第4話 記憶を辿る。

その後は、僕は思いつく限り、金木犀の木が植わっている、森宮との思い出の地を駆けずり回った。

母校の高校、その通学路、たまに一緒に訪れた公園等・・・・・思い出をただひたすらに思い起こしながら。


一緒に木の手入れをしたこと、自販機で買った飲み物を片手に他愛もない話で盛り上がった事、河原で水切りで遊んで秋なのにびしゃびしゃになった事、色んな場所を巡るたびに思い出たちが昨日のことのように頭にふわっと蘇ってきて零人は得も言われぬ気持ちになった。




探し回って探し回って気づいたら夕方になっていた。あらゆるところを探し回ったがまだ見つからない。もう、思い当たる場所は残り一つ。そこに最後の望みをかけるしかない。僕は最後の場所に向かって、パジェロを走らせていた。



それは小高い丘の上にある金木犀の木。村の様々な行事が行われるところである、公民館から少し登った所に佇んでいる。

もう自分で思いつくところはここしかなかった。必死に記憶を掘り起こして掘り起こして・・・・・ここにいてほしい・・・・いてくれ・・・・・そう祈り続けながら必死に丘の上の金木犀の木を目指して、全力で駆け上がっていった。



夕日の光が差し込み、金木犀の木を黄金色に染め上げる。金木犀の木は眩い光を浴びながら、思わず酔ってしまいそうなほどの甘い香りを放っていた。―――――――――――――そして金木犀の木の下に「彼女」は佇んでいた。


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