図書室

 わたしたち三人はアビーセットに誘われて(強引に)昼休みに図書室に行くことになりました。図書室は食堂のように、本棟とは別で独立しています。食堂から二分くらい歩いた場所に図書室、あるいは図書館はあります。アビーは図書室に入るやいなや、すごく嬉しそうに案内をしてくれました。その時の彼女は、まるで無邪気な少女のようでした。まだ、どんな人なのかがわからないので、何とも言えませんが、恐らくアビーは、根はいい子なのではないでしょうか。少なくともわたしはそう思います。

わたしは、そんなことを考えるのに夢中になってしまい、アビーの説明を少しも聴いていませんでした。しかし、ほかの二人もアビーのはなしを聴いてない様子でしたので、大丈夫だと思いました!

アビーの説明が終わると彼女は、わたしたちに「本を並べておいて!」と言ってきたので、リーとミノリと三人で、手分けしてやることになりました。わたしの並べる本は、わたしの背丈ぐらいまで積みあがっていました。しかも、その本は歴史と薬学の本でした。なので本当は本を並べながら読みたかったのに、読むことが出来ませんでした。と言うのも、少し本を開いただけでも細々した文字がわたしの目に入り込んできてつらいのですから!それに本の内容も、決して面白いというわけでも無かったからです。(でも歴史は得意な方なんだけどね…)

そんなにつまらない本でも、わたしの目を惹くものがありました。それの名前は、「リングベルの歴史」とかだった筈です。本の中はというと、この学校の成立までと歴代校長、そしていままでの事件や問題児の名前など、驚くものばかりでした!(特に驚いたのはこの学校が二百年以上の歴史を誇る学校だということです!)わたしはなんて面白い本に出合えたのでしょう!ほかの本なんて気にせずに、その本だけを読んでいたのですが、遠くの方から名前を呼ばれました。時計を見てみたらもう一時間も過ぎていたのです!

 そのときのことは覚えていませんが、アビーがやってきてなんか言われて、それからリーとミノリとわたしの三人で、赤に染まってきてる空の下、寮に戻ってきた感じでした。

わたしは、今もそうですが、あの本が気になって仕方がありません。今もあの本を読みたいです。

はやく明日にならないかな…。

今日はとても充実していました。明日から新しい環境での生活が始まります。楽しみです。では、わたしは寝ます。

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