4.千年こなれ雪
オーディンは道に落ちていた凍結したコーラを確認すると、痛む喉にもかまわずただちに中身を飲み干した。
早くしなければ、早く。心はただ急いていた。
銀河ホールに落ちた千年こなれ雪を見に行くためだ。
エッサイ派の人々が誕生を待ち焦がれ、新聞ではあれほど騒ぎ立て、気の早い商標申し立てまであり、『1000年忌を祝うためにはあまりにふさわしい』と世間の素晴らしい下馬評を得ていたこなれ雪は、実物が落ちた頃には既に飽きられ、町の片すみの記念館に置かれるだけになって居た。
入場料は100円であり、中にはインテリめいた趣のご老人しか居なかった。
受付は愛想が悪くひどくぞんさいな若者。
投げつけるように寄こされたお釣り900円を受け取るといそいそと中に入っていった。
そこで出会った……!
そして即座に、何を見たかも忘れてしまった。
もちろん、そうだからこその千年こなれ雪。
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