEF補正のばかりでAGIのがなかなか見つからない。

あったとしてもデザインがイマイチだったりする。


そうこうしていると時間がヤバくなり次の露店でラストだ。

一応これならというのは見つけてあるが、出来るなら別のがと思いつつ眺めてみると、ヘアピンだが、似合いそうなのを見つけた。


翼をモチーフにした物でAGIに補正が掛かる。

といっても480リムと安めな為+2しかないが、セフィアに似合うと思う。

そう思って手を伸ばすと、俺の手に重ねる形で別の手が触れる。


その手の持ち主は?と見てみると金髪を短めに揃え青い目をもつ少年のような面影をもつ青年だった。


「あっ、すまん。ダブっちまったか。」

「これって在庫ありますかー?」

「すみません。お客様。この商品は現品限りなんですよ。」

「そうですか。分かりました。」


金髪の青年は露店商に在庫確認をするも見事に玉砕してた。


「えっと、なんかすみません。」

「こういうのは早い者勝ちだししょうがないって。じゃあ俺はこれで。」


軽く声を掛けるもそういって早々に立ち去って行った。


そんなこんながあったが無事にヘアピンを手に入れた俺はセフィアとの待ち合わせ場所であるギルド前に向かう。


ギルド前に向かう途中なにやら人だかりができていた。

少し気になったもののセフィアはもう待ち合わせ場所にいるかも?と思い通り過ぎようすると


「お断りします。」


というセフィアの声が人だかりの中心から聞こえてきた。

人ごみを掻き分けて中心地に出ると、ボロ雑巾みたいになった先程の金髪青年とセフィア。

そのセフィアに庇われる形で後ろに青い短めの髪をした小柄な少女、そしてセフィアと敵対するように毛むくじゃらのおっさんが3人いた。


「なにこれ?」


つい呟いてしまった。

でも仕方ない気がする。

だってセフィアと待ち合わせしてただけなのに金髪青年がボロ雑巾になり、セフィアが知らない少女を庇い、三び…3人のおっさんと敵対してんだから。


「セフィア!なにがあった。というか説明がほしいです。」

「えっと…。」


「なんだお前。そいつの仲間か?こいつみたいになりたくなかったらそこの女2人を…いや、そこの女2人と有り金全部置いて行きな。」


おっさんAが金髪青年を指差しながらそう言ってきた。

うん。大体分かった。

金髪青年がなんでいるかはわかんないけど。


「モテないおっさんA、B、Cがセフィアをナンパしたけど振られたってことは分かった。」

「「「誰がモテないおっさんA、B、Cだ。」」」

「自覚あるじゃん。」

「「「うるせぇ。」」」


おっさん'sが叫びなから殴りかかってきた。

怒りで頭に血が上ってるのか、真っ直ぐ突っ込んでくる。覚えたばかりの火魔法をと思ったが爆散した藁人形を思い出し頭を振って火魔法の使用を封印する。そしてストレージから出した鉄貨を顔面目掛けて投げつける。小さいとはいえ鉄の塊がカウンターみたいに当たるから相当痛いようで悶えるおっさん's。


「金が欲しいっていうからあげたのに〜。」


羅漢銭という技がある。

中国の暗器の一種で小銭を指で弾くなりして敵を攻撃する技で銭形平次の投銭みたいなものだ。只の小銭と侮るなかれ、達人は一息で5打撃つって……ネ○ま!で読んだ。

まあ、技なんて呼べるほど熟練してるわけじゃないが、全力で投げつければそれなりのダメージになる。そしてその隙を突いて地面に倒していく。


「セフィア、拘束よろしく。」

「う、うん。分かった。」


倒れた所をセフィアに頼んで昨日使ってた土魔法で拘束してもらい勝利する。

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