第60話

 ポルトール子爵邸宅へと着き、ステラが外に出て門番に説明を行い何かを見せた。

 それを見た門番は驚いた様子で中へと走って行く。


 そのまま車内に戻ってきたステラがソフィアに報告をした。


「王家の紋を提示し、先触れ無しで来たので日を改める事も出来ると伝えました」

「ええ、それでいいわ。ご苦労様」


 え? なに? 折角人雇ってまで来たのにこのまま帰るの?


「それは無いさ。王女の訪問なのだからそんな失礼な真似はできないよ。

 これはいきなり来て申し訳ないと言外に言っている様なものだ」


 そうして話している間に門が開き、中へと通された。

 大きな玄関の前に正装した男とメイドらしき女性が数人立っている。

 その前で止まるとステラに「あんたはソフィア様をエスコートして出てきなさい」と言われる。

 エスコートとか言われてもわからんぞ?


「先に出て私が下りるときに手を取ってくれるだけでいいの。

 ただ、身分の順に出てって言ってるだけよ」


 あれ? ウェストの方が上じゃ……ああ、嫡子なだけでまだ伯爵ではないからか。

 うーむ。関わらないと思ってたのに、早速面倒な事案が発生してしまったな。


 まあ、このくらいならいいかと言われた通りにちょっと紳士ぶってソフィアの手を取った。

 そう、派手な鎧も着てるし今の俺は騎士様気分。

 あっ、俺本当に騎士だよ。やったね。


 そんなつまらない事を考えて居れば、出迎えた男がソフィアの前で膝を着いた。


「ソフィア王女殿下、本日は当家にご足労頂きありがとうございます」

「こちらこそ突然来てしまったのにこうして歓迎してくれて嬉しいわ」


 彼は「当然の事です。ささ、どうぞ中へお入りください」と手で玄関の方を指す。

 メイドたちが動き、戸を開くと両サイドに付いたメイドたちが並び頭を下げた。


 少し戦々恐々とさせられながらも皆で中に入り、大きく立派な体面テーブルが置かれた部屋へと通され「どうぞお座りください」と言われて腰を掛ければ、お菓子やお茶が人数分並べられた。


 そして漸く盗賊に関する話が始まるのだろうと思ったのだが、長ったらしい挨拶から始まり、置かれた調度品の話しに移り、暫くの時が流れて漸く本題に入った。


「ポルトールへはお忍びで来ていたのだけど、確認しなければいけない事を耳にしてしまったの」

「いやはや、お恥かしい。盗賊団の事ですな?」


 その言葉にソフィアが頷けば彼は概要を話した。

 聞けば盗賊団は相当に大規模で数百は居たと逃げ延びた野良騎士から報告が上がっているそうだ。

 今は領内の騎士である程度戦える人材を洗い出し、招集をかけている最中らしい。


「相当な規模と聞きます。王国騎士団を頼らないのは先の事件を気にしてですか?」

「ええ。流石に壊滅的打撃を受けたと聞いては無理を言う形になってしまいます。

 ですが、最悪はウェスト伯爵にも話を通して協力を願うつもりです。ご心配をお掛けして恐縮ですが早期に解決して見せますのでどうかご安心ください」


 あれ? ヘレンズでの事はまだ伝わってないのか?

 と強く疑問に思いソフィアに顔を向けたら「私を気にせず好きに発言なさって下さい」と意に沿わぬ言葉を返された。

 そんな事は望んでいないのだがと思いつつも仕方ないと問いかける。


「王国騎士団はもう完全に復活してますよ。ヘレンズでの活躍は聞いてませんか?」

「一応聞いては居ますが……そう、なのですか?」


 そのポルトール子爵の返事で何となく想像がついた。恐らくやらせだと思っていたのだろう。


「ええ。私も大討伐に赴きましたから。一度にぬしを四体相手にして完勝したのは本当です。

 ソフィア……王女殿下はもし苦しい状態であれば、頼って欲しいと思っています」

「ええ。サオトメ名誉伯爵の言うとおりですわ。

 ご存知? 彼はその戦いでも大きな戦果を上げているのですよ。

 もし国を頼れなくとも、彼に後方支援を頼むだけでも大きな戦力となりますわ」


 彼は「は、はぁ……それはそれは……」と困惑しているのか歯切れが悪い返事を返した。そしてウェストの方へとチラリと視線を向ける。

 ウェストはその視線に応える様に「私も発言宜しいですか」とソフィアに断りを入れて話しに入った。


「ポルトール子爵、この言葉に裏の思惑はありません。

 ウェスト家の名を持って誓いましょう。

 いや、強いて言うのであれば兵を動かせる戦争前に助けられる所を助けて置きたいと言ったところでしょうか」

「そう、でしたか……

 王女殿下にそこまで言って頂いては見栄を張っている場合ではございませんな。

 領地を任された身として大変情けなくはあるのですが――――――――」


 と、彼が頭を下げようとした時だった。「来客中です。なりません」との声と共に扉が激しく開かれた。

 その乱入者に目を向ければ、俺達と年が変わらない少女だった。

 俺達と同じく困惑した顔を見せた子爵だが、入って来た人物を確認して目を吊り上げる。


「この馬鹿もんがぁ! 王女殿下の御前であるぞ!!」


 彼女は叱責を受けながらも血相を変えたままに声を上げる。


「申し訳御座いません!

 ですが緊急なのです! 賊が……賊がこの町に攻めて来ました!」

「な、なんだとぉ!? か、数は!? 何処まで来ている!」

「通信にて北門から目視で確認できたとの報告を受けました。もう戦闘になっていてもおかしくありません! その……凄い数だと……」


 そう言って彼女は通信魔具を差し出した。

 それを受けとり、魔力を込めると子爵は即座に声を上げた。


「ポルトール子爵だ。状況を教えろ! 兵を送るまで守れるか!?」


 通信が繋がり、部屋に雑音や衝撃音が響く。どうやらもう既に戦いは始まっている模様。

 彼はポルトール騎士団の団長の様で名を名乗ると続けて状況を説明した。


『ハッ! 敵は身なりから盗賊団と思われます。

 只今、門を閉じ外壁の上から応戦中ですが、その数は五百を超えます。

 すぐに援軍を!』


 少し上ずった声だ。状況が逼迫している事が声だけで伺えた。


「ミア、兵舎への連絡は!『直ちに戦いの準備をとだけ伝えてあります。通信魔具はこちらに!』よし! ならば全軍北へ向かわせ、東西南すべての門兵との連絡も取り状況を確認せよ!

 月の雫も出せ! 全責任はわしが取る!」

「使用許可は私が出させます。お気になさらず続けなさい」


 その声に泣きそうな声ながらも「わかりました」と彼女は部屋を飛び出した。

 彼はソフィアに「申し訳御座いません。お心遣い感謝致します」と告げ、そのまま通信魔具に視線を向けて口を開く。


「聞いて居たな? 持ちそうか?」

『正直、難しいと思われます。数の差が……このままでは一刻でも厳しいかと……』

「そうか。だがこちらも最速で応援を出す。限界までは堪えてくれ」


 マジかよ……これ、突破されたら俺達もヤバくね?

 てか、皇国と隣接するポルトールが機能しなくなったら更にヤバくねぇか?


 そう感じてウェストに盗賊ってどのくらいの強さなんだと問いかけたら、ピンキリだが基本的には雑魚ばかりだと答えた。

 王国騎士団が出張れば即座に鎮圧されるだろうとも。

 なら十分俺達にもやれる事はありそうだ。ヘイストの差があるんだから逃げる事だけは出来るはずだし。


「サラ、わりぃけど一緒に行ってくれる?」

「はい、勿論です! 盗賊なんて東部森林の魔物に比べたら雑魚ですよ!」

「私も行きますよぉ。御主人様の盾にくらいはなれますから!」


 いや、盾になるとかダメだっての。こいつは置いていこうかな。

 何て考えている間にソフィアが声を上げる。


「な、何を言っているのです! 五百を越えるって言って居たのですよ!?」

「アホ。元々手伝うつもりだっただろうが。ウェスト、こっちの判断は任せるぞ?」


「本気で行くのか?」と問いかけるウェスト。


「お前、皇国を攻め込ませないとか言ってなかったっけ。状況変わらなくね?」


 と返せば「そう、だったな。済まない、こっちは任せてくれ」とすんなり了承してくれた。


 俺とウェストのやり取りを見て止めても無駄だと気が付いたのか、ソフィアは即座にウェストを除いた俺たち全員にヘイストを掛けた。


「なら、ステラも連れて行って。お願いステラ、この人を守ってあげて」


 ヘイストを掛けられキョトンとしていた彼女は戦場へ行かされることになったにも関わらず、小さく笑い声を上げた。


「ふ、ふふふ、初めての大規模対人戦。

 お任せください! 私が全部やっつけます!」


 こ、こいつ……馬鹿すぎる。頼もしいけど。

 そうして話が決まった時、再びミアと呼ばれていた女の子が戻ってきて報告を入れる。


「出陣命令を出して監視兵への確認を取りましたが、敵影が確認されたのは北だけでした! 私もこのまま予備の伝令役として出陣します!」

「わかった。頼むぞ。では、王女殿下は南からお逃げになってください!」


 彼女は覚悟を持った目で頷いた。

 そのまま話を向けられたソフィアに視線が向く。 


「いいえ、私はここで待ちます。

 これがもし私を狙った皇国の差し金ならば、南にも伏兵が居るでしょう。

 幸い、もう既に国に連絡は入れてあります。今すぐ援軍を頼めば一日耐えればそれで済むのですから」


「王都から一日は無理です。最低でも二日は……」とウェストがソフィアに言葉を返すが、彼女は首を横に振った。


「何を言っているのですか。ウェスト伯にお願いするに決まっているでしょう?

 嫡子のあなたも居るのです、恐らく最速で兵を送ってくれることでしょう」


「だから、無理をしないで時間を稼いでくれればいいから」とソフィアに言われ、俺達はそれに頷きミアちゃんに案内宜しくとポルトール子爵邸を飛び出した。


 だが、彼女の足は恐ろしく遅かった。


 了承も得ずに抱き上げて「そのまま方向だけ教えてくれ」と俺達は速度を上げる。


 リディアが追いつけるギリギリまで速度を上げれば「す、凄い」と呟く彼女に「全然地理知らないからな? どっち行けばいいんだ?」と大雑把に北に向かいつつも声を掛けた。


「このまま真っ直ぐです。この大通りがそのまま北門に繋がっています」


 その言葉に安堵を覚えて走って行けば、四半刻と経たずに北門が見えてきた。

 ガンガンと音を立てて外壁の一部が今もなお破壊されている。

 まだ壁の役割は保てているが所々崩されていて、このままでは確かに長時間は持たないことが伺える。

 彼女を抱えたまま即座に外壁の上に上がる階段を駆け上がった。


 上に着いた時点で彼女を降ろし、外の様子を伺う。


 少し離れた所に数人が並びロックバレットを撃っていて、その後方に数百人が待機している状態。

 壁が破壊できたらなだれ込む算段なんだろう。


 この状態で引き篭もっているのは下作だが、周囲に居る兵数を見る限り十人程度だ。正面から対抗できる数じゃない。


 どうしようかと頭を悩ませて居れば、ポルトールの兵の指揮官と思われる四十そこそこの男に声を掛けられた。


「私はポルトール騎士団の団長カレブと申す。援軍、感謝する」


 重い表情で頭を下げた彼に「ああ、どうも。カイト・サオトメです」と自己紹介をしつつも「やっぱり兵の到着を待って打って出る感じですか」と問いかけた。


「いや、そう出来ればいいが……ポルトール騎士団は三百足らず。各門の守護などの外せぬ者を抜かせば全軍を出せても二百六十程度が限度だろう。

 その前にこの壁が持つかどうかも問題だ」


 そう言っている間にも、再びロックバレットが飛んできて壁に一部を砕き大きく揺らした。

 こりゃマジで拙いな。


「時間稼ぎに煽ってくるんで、門から出入りさせて貰えませんか?」


 本当なら俺達がやる事ではないのだろうが、どうにもあの盗賊の放つ魔法を見るにかなり弱い気がしてならない。

 比較対象が東部森林の時の王国軍最強の軍勢とだからかもしれないが、威圧感がまったく無いと言えるほどに違う。


「いや……この数だぞ……? そんな事できるのか?」

「どうでしょうね。多分出来るとしか……」


 こっちもある程度近づいて魔法撃てば逃げ惑うしかなくなるし、多少時間稼ぎするくらいは出来ると思うんだよな……

 門からは一瞬で詰められる距離じゃないし、俺達が城壁の下に近づけば上からの援護も貰えるだろうから、逃げ込むくらい行けるだろ。


「本当にいいのか……距離を詰められたまま戻って来ても流石に入れてやれんぞ?」

「上から援護はしてくれますよね?」

「そりゃ勿論するが、あの数は止められん」


 うん、そこは大丈夫。だって三十一層行ける俺達がソフィアのチートヘイスト貰ってるんだよ。速さに限定すれば一番なのは間違いないだろ。


 うん。大丈夫。自信ある。

 てかそれがあるから距離を取っていれば出て行っても大丈夫だろうと思っている訳だけども。


「足には自信あるんでやってみます。

 サラとステラちゃんは俺の護衛でリディアは上からアイスランスでサポート頼む」


 それでいい? と問えば三人とも異論が無さそうなのでシールドとマジックシールドを掛けてそのまま門から出陣した。

 盗賊団が遠目ながらもわかるほどにざわついたが、すぐさま笑い声が響く。


 うん。そのまま侮っててくれと心のそこから願いながら近づく。

 そして、まだ外壁から近い場所で止まって魔法を撃ちますよというポーズを作って止まった。


 そんなポーズで止まって居れば前に並ぶ盗賊団の魔法使いも何も出来ずに様子を伺っている。

 そして、暫くにらみ合えば、再びロックバレットを撃つのが再開されたので再び距離を詰める。俺達が動き出せば彼らは魔法を打てなくなった。


 まるで達磨さんが転んだの様に。


 数回繰り返すうちに俺達は近づくだけで何も出来ないとおもったのか、お構い無しに壁に向かって魔法を撃ち始めた。


 もう割りと距離も詰まっているのに、こいつら馬鹿だろ。と俺はファイアーボールを一発本体の方へと放った。


 自分達に打たれたと勘違いして本隊の方へ走る魔法使い達の頭を通りこして本体の方へと直撃した。

 結構クリーンヒットしたみたいで五人くらいがのた打ち回っているのが見える。


 再びこちらに強い警戒を示して今度は本隊にいる奴らも一緒になって魔法を飛ばしてきた。それを軽く避けつつ距離をキープする。


 標的がこちらに移ったのでもう魔法は撃たずに弾幕回避ゲーへと切り替えた。


 威力は目に見えて弱いが結構な数の魔法が降り注ぐ。

 それをひたすら避けるだけを繰り返す。


 そしてとうとう焦れて動き出した。


 ……ステラが。


「おい馬鹿ぁぁ!」

「逃げる時声掛けて! 遅れたら置いて行っていいから!」


 こ、こいつ……本当に馬鹿だろ!

 これ以上近づいたらスキルの遠距離攻撃の射程にも入るんだよ!

 数十人から魔法を撃たれるのの比じゃない。五百人全員から狙われるんだぞ!?

 そうなったら逃げ場がないってのに……あの馬鹿……


 強い苛立ちを感じながらも見捨てるわけにもいかないとステラの後に続いて走る。外壁の援護が貰えるゾーンを大きく越えれば盗賊たちが嬉々として向かってきた。


「ふははは、ステラ・リーズ、参る!」


 参るじゃねぇよ! まいってるの俺だよ!

 そう思った時にはもうスキルの遠距離攻撃すらも掻い潜り、敵軍の中へと飛び込んでいた。


「『一閃』『衝戟陣』『大車輪』! ふはは、脆い、脆いぞぉぉ!」


 彼女は槍を振り回し、敵陣の中で大暴れしている。一瞬で十人近くを切りつけたが、一方向から一斉に衝戟を打ち込まれて吹き飛んだ。


 敵の中から吐き出されて今が好機と数人の盗賊が追撃に走る。


 ヤバイと『一閃』でサラと共にステラに追撃を行おうとしている盗賊へと切りつけながら飛び込んだ。

 その頃には彼女は起き上がって居て、槍を突き出していた。追撃に走った面々を全員潰されて足が止まる盗賊たち。 


 チャンスだと即座に指示を出す。


「走れ! とりあえず脱出だ! スキル移動で距離取るぞ!

 アリスちゃんとのゴブリン狩りを思い出せ。あれをやる!」


 その掛け声に「はい」「わかったわ」と声が返り、三人で一閃を移動に使って距離を取った。

 敵陣の中から飛び出した瞬間、色々な遠距離攻撃スキルが飛んできたが、盗賊との間にストーンウォールで壁を作り、破られると同時に足を止めた。


「障壁展開! もう逃げるだけだ。張りまくれぇ!」


 三人で障壁を使いまくってどうにか凌ぎ、群がってきた奴らにファイアーストームをかました。


「かなり削ったしこのまま退却すんぞ。

 ステラァ! もう特攻はゆるさねぇからな!」


 と、強めに声を掛ければステラも了承して全速力で門へと走った。

 やはりスピードはこちらがかなり上のようで、ファイアーストームで足を止められた盗賊たちとの距離がすぐに大きく離れ、スキルの射程外へと出た。

 それどころか外壁の上からの援護射撃が悠々と届くラインまで距離を詰めてくれたお陰で更に数を削れた。

 即座に門を潜り、閂を掛けて、外壁上部へと戻った。


 そして安全が確保されて一息ついた瞬間、ステラをガチで殴りつけた。

 切れ掛かっていたシールドを貫いて転がり口から血を垂らす。


「お前、死にたいの? ねぇ、死んで仲間に罪悪感を与えたいの?

 シールドが無ければ逃げれたかもわからなかったよ? わかってる?

 あいつらが頭が悪くなくて、追撃に遠距離攻撃を選んでたらお前終わってたよ?

 わかってる?」

「ご、ごめんなさい……」


 苛立ちは収まらないが、ずっとネチネチ言ってても意味は無い。

「次は無いからな」と警告しつつも盗賊団の様子を伺う。

 どうやら怪我人大多数の様で、かなり離れた所まで下がりざわざわとしていた。

 魔法を撃とうとしている奴は一人も居ないのでとりあえず作戦は成功したと安堵して腰を下ろした。


「ほ、本当にたった三人でここまでのことをやりきってしまうとは……

 お前達はいったい何者なんだ……?」

「えっと、俺は『絆の螺旋』ってギルドマスターですね」


 何と返していいのかわからなかったので、とりあえずギルド名を名乗ってみたら、彼は更に驚いた顔を見せた。


「ま、まさか『希望の光』と並ぶと称されたというあの『絆の螺旋』か!?」

「いや……『希望の光』にはどうやっても及びませんて。大討伐でお世話になりましたけど」


 ったく誰がそんな事言ってんの。まだまだ無理に決まってるじゃん。

 うちで唯一対抗出来るのはホセさんくらいだよ!?


「や、やはり大討伐の話しは事実だったのか。

 いや、それよりも本当にありがとう。助かった」

 

 ヘルムを脱ぎ、脇に抱えて深く頭を下げるカレブ団長。その様子を隣で見ていたミアちゃんが前に出て「ありがとうございます」揃って頭を下げる。


「えっと……まだ終わってないし、そういう話は後で、ね?」


 と、彼女たちの頭を上げさせて再び盗賊団を見据えると丁度数人の兵士が階段を掛け上げってきた。


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