　タイトルと表紙だけだと、よくあるゲスなレディースコミックに見えてしまいますが、読み応えのある話で面白かったです。

　主人公の市村ハナは、樺太の女学校の生徒でした。醜い顔を理由にいじめに逢い、学校を退学に追い込まれ、さらには戦後の引き揚げ船からも同級生に追い出されてしまいます。仕方なく乗った次の便が撃沈され、一緒にいた家族は溺死します。

　一人北海道に渡ったハナは、顔を別人に変えた上で、復讐の旅を始めたのでした。

　ドロドロでグチャグチャの人間関係を描いた物語が好きな人にはたまらないと思います。話はよくある復讐ものですが、登場人物の背景や設定が練り込まれていて、先の展開が読めないのもいいところです。

　ハナに復讐された元女生徒たちは、多くは死んでしまったり、再起不能に追い込まれてしまいます。

　例えば、結婚詐欺で遊郭に売られてしまった百子は、

　顔に大怪我を負わされた敏恵は逆恨みからハナを追い、息子と暮らしていたサチは償いのためにハナの味方に付くようになります。この二人が今後、波乱を巻き起こしてくれそうです。

　いじめの主犯で、感情がほとんどないように見えるお嬢様の絢子にも、美醜に対する独特の価値基準があるようです。

　一つだけ文句を言うとすれば、整形後のハナといじめの主犯の絢子の顔が似すぎてて見分けがつかないことです。

　本作はネット上で連載されていますが、紙の単行本も発売されているようです。

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