第4話 実験
「で?どうして、俺がここに呼ばれたんだ?」
1階の会議室の椅子に、不機嫌そうにふんぞり返って腕を組んだ甲斐が、二つ並んだ机を挟むようにして、所在なげに腰かけている朱莉に聞いた。
机に目を落とし、膝の上に置いた手の指を握ったり摩ったりしていた朱莉は、低く響く声に、ピクッと肩を揺らしてしまう。
こ・怖い。誰も甲斐先輩に実験の理由を言わなかったのだろうか?知ったらどうなるのだろうと恐ろしくなり、朱莉は甲斐と視線を合わせず、自分の後方に立つ向井教授をはじめ、心理学専攻の女子生徒3名と、工学部の男子生徒3名を振り返った。
生徒たちは、お互いに顔を見合わせ、眉を八の字にして弱り果てた表情で首を振っている。誰も説明できず、視線はおのずと向井教授に集まった。甲斐の強い視線を浴びた教授は、顔をこわばらせながら、ゼミの中村教授から何と言われたかを恐る恐る聞いた。
「う~ん。そうだな。コミュニケーション上の実験というか……この場合は実験してみれば、理由が分かるということで、甲斐君よろしく頼みます」
おいっ!と内心突っ込みを入れたくなった朱莉だが、向井教授は、理由を知らせて甲斐に席を立たれるよりも、無難な言い方で誤魔化す方を選んだらしい。
では、あとは任せると心理学専攻の印南志保という生徒にバトンタッチして、早々に会議室を出て行ってしまった。
ガチガチになった印南が、そ・それでは~と裏返った声で今からやることの説明を始めるのを見て、甲斐の実験相手は、自分でなくても印南さんでいいんじゃないかと朱莉は思った。
「まずは、このこの電極のついたベルトを頭に巻いてもらい、指先にも同じようにサック型の・・・・」
必死で説明をする印南を、甲斐のイラついた声が遮った。
「どうしてそんなものを着けるんだ?」
「ひっ!ど・どうして?どして着けるかと申しますと、今からやってもらう実験で、どれだけお互いに反応が出るか確かめたいからです」
「ふ~ん。面白そうだな。で?どんな反応なら満足する結果になるわけ?」
それはですねと答えかけた印南を、横にいた生徒が小突いて止めた。
「け・結果を言ってしまうと、そ・その結果に合わせようとする心理が働きますので、向井教授がおっしゃられたように、実験してみて、は・初めて結果が分かるということでお願いします」
印南がしどろもどろに説明を終えるや否や、工学部の男子生徒が甲斐の横に立ち、失礼しますと言いながら、素早く脳波センサー付きヘッドセットを甲斐の頭に装着する。
始めたもの勝ちとでもいうように、甲斐の周囲で準備を進める男子生徒たちを見て、朱莉は心の中で、力技だなと可笑しくなった。
だが、次に自分も同じものを装着させられると、これからみんなに頭の中をダイレクトに覗かれそうな錯覚に陥り、心臓の音がどきどきと大きくなって早まるのを感じる。
しかも、実験内容も知らされていない甲斐が、落ち着いた様子で、こちらの様子をじっと観察するように見ているのと、騙し討ちのように実験することへの罪悪感が加わって、余計に緊張感が高まってくる。
準備を終えた学生たちは、二人の心拍数や、脳波を見るためにパソコンの画面を見ながら、星野さんはβ波の周波数が早くなっているなと話すのが聞こえた。
朱莉はこの実験を受ける前に、脳波を測ることを聞いていたので、脳波にはどんな種類があり、どんな状態の時にそれがでるかスマホで調べてある。
β波はストレスを感じると多く出るものだ。
甲斐はそのことを知っているだろうかと心配になり、思わず甲斐の顔をちらりと盗み見た。
「そんなに怯えなくてもいいよ。どうせ、無理やり頼まれて断り切れなかったんだろ?」
一瞬空耳かと思ったのだが、甲斐の口の動きと言葉は合っている。罪悪感とか怯えとかを抱いていると、木の葉だって幽霊に見えると聞いたことがあるけれど、今はまさにそのシチュエーションにぴったりだった。甲斐は別に恐れるべき人でもなんでもない。
どう答えればいいのだろうと朱莉は迷った。無理やり頼まれたと答えれば、向井教授や心理学を専攻している印南たちを悪者にしてしまう。
一番いけないのは…と向かい教授に朱莉たちを推薦した人物のことを考えた時に、その張本人が息を切らしながら、会議室のドアを開けて入ってきた。
「あ~良かった。間に合った。朱莉ごめんね。待たせちゃって」
「別に待ってもいないし、付き添ってもらわなくても大丈夫だから、優菜は先に帰って」
ちょっとムッとしながら、明後日の方をむいて答えると、少し傷ついたみたいに俯いた優菜の呟きが耳に入った。
「怒らないでよ。二人が仲良くなるのに、これは良いきっかけだなって思ったの」
二人?私と甲斐先輩が、仲良くなるきっかけ? 優菜の方に視線を戻そうとした時、もう一人見知った顔が入ってきて、甲斐におうっ!と手を挙げた。
「まだ、始まってなかったか。優菜ちゃんに聞いて飛んできたんだ」
「まったく、直樹まで何しにきたんだ?見世物じゃないぞ」
「いや、だって、どんなことをするのか気になるじゃないか。僕も混ぜてくれよ」
ねぇ、いいだろ?と水谷は、爽やかな笑顔を朱莉とスタッフたちに向けて同意を求めた。
いかにも自分の笑顔の価値を知っている人が取りそうなアプローチだと朱莉は思った。
だが、それが鼻につく半面、自分自身や、自己の行動が生み出す付加価値に自信を持っている人を、朱莉は羨ましく思ってもいる。
ああ、私はなんて捻くれてるんだろう!
人のことは観察してああだ、こうだと心の中で思うくせに、その実、無関心を装ってやり過ごそうとする。本当は言いたいことは山ほどあるのに、過去のぶっとんだ時の解放感と、そのあとの周囲の一転した態度が教訓になって、羽目を外さないようにサーモスタットが働いてしまうのだ。
サーモスタットでふと自分に取り付けられた機器を思い出した朱莉は、水谷がこの実験の趣旨を知らないで、混ぜてくれと言ったことに気が付いた。
優菜か誰かが説明したら、苦手な人にどう接したら、相手から好意を持ってもらえるかという実験だということが、甲斐にバレてしまう。
人から聞いて、甲斐に嫌な思いをさせたくない。先に説明して許してもらおうと朱莉が決心したとき、甲斐が口を開いた。
「直樹、お前この実験がどんなものか知ってるのか?多分、お前には関係ないと思うぞ」
その言葉に朱莉は耳を疑った。まじまじと甲斐の顔を見つめてしまったが、甲斐は意にも留めず、水谷を追い払おうとしている。
「そんなに邪険に追い返そうとするなよ。優菜ちゃんから、人と親しくなるための実験って聞いたぞ。ちょうど4人いるし相手を交換して、でデーターを取ってもらえばいいじゃないか?」
水谷の言葉を聞いた甲斐が苦笑したのを見て、甲斐がこの実験の内容を確実に知っていると分かり、朱莉は衝撃を受けた。それと同時に軋むように胸が痛んで、胸をかばうように腕を組んだ。
「後でスタッフに、直樹たちが参加できるかどうかを聞いてみるよ。脳波を測るなら集中した方がいいだろうから、スマホで呼ぶまで、直樹と優菜さんは取り合えず席を外してくれないか?」
了解と水谷が手を挙げて、優菜と共に去っていき、それを機に工学部の男子生徒たちが動いて、印南の指示が朱莉だけに聞こえるように受話調整をする。印南の音声が朱莉のヘッドセットに届くのをチェックをし終えると、スタッフ全員が隣の第二会議室へ移動し、部屋の中には甲斐と朱莉だけが取り残された。
「あの…甲斐先輩。ごめんなさい。私……」
朱莉は緊張と申し訳なさで泣きたくなった。自然に伏し目がちになり、目を瞬かせていると、テーブルの上を何かが滑ってきた。何だろうと思って視線を上げてテーブルを見ると、ティッシュが斜めに止まっている。
「使えよ。どうせ録音されているんだろ?鼻水すする音が入ったら、実験が台無しだ」
甲斐は身体ごと横を向いて肘を机につき、手で片頬を支えている。ふてくされたように見える仕草だが、ティッシュを渡してくれたことから考えると、泣きべそをかいた朱莉を見ないようにしてくれているのだろう。
どわっと涙が湧いてきた。きっと脳派も乱れまくって、別室で観測している工学部の学生たちは慌てていることだろう。案の定、イヤホンから印南の心配する声が聞こえた。
『星野さん、大丈夫ですか?もし、気分が悪いようでしたら、別の日を設定させて頂きますが、もしできるなら、今からミラーリング(同調効果)を確かめたいのです。それとなく相手の真似ができますか?』
真似?朱莉は授業でやったミラーリングの意味を思い出した。
人は好意を持ったり、つきあう人と同調しようとするので、お互いの雰囲気や行動が似る習性がある。これを「類似性の法則」というのだが、相手の真似をすることで、相手に自分たちは似ていると錯覚を起こさせることができる。
人は自分の行動に理由をつけたがるので、ふと気が付いた時に、同じものを食べていたり、同じ仕草をしていれば、好きだから似てきたんだと思わせることができるという。
それを試せというのかと朱莉は気が付いたが、今甲斐の仕草を真似して横を向けば、ティッシュを受け取れないという完全な拒否になる。それでは好意を抱かせるどころか逆効果だ。
仕方がないので、マイクが拾ってくれるように願いながら、小さな声で無理ですと答えると、ガタンと椅子を押しやって甲斐がいきなり立ち上がった。
朱莉の心臓が跳ねた。ただでさえ身長が高い甲斐が、机に手をついて、朱莉の方に上半身を倒すように近づいて、手を伸ばしてきたのだ。
「あっ…‥」
『どうしましたか?朱莉さん。β波が出まくっているんですけれど、大丈夫ですか?』
甲斐が手を伸ばして掴んだのはティッシュだった。その中から一枚を引き抜き、朱莉の目じりに当てる。残りは朱莉の片手をひっくり返して握らせた。
「俺を嫌っているからって、ティッシュまで使えないなんてこと言うなよ。先輩だからと言って、俺だって人間なんだから多少なりとも傷つくぞ」
「違います!」
朱莉は大声で叫んでいた。きっと音声を拾っていた人間は、今ごろ耳を押さえて呻いていることだろう。でもそんなの知ったことではない。
自分が嫌われていると思いながらも、誰も攻めることなく、生徒たちの実験に協力しようとする立派な人が、こんな待遇を受けていいはずがない。
しかも三年生は今、就活真っ盛りで、誰もかも自分のことで精一杯だ。
それなのに、甲斐はゼミでもみんなをまとめながら、人よりも仕事をこなすバイタリティーがあるし、ミスをあげる立場上、人に恐れられるような監査も引き受ける精神面での強さも持ち合わせている。甲斐という人は、どれだけ能力があって、責任感の強い人なのだろうと、尊敬と畏怖が交じり合って、近づき難くなるのだ。
「私は、先輩と比べると中身が劣りすぎて、嫌われたくないから緊張するんです!」
甲斐の身長から来る威圧感に負けまいと、朱莉は机に両手をバンとつきながら立ち上がったが、20㎝以上も見上げることになった。それでも、今ここで甲斐の威力に負けたなら、誤解をさせたまま、嫌な思いを引きずらせることになるだろうと必死で耐える。
最大限のパワーを出して、真実を伝えるために、きっと瞳に力を入れて見つめたが、甲斐の様子が何だか変だ。
完全に戦意を喪失したように見えるばかりか、にらみ合うようにしていた視線までが泳ぎ、うろたえているようにも見える。
一体どうしたんだろう。この変わりようは?と甲斐を凝視していたら、甲斐の耳がほんの少し赤くなっているのに気が付いた。
あれ?どうしたんだろうと思った時、会議室のドアが開いて、印南が入ってきた。
「甲斐先輩、星野さん。ご協力ありがとうございました。今回はこちらの企画に合わないことがわかりましたので、勝手を言って申し訳ありませんが、これにて終了ということでお願いします」
「えっ?どうして?」
今度は朱莉の方がうろたえた。また、何かやってしまったのだろうか?でも、大声を上げたとはいえ、以前のように気が大きくなるのに任せて、正義の鉄拳をふるったわけではない。十分サーモスタットは働いていたはずだ。
なぜ?と問いを視線で投げると、甲斐が扉の方に歩き出しながら、朱莉について来いと指で誘った。
ドアを押さえて待っていてくれた甲斐に追いついて、ありがとうとお礼を言うと、甲斐がまじまじと顔を見つめてくる。
何だろう?何かが変わった気がすると朱莉は思った。この実験をする前なら、騙し討ちをした疚しさもあり、甲斐に対してものすごく緊張したはずなのに、今はこうして自然に笑ってお礼が言える。
威圧感しか感じなかった大きな身体も、涙を気遣ってもらったせいか、頼もしく見える。
心理学では、会えば、会うほど心の距離感は縮まると習っている。そういえば、甲斐とは今までは仕事のことでしか話す機会がなかった。不本意な実験だったとはいえ、こうして素の甲斐に触れることができたから、完璧人間として意識しするあまり抱いていた緊張感を、緩めることができたのかもしれないと朱莉は思った。
ドアを閉めようとした甲斐に、印南が話しかけたので、朱莉は廊下に出て甲斐を斜め後ろから仰ぎ見た。
広い肩と浮き出た肩甲骨、首から顎のラインがしっかりしていて、文句なしに男らしいと思う。窓から射す光に浮き彫りになる秀でた額や高い鼻、ほほの高さも、バランスが良くて目が離せないほどかっこよかった。
ドアの中から、印南の声で、この実験が苦手意識を改善するためのものだということが、どうしてわかったのかと、甲斐に質問するのが聞こえてきたので、同じ疑問を抱いていた朱莉も耳をすませた。
「俺の両親は派遣会社を経営しているんだ。技能のテストはもちろんだけれど、心理テストで派遣社員の性格や、職場での人との関わり方を知って、人材を適材適所に派遣するための試行錯誤は欠かせないんだ。そういうのに触れてきたから、すぐにピンときた」
「なるほど。どうりで説明もなしに、落ち着いて実験に付き合ってくださったわけですね。さすがに今回のは理由を言いづらくて、変な態度を取って申し訳ありませんでした」
「ああ、いいよ。俺に対する星…朱莉さんのぎくしゃくした態度や、必要以上に緊張する態度を見ていたら、苦手意識か何かの実験だろうと見当がついたから。それよりも、言い方を変えた方が人に頼みやすいと思う。タイプが違う人と良好な関係を築くための実験とかなら、協力者がたくさん出て、データーが取りやすいんじゃないか?」
「さすが、甲斐先輩!こうして親切に声をかけてくださらなければ、やっぱり星野さんと同じで、劣等感を抱いてしまったかも……」
印南が廊下にいる朱莉に微笑みかけたので、朱莉は自分の気持ちを代弁してかばってくれた印南に軽く会釈を返す。甲斐も印南たちの礼に応えて片手を上げると、会議室のドアを閉めた。男らしい身体が朱莉に向き直り、お待ちどおさまと言った途端、朱莉はやっぱり身体が強張るのを感じてしまい、誤魔化すように、にたっと笑顔を浮かべた。
「この後、バイトとか予定はある?」
「いえ。もう大学生活にも慣れたし、そろそろ探そうと思っているところです」
「そうか。俺はあと1時間ほど時間があるから、第3棟にあるカフェに行こうか?」
朱莉が頷くと、甲斐は芝生を横切って行った方が早いからと、庭に面したドアを開けて朱莉を通す。その時に背中にそっと手を添えられて、甲斐の手の大きさと体温を感じた朱莉は、甲斐が手を離した後も、背中が熱を持ったように感じてどぎまぎとした。
緊張してまた甲斐先輩を悲しませませんようにと、意識を芝生に寝転ぶ生徒たちや、木立を飛び交う鳥に集中させようと努力してみる。
「あのさ、さっき言ったことだけれど…‥」
甲斐が何か言いかけて、芝生の上で立ち止まる。
「さっき? えっと…苦手意識の調査にするんじゃなくて、タイプが違う人と良好な関係を築くための実験と名前を変えることですか?すごく良い案だと思います」
甲斐が首を振って違うと言いかけた時、朱莉~と大声で呼びながら、芝生を走って近づいて来る優菜の姿が見えた。
「もう、終わったの? 水谷先輩は用事があるからって消えちゃうし、どうしたらいいのか迷ってたの。良かった~早く終わって」
せっかく甲斐先輩と仲良くなれるチャンスだったのにと、朱莉は心の中で残念に思った。カフェに優菜も誘っていいのだろうかと甲斐を振り向くと、甲斐はスマホで何かを確認した後、ゼミの仲間に呼ばれたから行ってくるとカフェとは違う方向へ歩き出す。
朱莉に合わせて歩いていた時と違って、大きなスライドで歩く姿はすぐに小さくなった。
その様子を廊下の窓から眺めていた心理学専攻の女生徒3人が、首を傾げながら、真ん中にいる印南に話しかけた。
「星野さんは自分が告白したことを気づいていないみたいだけど、大丈夫かしら?」
「あなたに嫌われたくないから緊張するなんて、堂々と言っちゃうんだもの。びっくりしたよね」
「うん。あまり自分の意見を言わないし、大人しい人なのかと思ったら、中身はすごく情熱的で驚いちゃった」
今回の実験で、隠れていた星野の気持ちを暴いてしまったのだとしたら、教えてあげるべきなのだろかと印南は腕を組みながら考えたが、ふとある不安にかられた。
「ひょっとして、しくじったかもしれないわ」
状況を思い出そうとしているのか、目を細めて考え込む印南に、何をと他の生徒が問いかけると、一つ一つの言葉を確かめるように印南が話し始めた。
「さっき、私が甲斐先輩に、どうして実験の内容が分かったか聞いた時、甲斐先輩は星野さんの態度で苦手意識の調査だと分かったと答えたでしょ?」
うん、そうね。それがどうしたのと右隣の学生が尋ねる。
「さすがの洞察力に、甲斐先輩が親切に声をかけてくれなかったら、私も星野さんと同じで、甲斐先輩に対して劣等感を抱いていたかもしれないと言ってしまったの。それも、星野さんが自分の本当の気持ちに気づく前にね」
あっと、他の二人も顔を見合わせた。星野の思わぬ告白によって、甲斐が苦手な相手ではないと分かったから実験を中止せざるを得なくなった。
でも、その後の甲斐と印南の言葉によって、あなたは甲斐が苦手だと星野に刷り込みを行ってしまったかもしれないのだ。
「本当なら、素直に好きと感じられる感情も、植え付けられた苦手意識で、どう変わってしまうかが心配だわ」
会議室に面した廊下の窓から見られていることも知らずに、朱莉は優菜と一緒にカフェに向かって歩き出した。心の中では、もっと甲斐と話して素顔を知れば、緊張からくるどきどきもなくなるだろうと明るい気持ちになり、自然に足取りも弾んでいた。
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