第44話
「そういうわけで、A国側は現在、出張所にてA国からの続報を待つ、という体裁を守りつつ辺境公と対応を相談しています。我々騎士団はすでにダンジョンに向かっている冒険者を連れ戻すということでここまできました」
騎士団長は二人に事情を説明。
「そうは言っても、偶然死体や遺品を発見したら回収するしかありませんね。そもそも帝国の国民ですし」
マリーはそう返す。つまりはそう言うことだ。
A国は加害者、帝国は死体や証拠を押さえる。とりあえずでも力のバランスが取れる。前線の人間ができる範囲の工作。
「なら、ちょうどいい。見つけたよ」
ドーリーはそう答えた。
「これは、ひどいな」
Vと鉄兜と合流し、死体の部屋に。
騎士団の人員が数名部屋の中に。冒険者と団長は部屋の外。
部屋は狭いのだ。
「死因を調べるために遺体を動かしました。背中から胸を一突きされてます」
Vは団長と部屋の中の人員に言う。
彼らは騎士団の中でも司法部門の人員。
「確かに、そうですね。これは殺人と見た方が妥当でしょう」
「しかし、気色悪いなぁ」
「君たち、その感想はわかるが、死者に敬意を払いたまえ」
そういう団長。
団員たちは冒険者4名からの話と現在の部屋の状況を細かくメモ。
「それじゃぁ」
「次はこっちだ」
ある程度調べ終わったら、遺体を運搬用の袋に入れる。
ドーリーはそれを見て、次の部屋に。
騎士団員たちは冒険者が残したものを一つ一つ記録し、袋に詰める。
「それじゃぁ、我々と共に帰還してほしいのですが、そのですね、どうします?これから」
「どうもこうも」
こういう政治の話になると冒険者というのはつらい。
遺品も遺体も証拠品なので騎士団預かり。将来的には返却されるが、今回は政治的要因が絡んでいる。長期化するだろう。
といってもそれで依頼主は納得しない。なのでとりあえず待機するはめになる。
そして待機中の経費はでない。そういう約束だ。
「簡単に返却されるとは思えませんし、依頼主に一報を入れたらどうですか?」
Vの提案。
「そうしますか。とりあえず暗くなる前に帰りましょうよ」
そう言って男達に帰る用意をするようにと指示。
その隣で鉄兜がドーリーに聞く。
「ダンジョン・・・どう?」
「感慨が全くないんだけどこんなものなのか?」
「多分・・・違う」
そういってかすれた声で笑う鉄兜
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