第6話
私は立ち上がり大智の隣にさりげなく移動した。
「俺さ、好きな科目はやりたいけどそれ以外は興味ないしやりたくないんだよ」
(同じっ!)
学校でも微かに漂う甘くて優しい大智の匂いが今は、濃く漂い私の隣に大智がいる。結ちゃんへの罪悪感が無いわけではない。それについさっきあんなことがあって今こうしていることはいけないこと。
これが最後。と、自分に言い放ち最後の恋を私は堪能しようと決断した。が、人生はそう上手くはいかないものだった。
「心、あんた体調が悪いんじゃないの?なんで大智と…」
寒気が私を襲い、なんとか弁解しようと試みた。が、それも無理な話だった。聞く耳を持たない結ちゃんは私に一言「嘘つき」と言い残しその場を立ち去ってしまった。
「心と結香に何かあったの?」
何も知らない癖に、口を挟む大智に八つ当たりしそうにもなってしまったが今のシチュエーションを見れば誰でも心配すると思った私は首を横に降った。
「俺そろそろ塾だから、また明日!」
「うん。頑張ってね!」
私はあきらめた。その言葉に嘘は無かった。それなのに向けられた結ちゃんの目からは私を信じる気が一切感じられなかった。それでも事情を話せばきっと分かって貰えると私は信じていた。
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