第10話 特別編 せんぱばんぱ


〜〜〜千波万波〜〜〜

(絶え間なく次々に押し寄せてくる波。)




(Cafe WAVE☕︎Openから) 9ヵ月後の春


am7:00



‪仁兄がお店を開いた時、‬

開店祝いに沢山プレゼントを貰っていた。

‪南さんから贈られたサボテンと…

サボテンだけでも2.3個。

‬‪…どれだけの人に好意を持たれてるんだ。‬


‪要らないと言われた開店祝い、‬

‪たまたま見かけたサボテンを

何故か店に置いて欲しくて結局買ってしまった。


『負けず嫌いだな…』


飽きれながらも優しく笑ってくれるから

買って良かったと思ったし…


『この子は元気に育ってるよ』


水なんてあげなくても育つのかと思ったけど

少しずつ丁寧に水をあげて見守り、

'この子'と言って可愛がるし…


今朝も朝起きて店に下りるとすぐに

サボテンの世話をする仁兄。

後ろから腕を回してくっ付いた。


「…店にあんまり花は飾らないつもりだけど、

この子の花は可愛いね。…品種、千波万波…」


春に花を咲く事すら知らなかったし

名前なんて書いてあったとしても忘れてる。


「せんぱばんぱ?変な名前。知らなかった。」


「…知らずにこの子を選んだんだ…

沢山の波が次々に押し寄せるって意味。

本当は'波'だから、

あんまり良い意味じゃないのかも知れないけど…

……なんか、愛情だな、って。」


「愛情?俺の?」


「…なんか、2人の。沢山の…絶え間なく…」


「……俺にとったら、'波'は良い意味だよ。

……次の1周年、その次の2周年、

毎年サボテン買お…」


「え?毎年このサボテン?置き場所無くなるよ。

……けど、まぁ…嬉しいかも…

ってさ、寒くないの?服着なよ!」


「え?服?ズボン履いてるけど?」


「下だけじゃなくて、上も!」



絶対にサボテンを毎年贈ろうと決めた。


そして仁兄が留守の時、

この子や次の子、その次も続く子達だけは

ずっと丁寧に世話をしよう。

例え他の奴等からのサボテンは忘れたとしても。



「……仁兄、永遠の愛を誓ってるんだよ?

分かってる?

まぁ、当たり前に受け止められて嬉しいけど…」



当たり前に過ごしてる毎日、

きちんと考え用意した言葉で

プロポーズような事はまだ言えていないけど…

自然と毎日のように、愛を伝えられたら…


いつも、繰り返し、伝えたいから。


「別に僕が恥ずかしいとかじゃないからな。

グウが風邪ひくんじゃないかって…

え?永遠の愛?何言ってるの?」


「仁兄、……愛してるよ。」


まるでくすぐられたように、

照れながらも一瞬で笑顔になった。

けどサボテンを見つめたまま

こっちを向いてくれない。

抱き締めている仁兄の首をくすぐるように

息を吹きかけ唇を軽く這わせた。


「……ッ…くすぐったぃッ…」


「…フーー…離して欲しければ…言うんだ」


「…ぇッ?…なに…を」


「仁兄の気持ちを!」


ふざけたわけじゃないのに、

仁兄は思い切りすり抜ける動きをして

俺の腕から離れて逃げたと思いきや

俺の脇やら横っ腹をくすぐってきた。

以外と良い動きをするし…

そういえば昔にされた事あるな…


「俺はもう子供じゃないぞ!」


「くすぐってきたのはグウだろ!」


僕へ伸ばしてきている仁兄の両手を

それぞれ掴んだ。


「…ッ…離せよ…」


「だから、離して欲しければ…」


仁兄は手を引き、俺の手を解こうとしても

俺は力尽くで離さない。

多分仁兄も、力では敵わないと諦めている。


「……その、当然、みたいな笑顔が……」


「愛してる?」


「ムカツク…」


…酷いな。まぁそんな事言われたって

俺は笑いが止まらないけど…

なんて、油断した隙に手を離してしまい…

自由になった仁兄の手に

勢いよく俺の頬を捕らえられた瞬間、

唇も勢いよく重なった。


「愛してるに決まってるだろ。」



可愛いくせにカッコイイ、愛しい恋人。


繰り返しだ。今日も。

仁兄に惚れている事を再確信した。







(Cafe WAVE☕︎Openから) 1年後の夏

(オリンピック予定の一年前)


pm4:00




子供の頃、夏休みの夜の最大の楽しみといえば

手持ち花火だった。


近くには毎年大きな花火大会もあった。

それを眺めるのもイベントではあったけど、

人混みが嫌いな俺はそれ程楽しめなかった。



どちらかの庭先でした手持ち花火。

なんであんなに楽しかったんだろう。


あの眩い光を眺めるのが楽しかったのか。


'花火をする時間'が楽しかったのか。



夜、お互いの家族もいる中、

仁兄だけが最後まで付き合ってくれた。


俺が花火をやめたくないと我儘言う中、

『これで最後ね.これが最後ね』と何本も繰り返し

結局次の日の花火まで使い切って。


あの頃、中学生だった仁兄は、

次の日の花火を用意してくれていた。


そして毎日、仁兄と夜を過ごした。


最大の楽しみだった。




目標にしているオリンピックが来年になった。

大きな試合で優勝出来たのもあって、

出場候補には選ばれた。

あとは体調を整えて、モチベーションを上げて…

大学生にもなったから学業もそれなりに。


サーフィンする為に遠征したり、

近場の海に入ったり、

体幹などのトレーニングをする日々。

そして相変わらず仁兄のカフェと、

仁兄の部屋である2階で過ごしていた。



今日はいつも散らかしている自分の部屋に

母親からクレームが入り、

仕方なく片付け始めると

5年も前に買った手持ち花火が出てきた。


当時中学生だった俺の小遣いでは

千円くらいは高額で…

それでも、仁兄を誘う為に買った花火。

あの頃何度も用意してくれたお礼もしたくて。



なかなか会えなかった大学生の仁兄に

会えたら…偶然でも会えたら、

誘えると思ったんだ。

また隣で花火を眺めてくれると思ったんだ。



あの頃も、

一緒に過ごしたいと思うのは仁兄で

……花火をしたいと思ったんだ。





「グウーー!?お邪魔しまーす!」


「あーーぃ!」


ドアの音がした後、下の方から仁兄の声が聞こえて

俺も大きな声で返事をすると、

階段を上がって来る足音。

そしてすぐに開いたドアから仁兄がやって来た。


「玄関カギかかってなかったけど、

ママさん見かけなかったよ?」


「ああ、出かけたよ。

ドアの音、聞こえるから開けといた。」


「ああ、そう?閉めといたよ?掃除終わった?」


「ああ、まぁ、こんな感じ。

余計散らかった感じ?」


「だね。あー!このゲームまだ持ってたの?」


処分しようか迷っていたゲーム機を

仁兄が見つけた。


「…うん。またやるかな、とか思って。」


「繋げれば出来るよね?

昔のゲームは昔のゲームで単純で面白いよねー。

後で勝負しようよ。あ、負けても怒るなよ?」


「……怒んないよ。」


「フッ…もう怒んない?罰ゲームありだよ?

昔はどんだけ拗ねたか…

あ!花火じゃん!買ったの?」


「部屋にあった。

昔のだから、しけてるかもだけど…後でやる?」


「だね!暗くなったらやってみよ!

懐かしいなー……」


見つけた花火を手に持ち、

楽しそう嬉しそうに花火を見つめる仁兄。


「…そんなに花火好きだったっけ?」


「え?普通に好きだけど…

あ…好きっていうか、懐かしくて良いなって。」


「…仁兄は交友関係がほぼパリピだから…

どうせそんな思い出でしょ。

陰キャっぽいくせにチャラくて遊びまくり…」


「な、そんな遊んでないけど?!

花火も別に友達とした事ないし…

……落とした花火拾う時火傷したの覚えてる?」


「え?俺?」


「ああ、グウだよ。

グウは花火の火花を全く怖がらなくて

初めての時とか超危なっかしかったんだよ!

5歳くらいの時かな、赤い所持って火傷してた。」


「…5歳…?覚えてないな。」


「まぁ、覚えてないよね。

けど、グウはホント海も花火も……はぁ…

恐怖心ってのが…無いよねー。」


不思議そうに話す仁兄を横から抱きしめた。



仁兄が溜め息を吐きながら

不思議に思う、俺の恐怖心…


海の水も、花火の火も、仁兄が楽しそうだから

何も怖く無かったのを覚えている。

もし仁兄が怖がっていたら違かったかも。

いや……怖がっていても、

カッコイイ所を見せたくて頑張ったかも。


結局、ホント……



「……仁兄の為なら例え火の中、水の中…」


「ん?どうした?」


「…どんな所でも、っていう愛の告白だよ。」


「……そうなの?花火の話からどうして…」




追いかけても追いかけても、

追いつかない恐怖は何度も味わった。


小学生の後半から高校の後半まで、

長い間置いてけぼりをくらっていたし。

今だって、社会人でモデル、

真面目そうで安定しているネット関係の仕事や

息抜き出来そうなカフェの店主、

いろいろしている仁兄に

まだ学生で、夢や仕事を手探りしている俺は

いつまでも追いつけないまま。



たまに見る怖い夢といえば、

沖にいるはずの仁兄の所へ行こうと

ボードに乗りパドリングして…

何度も何度も向かってくる波に潜り

沖へ出ようとしても出れず、

終いには仁兄を見失う悪夢だ。


そんな苦しい恐怖心は俺が1番知ってる。




仁兄は不思議そうな顔のまま、

俺を見てくる瞳の下で

唇を少し尖らせている。


その柔らかい唇に吸い付くように唇を重ねた。



漏れる息と、擦れ声。


「…ママさんとか、…ッ…帰ってくるだろ?」


「…大丈夫、ドアの音聞こえるから…」


「…ッ…けど……」


色艶な声で抵抗されても逆効果で…

舌を絡めて深く味わう。

逃げようとしない舌。

追いかけるように絡めると絡み返してくる。


下半身はいつもの快感を期待し始めた。



「……ッ、片付けの途中…だろ…」


「…片付けはいつでも出来る…」


横から抱きしめてるのに逆を向かれ唇が離れた。

すると目の前で露わになるうなじ。

たまらず舌を這わせた。


「…ッぁ、っ遊び盛りのジジを…

ジッ…実家に置いてきたからッ……」


「おばさんいるんでしょ?大丈夫でしょ…」


「……ッ、ァ……ぁ、あ、花火しよ…」


「暗くなってからって…

なんでそんな変な抵抗してんの…?」


身体は反応してるのに、

変な言い訳を続ける仁兄。

顔は反対を向いたままだけれど、

首に舌を這わせながら吸い付いたり

胸やお尻に手を這わすとピクピク反応する身体。

もしかしたら、いつもより反応してるかも。


Tシャツを捲り

少し汗ばんでいるのか火照っているのか…

滑らかだけど吸い付く肌に直接触れると、

そのまま胸の敏感な箇所へと指を動かした。


「……ッ…ァ…」


いつもより更に感度が良い。

甘い息を向こうへ吐きながら

身体をしならせる仁兄。


「…仁兄?こっち向いてよ…」


指で転がし続けながら、返事を待つ。

逆の手でお尻を撫でていたのが

体重を預けてくるように身体が緩み出すので

仁兄の体を支えるようになる。


このままベットへ崩れて

胸や首や…いろんな弱い所を攻めれば

それはそれで楽しいんだけれど…


「…仁兄?こっち向いて?

ほら、チュウして、3、2、い…」


「なんだよ、しなかったら…」


「しなかったら、まぁ俺からするだけだけど…

同じだけ仁兄からもして貰いたいな、

ってやっとこっち向いた…」


怒ったような顔、

泣き出しそうだし困ったような顔をして

こっちを向いた仁兄の瞳は

何故かいつもより潤んでいる。


「……グウのベットで…グウの部屋だと……

昔、グウに我慢してた気持ちと混ざって、変…」


「……変?」


「……変。グウの事、襲いそうな気持ちを、

あんなに否定して我慢してきたのに……」


「…我慢してきた?……へぇ…」


まだ逃げ腰な仁兄の腰を捕えて数歩進み、

ベットへ押し倒した。


「ちょっ…ほんと、思い出しちゃうから…」


「…思い出してもいいじゃん。

昔の小さい俺の事、襲いたかったの?」


「……ッ違っ」


「…今言ったじゃん…我慢してきたって…」


「……」


「俺は、小さい時、ここで仁兄と寝た事覚えてるし

その時どうなってたとしても仁兄を好きだったし

好きだから、もっと深く……

こんな事したいとも思ってたよ?」


「…嘘だろ?」


「別に、普通の考えでしょ。男なんだし…」


「いや、子供だったし…」


「もう大人だから。思い出してもいいから。

大人な俺に、…ほら、チュウして。」



仰向けにベットへ倒れた仁兄の上、

キス出来るように覆い被さる。

少し顔を持ち上げながら、

両腕を首に回してきた仁兄が

俺に唇を、…やっと重ねてきた。


ゆっくり重ねてくる唇の間に

舌を押し込み、絡ませる。

身体も上から執拗に重ねながら

Tシャツを脱がせ、パンツを下着ごと下ろした。


お互い息が荒くなる。

自分の服を脱ごうとすると

仁兄も手を伸ばして手伝ってくれた。


離れた唇をまたすぐに貪るように重ね合わせ、

反応している所を手で撫でると

ビクビクと軽く跳ねだした。



「……仁兄…」


「…ッ…グウ……」



引き出しの奥にしまってあった

ローションやゴムを取り出した。

この一瞬だけ現実に引き戻されそうな時に、

仁兄からの目つきがいつもの物欲しげな表情で…

俺をおかしくさせる表情だ。


物欲しげな顔の唇を貪る。

仁兄も深く舌を絡ませて応えてくれる。


キスを深くしながら

どうにか手探りでローションを付け

指で擽りながら中に進むと

息の漏れる量が大きくなって

あからさまに仁兄が跳ねる。

可愛く揺れる仁兄。



「……っ…ぁ……」


……可愛い…

仁兄が昔と混ざると言っていたけど、

俺だってそうだ。

あの頃と、殆ど変わらない仁兄。


あの頃と違うのは、

辛い時間を経験して…歳を重ねて…

経験したからこそ、

月日を重ねたからこそ、

今の幸せが真の幸せだって理解出来るのかも。



「仁兄……昔も、今も、同じ気持ちだよ。

すっっごく、愛してる……」


「……っ、…く、も……

ぁ……、ぼ、くもっ………ぁっ……もぅ…」



『ぼくも』かな。

言いたくても感じ過ぎて言えない、と

怒り出しそうな仁兄が

両手で俺の頭を引っ張り、深く唇を重ねて、

唇が食べられるんじゃないかってくらい

吸われて貪られる。


腰を深く沈めると、

余計息を切らせて貪られる。



昔の事を思い出して悲しくなる時もあるけど

愛してる事、愛されてる事を実感してる。



頭が真っ白になるまで抱き合う。



繰り返し。







am3:00



「こんな時間にベットから出たの何年ぶりだろ…」


「俺だってこんな時間に起きないけど…」


少し寝ぼけながらもグウと話しながら庭先に出た。

昨日、お客さんが途切れた夕方に店を閉め、

飼い始めてまだ1歳未満のジジを実家へ預けてから

グウの部屋へ遊びに行き…少し過ごした。


夜になってグウはうちに来て、また寝て、

約束していた花火をするんだと今、起こされた。



まだまだ暑いさが続く日々、

自分の部屋も店も常に冷房をかけているから

外の風が心地良い。

起きたついでに、友人に貰ったサボテンと、

それに張り合うようにグウが買ってきた

'千波万波'のサボテンに軽く水をあげた。


「あ、大きくなってる。」


「うん、この子はグウに似て健康。

あー……風、気持ち良いね。」


「ああ。ね。

もし、花火がしけてて出来なかったら、

せっかく起きたんだから海入ろうよ。」


「あー…まぁ、ね。」


入ろうとは思っていたけど…

グウと体を重ねた後だと

微かな痛みが理由で海に入らないのだけど、

理由を特に言わずにここまできたし

恥ずかしいから言わずに今回も誤魔化したい。



もう空は少しだけ明るくなって

花火をやるにはギリギリだ。

ふたりで同時に火を付けた手持ち花火は

勢いよく火花を出した。


「お!全然普通だ。きれいだ。」


「良かった。しけてなくて。

あ、仁兄のもう終わった。俺の勝ち。」


「え?勝負してないし。」


「え?してたよ。俺の中で。」


そう言って勝ち誇るグウの腕にパンチをした。

痛がるけど、そんなに痛いはずはない。

少し睨むと戯けて笑いだすグウ…につられて

僕も笑ってしまう。



繰り返すグウとの時間。


絶え間なく次々と押し寄せる波のように

繰り返し感じ取れるグウからの感情で、

昔の気持ちが打ち消される。


昔、僕みたいな気持ちになる人間は少数派で、

何かのバランスが崩れた人間だと思っていた。

だから自分の愛情なんて

いつも打ち消してきたのに…

それでも絶え間なく、

自分の愛情も波のように押し寄せてきた。



今は、グウからの愛情も、

自分の湧いてくる愛情も、

千波万波と願うようになった。




花火の光を眺めながら笑い合い、

1袋がそろそろ終わる。


「……花火出来たけど、一緒に海入ろうよ…

また、海から日の出を一緒に…

仁兄、日の出の空、好きだったじゃん。」



そういえば、暫くあの空の輝きを見ていないな。


あの空と、海と、グウが揃う奇跡は

言葉に表せない輝きで…幸せで……


けど…


「……海には入らないで、砂浜で見ようよ。

手を繋いで。」


「……手を繋いで?…まぁいいけど。

ずっとなんか入るの伸ばされてるけど…

もう、海には入りたくない?」


「……入りたいよ。入るよ。今度。」


「……」


「……グウとエッチな事、しなかった後なら…」


「…………え。ま、え?なんで、あ…ごめん。」


「…え?何?分かった?えっと…

多少…痛かったりするんだけど…

いや、別に、謝る事では無いんだけど。

あ、下だけじゃないよ?

お前が胸とかも凄く触るから…

普通にヒリヒリする時もあって

そしたら下も胸も海水はマズイかなって…」


「……今度から気をつける…」


「いや、いいんだけど…

いいから別に言わなかったんだし…」


結局、軽い痛みが常にある事をバラしてしまった。


大事に抱かれる事を、

望んでないわけじゃないけど…

いつもどうしようもない感情が押し寄せるのは

お互いしょうがないと思っていて、

思い切り抱かれる事で

愛情を凄く感じたりもする。




砂浜を並んで歩きながら、

繋いだ手が強く握られる事で愛情を感じたり。


変わってくる空の色を眺めては、

お互い微笑み合ったり、強く視線を重ねたり。



「ゎ……金色に光ってるね…」


「ん。仁兄が言ってた、1番キレイな空…」


「うん。グウと見るこの空が1番キレイ…」





色褪せない花火の光。


朝焼けが水面で揺れて輝く波。


グウの瞳に反射する、金色の光。


足元の砂浜に押し寄せる止まない波。






昔も今もこれからも、


絶え間なく続く、ふたりの波。






END


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