ヨハネスブルグの天使たち

 舞台は近未来。DXと呼ばれる少女型歌唱ロボットの存在を主軸に展開される短編集です。

 全体を構成する5つの物語の舞台として共通するのは、高層建築物であること、DXが必ず登場することです。表題作の「ヨハネスブルグの天使たち」では、実在する円筒形のビル「ポンテタワー」をモデルにしたであろう建物、日本の高層団地、アフガニスタンの泥のビルなどが登場します。

 DXは、少女ロボットという言葉から連想されるような可愛らしいものではなく、無機質で不気味なものとして描かれます。富裕層向けに売られ、歌を歌う、やたらオーバースペックな楽器という設定です。


 本書は、舞台が南アフリカ、ニューヨーク、アフガニスタン、そして最後には日本へと、ストーリーが緩やかに繋がり、全体を通して鬱屈した雰囲気が漂っています。好きな人は好き。そんな印象です。伊藤計劃の小説を読んだことがある人は、本書も気にいるのではないでしょうか。

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