第16話
賑やかだった教室は静まり返り私に視線が集まった。
「結ちゃんに話がある。ちょって来てくれない?」
私の言葉に反応して一人の男子がタイマンだのなんだの言っていたが誰一人として相手にはしていないようだった。
「言ったでしょ。私を裏切ったのは心だって」
なぜか呆れた顔をしている結ちゃんに私は腹が立った。
「きて」
二度目の私の言葉で結ちゃんはようやく動き始めた。
私と結ちゃん廊下に出て二人きりとなった。
「ごめん」
私は頭を下げた。
「私はやっぱり大智が好きだし諦めきれない。本当にごめん」
私たちに沈黙が続いた。どれだけ続いたのかは分からない。が、私にとっては数分にさ感じられた。
「大智があんたのこと好きみたいな言いぶりだね。そういう所がうざいんだよ」
(大智も私が好きなんだ)
そう言いたい気持ちはこらえた。私は喧嘩をしに来たわけではないのだから結ちゃんの怒りを逆撫でするような事は口にしない。
「なんで黙るの。心の言いたいことってそれだけ?」
私は顔をあげ、結ちゃんを真っ直ぐみた。
「そうだよ」
喧嘩をするつもりはない、けど私は大智を譲る気も仲直りするつもりないのだから。
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