第13話
呆気に取られているであろう大智に背を向け、私は校舎を出た。
一つの恋が私を不幸にした。いつどこでどの選択を誤ってしまったのだろうか、なんて考えるだけ無駄だった。
私には友達も恋も何も残らなかった。
これからは今まで以上に静かで地味な生活を送ろうと私が思い始めた時、背後に人の気配を感じた。
「わぁっ!」
「なに?」
振り返った先には大智がいて私を驚かしてきた。無論、私は全く動じなかった。
数分前までは私を気にかけてくれていることが嬉しかった。それなのに今はそのしつこさに嫌気すら感じ始めていた。
こんなところでさえ結ちゃんに見られてしまえばいじめの悪化はまぬがれない。そんなことすらも考えられない幼稚な男が、大智が、私から平和を奪い去る。
「いい加減にしてよ」
「しない」
私の言葉に大智は平然と答えていた。
「私が傷つくところが見たいわけ?」
「違うよ」
あー言えばこう言う。本当に子供を相手にしているみたいで心底嫌になった。
「はっきり言って大智が私の所に来ると不幸になる。だから二度と近づかないで」
私自身この言葉がどこまで本気でいっていることなのか理解しきれないところがあった。が、一つだけ言える事は私が最低と言うことだろう。
(これでもう嫌われた、よね)
「心が、好き…」
(え…)
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