第18話
廊下での異様な雰囲気を感じ取ったのか、教室にいた男女が全員廊下に出てきた。
廊下には他のクラスの人が何人かいたが、私達が四人で話している間は特に目立つことはなかった。が、教室にいた男女が出てきて人数が増えれば嫌でも注目されてしまう。
なにか問題が起こる前に逃げるべきだと考えた私は階段の方へ行こうとした。が、大智に手を掴まれてしまった。
途端、大智はとんでもないことを口にした。
「俺、結香に行っときたかったんだけど俺の好きな心をいじめないでほしい」
突然の発言はもはや公開告白のようなものだった。
男子は一瞬のうちに活気付いてしまった。
「大智まじ?」
「まじ」
「いつから?」
「ずっと前から」
男子の質問に答えつつも大智が見ているのは結ちゃんだった。
大智は私の不安の種をちゃんと理解してくれていた。それだけで私は泣きそうになってしまう。
その反面で結ちゃんがどうでるのか私はいまだに怖がっていた。が、こんな人数の前で何かすることもなく結ちゃんは黙って鞄を手に取り帰ってしまった。
これで良かったのか考えると良くはなかったと思う。けど、大智がいてくれて本当に嬉しかった。
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