新世界より

 私が今まで読んだことのある小説でランキングを作るとすれば、これを一位にするでしょう。それぐらい、私に刺激と衝撃を与えてくれた作品です。

 執筆したのは貴志祐介さんです。主にホラーを書かれている方ですが、本作は純和風SFにカテゴライズされています。

 舞台は千年後の日本です。「呪力」と呼ばれる念動力を操る人々の暮らす神栖66町で生まれた、ある女性の手記という形式の物語となっています。

 ノスタルジックかつ感傷的な雰囲気の漂う回想には、序盤から不穏な影が見え隠れしています。

 消える子どもたち、悪鬼と業魔という恐ろしい怪物の伝承、千年後の世界にしか存在しない奇妙な生物など……。

 主人公が初めて町の外へ出た十二歳の時、ある生物を発見したことをきっかけに、彼女は空白の千年の歴史を知ることとなります。

 その血みどろの人類史は、決して彼女が知ってよいものではありませんでした。

 殺戮と戦乱の歴史を経て、人類はどうやって平和を手に入れたのか。悪鬼と業魔の正体。急速に進化を遂げた生物の謎。

 こちらも三冊に分けられた大長編ですが、上巻の真ん中辺りまで読めばあとは貴志ワールドの虜です。

 小さな書店でも陳列されていることが多いので、かなりお求めやすいでしょう。


 こちらも現在続編が執筆中です。

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