第14話

 大智の突然の言葉に脳内がグルグルとして何も考えられなくなった私は校門の方へと歩き始めた。

 校門を出る頃には私が告白された、ということを理解していた。

 大智は何も言うことなく私の横を歩いていた。

「ごめん。私さ…」

「言わなくていいよ。心は何も考えなくていい。俺が横にいたいからいるだけ。俺が好きなだけ、だろ?」

 そう言って笑みを浮かべる大智はどこまでも優しくて愛おしかった。今の私は女にとっての幸せありったけ手にしていた。

 だが、女にとっての幸せは今の私にとっての不幸を意味していた。そう思った時、私は自分の過ちが分かった。

「まだ、間に合うのかな…」

 大智にとっては意味不明な私の質問にも笑って答えてくれた。

「さあね。けど、試すことなくしてエジソンは電球に辿り着かなかった」

 大智は物語の主人公のようなセリフを私にいってきた。身体中が痒くなってしまうくらいにこっぱずかしい小説や漫画のようなセリフを。

「今さ、自分の事かっこいいとか思ってんじゃないの?」

 私の言葉が図星を突いてしまったのか、大智は目をそらしてしまった。

 そんな大智を見て私はうはふと笑った。

 久しぶりに笑うと心が軽くなって怖さも消え、なにより私らしかった。

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