折りたたみ北京
いま流行っているらしい中国SFの短編集です。7人の作者、13本の小説、3本のエッセイと、読み応えのある一冊です。
作者の経歴が、それぞれ簡単に紹介されていますが、見たところ漫画みたいなステータスや学歴を持つ方が、ちらほらいます。このようなジャンルの小説の作者としては、女性が多い印象です。
序文では、これらの小説が中国のものであることで先入観を持たないでほしい、といったことが書かれています。西側の視点で物語に政治的メタファーを見出すことは、作品の面白さを半減させてしまうでしょう。
分量が多いので、私が読んで気に入った話を少しだけ紹介します。
・「沈黙都市」
「一九八四年」のオマージュです。禁止語を話すことを禁じられた世界から転じて、健全語のみを話す世界へ。正統派ディストピア小説です。
・「見えない惑星」
旅人が語る、ありとあらゆる惑星の物語と、そこに住む人々や文明。惑星のエピソードひとつひとつがとても面白いです。
・「折りたたみ北京」
表題作。映画化が決まっています。3つに分けられた北京が時間を分け合い、街はひっくり返って交代します。長編小説の冒頭にあたるそうです。
・「円」
劉慈欣の「三体」の抜粋改作です。古代中国×人海コンピュータ。発想が中国ならではだと思います。
中国人の名前は読みづらいですが、全編を通して名前にはルビが振られていました。
よく知っているようで知らないお隣さんの中国。世界で注目を浴びる大国の姿が、少し見えてきます。
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