第9話

 一刻早く仲直りをするべく、私は結ちゃんの手を取り場所を変えることにした。

 教室の外に出て女子トイレへと引っ張ってきた私は、呼吸整えるまもなく話し始めた。

「結ちゃん。昨日はたまたま会っちゃっただけで、諦めるっていう私の気持ちには嘘はないから」

 少し呼吸の荒い結ちゃんは、目をギラつかせて私を真っ直ぐ睨んだ。

「あんたは信じない。先に裏切ったのはあんたでしょ。あんたには負けないし、今後何されてもあんたの自業自得だから」

 相変わらず聞く耳を持ってくれる事なく、また私の前から立ち去ろうとしていた。

 時間が経てば経つほど私たちの関係は戻らなくなると悟った私は結ちゃんの腕を掴んだ。

「待ってよ」

「あのさ、普通にうざいんだけど。触んないでくれる?」

 結ちゃんから私に向けられた目、言葉、雰囲気のそれら全てがこれまでとは異なる感覚で、私は心底怯えてしまっていた。

 その間に腕も振りほどかれ、私の目の前から立ち去る結ちゃんを目で追うだけとなってしまった。

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